リカバリー志向でいこう !  

精神科医師のブログ。
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人間失格(太宰治)

2013年03月31日 | Weblog
中学生の患者さんが太宰治の「人間失格」を読んでいたので、自分もKindleでダウンロードしてiPhoneに入れてあわてて読んでみました。(実は読んだことがなかった。)

こういう小説は「この感じ、分かる分かる。」というひとと「サッパリわからん」という人に分かれるんだろうと思います。
いわゆる「中2病」をこじらせたようなというのはこういうことなのかもしれません。

人間失格
太宰 治


商売柄、どうしても病跡学的に読んでしまいますが、さすが600万冊以上も売れた本だけあって、なかなか面白いです。
著作権がきれているのでKindleや青空文庫で無料で読めます。
まだ読んだことのない方は是非。

ある男の半生が独白される形で進行します。
裕福だが冷たい東北の没落貴族の家庭に生まれた自閉スペクトラム特性の強い男が、人間関係や世間への違和感が拭い切れないまま世間に適応するために道化を演じつづけ、やがて都会の学校進学するという話です。
東京では、共産主義の活動をしたりするが、なぜか女性にはもて、男めかけの境界性パーソナリティディスオーダーのようになり、知り合ったカフェの夫持ちの女性と入水(相手は死亡)したりします。
親には、ほぼ勘当され生活は破綻するが、複数の女性のもとに転がり込む男めかけのような生活をつづけ、漫画家となる。やがてアルコールとモルヒネに溺れ、脳病院に収容され、田舎に連れ戻されます。

太宰治の体験がかなり入っているようで、無茶苦茶な人生の物語ですが、なんだかわからない不思議な魅力がありますね。
こういう本に救われる人というのも相当数いるでしょうね。