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精神科医師のブログ。
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アルコール依存症入門におすすめの2冊

2010年09月25日 | Weblog
マンガ家の西原理恵子さんは夫の鴨志田穣さんがアルコール依存症だったことから、アルコール依存症と言う病気を明るい病気にすべく、著作活動や講演などを積極的に行っている。

アルコール依存症の回復者である月乃光司氏との共著で「おサケについてのまじめな話」という本がでた。

西原理恵子月乃光司のおサケについてのまじめな話 アルコール依存症という病気
西原 理恵子
小学館


「毎日かあさん」にもそのエピソードが出てくるが、夫がアルコール依存症であった6年間、酒からくる事故や怪我が絶えず、仕事や子育てをしながら、いびり酒に付き合い粗暴な高度から逃げまどうという日々で心の休まる暇がなかったそうだ。
しかし離婚を決意しそれを夫に突きつけてから夫が病気と向き合い治療をうけて回復し家族の元に返って来た。
そして半年後に癌でなくなるまで幸せな日々をおくれた。

「ガンてこんなにかわいがられる病気なんだ。アルコール病棟のみんなどうしているかな。」
癌で入院している時につぶやいたこの一言が忘れられないと言う。

アルコールは患者がかわいがられない、おそろしいにくらしい病気。
でも病気なのだから専門の医師が対応しなければいけない。家族だけでは闘えない。
そんなメッセージが込められた本だ。

3章構成になっており1章は西原さんの家族としての体験談、2章は当事者でもある月乃さんのアルコール依存症についての解説。
用語集付き。
アルコール依存症治療で有名な久里浜病院の樋口先生も協力している。

そして3章は二人の対談という構成だ。

自助グループや専門医療機関のリストが巻末についており、この1冊でアルコール依存症と言う病気に関する格好の入門書となっている。

この本にあわせて元戦場カメラマンで西原理恵子氏の夫でもある鴨志田穣氏の「酔いがさめたらうちに帰ろう」もあわせて読んだ。
アルコール依存症で狂っていく人生と、入院生活をユーモラスに綴ったフィクションだが氏の体験が存分に活かされている笑って泣ける私小説だ。
さすがジャーナリストだけあって読ませる文章である。

酔いがさめたら、うちに帰ろう。 (講談社文庫)
鴨志田 穣
講談社


アルコール依存症とはどんな病気なのか、治療はどうするかのを知るためにおすすめの2冊である。