厚生省が音頭をとって始めたACT-Jは種々の理由であまり上手くいっていないらしい。
一方で高木先生らが京都で始めたACT-Kは軌道に乗っている。
多職種のチームは医師、看護師、作業療法士、精神保健福祉士、臨床心理士。薬剤師・・・
またピアサポーター(当事者)も必要に応じて関わる。
また京都では学生が多いので福祉系にもボランティアとして参加してもらったりもする。
チームでやるなら同じ値段じゃなきゃいかんとPSWとNsも同じ給料で始めた。
精神科訪問看護はやっているというところは多いと思われるが、病院に入院できなくなったかわいそうな人だからせめてこれだけはという訪問看護ではない。
精神科訪問看護と言えば「くすりのんでますか?」という。
これをアリナミン訪問看護というそうだ。
精神障害とともに暮らしている人はほんのささいなところでつまづく。
彼らの小さなニーズを大切にして、そこに関わることが何より大切だそうだ。
そしてたいていのことは医者がいなくても出来る。
むしろ医者はジャマなだけ。
たとえば家が散らかり放題で片付けられなくてしんどく何も出来ないのに入院して薬の調整というのでは支援のピントがずれている。
両親のことで悩んでいての入院は一時の避難にはいいかもしれないが、構造が変わらなければ退院したらまたそのままだ。
ACTのスタッフはみなケースマネージャーになり一人につき10人程度まで担当する。
こういった制限がないのが日本の医療福祉の悪いところで制限がないと質を保てないし熱意のある善意の人ほど早くばてて燃え尽きる。
そして13人程度のACTチームで地域の100~150人を支える。
場所は30分で行ける範囲内。ピザの配達の範囲内くらい。
そして150人中20人くらいは薬をのまないまま見ているそうだ。
チームで対象者の情報は共有し、夜間休日はスタッフが交代で緊急電話当番を受け持つ。
精神障害を抱える方は夜に救急外来に来ることが多いが、それは昼間のケアができていないからだという。
日常の適切な対処さえあれば、電話相談は多くても実際に夜間や休日に緊急の訪問や対処が必要になることはめったにないという。
そして時間外に動いた分の報酬は、時間外に言った人に全て与えるという仕組みだ。
これは事業としては正規の時間で成り立つべしというポリシーから来ている。
夜間や休日に調子を崩すきっかけというのは本当に些細なことだそうだ。
たとえば薬が一日分足りないとか・・・。
たいてい電話相談ですむことだ。
ACTでは家族の支援も重要な役割である。
そもそも精神障害者の家族会は身体や知的障害者の家族ほど活発ではなかった。
それはやっと子育てが終わり成人、社会にでるころ発病するということもある。
そのころには親の生き方やスタイルも固まってしまっているから。
そしてとにかく病気だから治るはず、良くなるはずと医者巡り、病院巡りをする。
しかし障害はどうしても残る場合が多い。
家族は立ち直れないが、専門家は良くならない原因を家族のせいにしたり、社会も家族に全ての責任を負わせようとして来た。
世間は親子だろうというが、じつは人間関係の中で親子関係が一番難しいのである。
家族も当事者であり、本人にも家族にももっと自分らしい人生を楽しむ権利、生きていてよかったと思えることが必要である。
保健所や診療所などから適当な対象者がいればACTーKチームに紹介される。
ACTチームでは月にのべ1200回の訪問。
そのうち1割くらいが診療報酬の算定ができない無償の訪問になるそうだが、これが大事。
医療や福祉のわるいところはお金がでないことはやらないことだという。
しかしそれではニーズがこぼれ落ちてしまう。
他の業界でもサービスが先、見積もりは無料でつくるなどは普通のことだ。
お金はあとからついてくる。
ニーズに応えて活動していれば後追いで制度化もされるだろう。
ACT-Kは初めて3年目に黒字になった。
スタッフには同年代の平均以上の給与をだせるようになったという。
スタッフはとにかく訪問し、小間使いになり、地域の潤滑油になる。
時にはコーヒーやタバコなども差し入れる。訪ねるのだから手みやげをもっていくのも当然だという。
時には職場に同行したり内職を配達することもある。
敏感で気を使いすぎてしまう人たちに会ってもらってよかったと言う人間関係をつくる。
泊まり込みの支援もおこなうこともある。
まず支援を受け入れてもらう関係をつくるところから大変なのが精神障害なのだ。
統合失調症で急性期と呼ばれている病態の多くは日常生活へのつまずきの表現である。
生活の現場でおこっているストレスへの反応なのだ。
やむを得ず入院となった場合は担当チームのだれかが週一回程度は病院へ訪問するようにしている。
(これは無料サービスになる)
このように病院の外からACTチームが積極的にかかわるから退院支援もスムーズに行く。
ACT-Kはこのように活動しているそうだ。
ACT-K 精神障害者の地域移行は必然
ACT-Kこころの医療宅配便
ACT-K 専門性の時代
一方で高木先生らが京都で始めたACT-Kは軌道に乗っている。
多職種のチームは医師、看護師、作業療法士、精神保健福祉士、臨床心理士。薬剤師・・・
またピアサポーター(当事者)も必要に応じて関わる。
また京都では学生が多いので福祉系にもボランティアとして参加してもらったりもする。
チームでやるなら同じ値段じゃなきゃいかんとPSWとNsも同じ給料で始めた。
精神科訪問看護はやっているというところは多いと思われるが、病院に入院できなくなったかわいそうな人だからせめてこれだけはという訪問看護ではない。
精神科訪問看護と言えば「くすりのんでますか?」という。
これをアリナミン訪問看護というそうだ。
精神障害とともに暮らしている人はほんのささいなところでつまづく。
彼らの小さなニーズを大切にして、そこに関わることが何より大切だそうだ。
そしてたいていのことは医者がいなくても出来る。
むしろ医者はジャマなだけ。
たとえば家が散らかり放題で片付けられなくてしんどく何も出来ないのに入院して薬の調整というのでは支援のピントがずれている。
両親のことで悩んでいての入院は一時の避難にはいいかもしれないが、構造が変わらなければ退院したらまたそのままだ。
ACTのスタッフはみなケースマネージャーになり一人につき10人程度まで担当する。
こういった制限がないのが日本の医療福祉の悪いところで制限がないと質を保てないし熱意のある善意の人ほど早くばてて燃え尽きる。
そして13人程度のACTチームで地域の100~150人を支える。
場所は30分で行ける範囲内。ピザの配達の範囲内くらい。
そして150人中20人くらいは薬をのまないまま見ているそうだ。
チームで対象者の情報は共有し、夜間休日はスタッフが交代で緊急電話当番を受け持つ。
精神障害を抱える方は夜に救急外来に来ることが多いが、それは昼間のケアができていないからだという。
日常の適切な対処さえあれば、電話相談は多くても実際に夜間や休日に緊急の訪問や対処が必要になることはめったにないという。
そして時間外に動いた分の報酬は、時間外に言った人に全て与えるという仕組みだ。
これは事業としては正規の時間で成り立つべしというポリシーから来ている。
夜間や休日に調子を崩すきっかけというのは本当に些細なことだそうだ。
たとえば薬が一日分足りないとか・・・。
たいてい電話相談ですむことだ。
ACTでは家族の支援も重要な役割である。
そもそも精神障害者の家族会は身体や知的障害者の家族ほど活発ではなかった。
それはやっと子育てが終わり成人、社会にでるころ発病するということもある。
そのころには親の生き方やスタイルも固まってしまっているから。
そしてとにかく病気だから治るはず、良くなるはずと医者巡り、病院巡りをする。
しかし障害はどうしても残る場合が多い。
家族は立ち直れないが、専門家は良くならない原因を家族のせいにしたり、社会も家族に全ての責任を負わせようとして来た。
世間は親子だろうというが、じつは人間関係の中で親子関係が一番難しいのである。
家族も当事者であり、本人にも家族にももっと自分らしい人生を楽しむ権利、生きていてよかったと思えることが必要である。
保健所や診療所などから適当な対象者がいればACTーKチームに紹介される。
ACTチームでは月にのべ1200回の訪問。
そのうち1割くらいが診療報酬の算定ができない無償の訪問になるそうだが、これが大事。
医療や福祉のわるいところはお金がでないことはやらないことだという。
しかしそれではニーズがこぼれ落ちてしまう。
他の業界でもサービスが先、見積もりは無料でつくるなどは普通のことだ。
お金はあとからついてくる。
ニーズに応えて活動していれば後追いで制度化もされるだろう。
ACT-Kは初めて3年目に黒字になった。
スタッフには同年代の平均以上の給与をだせるようになったという。
スタッフはとにかく訪問し、小間使いになり、地域の潤滑油になる。
時にはコーヒーやタバコなども差し入れる。訪ねるのだから手みやげをもっていくのも当然だという。
時には職場に同行したり内職を配達することもある。
敏感で気を使いすぎてしまう人たちに会ってもらってよかったと言う人間関係をつくる。
泊まり込みの支援もおこなうこともある。
まず支援を受け入れてもらう関係をつくるところから大変なのが精神障害なのだ。
統合失調症で急性期と呼ばれている病態の多くは日常生活へのつまずきの表現である。
生活の現場でおこっているストレスへの反応なのだ。
やむを得ず入院となった場合は担当チームのだれかが週一回程度は病院へ訪問するようにしている。
(これは無料サービスになる)
このように病院の外からACTチームが積極的にかかわるから退院支援もスムーズに行く。
ACT-Kはこのように活動しているそうだ。
ACT-K 精神障害者の地域移行は必然
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ACT-K 専門性の時代
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