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精神科医師のブログ。
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ヨラシムベシシラシムベカラズ

2013年03月22日 | Weblog
「TPP反対で当選した国会議員のTPPに対する認識。」からの続きです。

TPP反対を公約に掲げ、長野2区から選出された自民党、務台俊介衆議院議員からのメールをいただきました。
選挙公約どおり、あくまで「TPP参加に賛成していない」ということをおっしゃっておられました。



「樋端佑樹さま

繰り返し申し上げますが、私はTPP参加に賛成しているわけではありません。
一方で、世論の動向は、安曇野も含め、TPP擁護論が過半であることを肌で感じます。
事務所にも「なぜあなたは反対論者なんだ。農協の権益擁護に何故加担するんだ」との意見を寄せる人が結構います。

それに対して、TPP反対論者は、「おとなしい」対応であるように感じられてしかたがありません。

罷業(※ひぎょう、ストライキのこと)というのは極端な議論かもしれませんが、ネットで訴えていれば役割を果たせるという意識では今のTPP推進派の勢いは阻みがたいものがあるように思えます。

「ヨラシムベシシラシムベカラズ」という認識は、対政府の感覚で私も感じますが、交渉当事者ではない日本政府にはそもそも情報が十分に入ってこないという現状があることも知っておかねばなりません。

何度も申し上げますが、TPPに抗せなければ離党しろという主張は言い過ぎだということだけを申し上げておきます。」

  

これに対して以下のように応援メッセージを送りました。
  
「務台俊介議員。

TPPにあくまで反対されるということ。
力強いお言葉心強い限りです。

恐ろしいことにTPPを推進する大手メディアの論調でTPP参加がすでに決定したかのような報道がなされています。
一方の最大の反対勢力であるJAも存分にゴネて補償をできるだけもらおうというような条件闘争に移っているかのようです。(これまでと同様のたかりの構造です。)

私は昨年TPPに関して信濃毎日新聞社の取材も受けましたが、さらにローカルメディアを活用し反対運動や政治のあり方についての世論をもり立てていきます。
先の選挙では政策に関してどうやっても何も選べませんでした。おかしな話です。

務台さんは「TPP擁護論が過半である、TPP反対論者は、「おとなしい」対応である」とおっしゃいますが、務台議員はTPP反対を公約に掲げ当選したのでしょう?
なぜ詭弁のような言説を繰り返されるのですか?

いくら大手メディアがTPP参加のメリットを並べ立てようとも、リーク情報から判断するに、ボッタクリバーのようなTPPに参加すること自体おかしいと思われます。
百歩譲って交渉に参加して、交渉の最後の最後で情報を得たところで6つの約束を守れる見通しが立たなければ必ず撤退の動きをとっていただきたい。
交渉は4年間は秘密にされるそうですが、国民にはどれだけのこと知らされるのでしょうか?
国民の目の届かないところで、隠れてコソコソやっているのはよからぬことをやっていると疑われても仕方がありません。

これこそ、まさに「ヨラシムベシシラシムベカラズ」ですね。
自ら考え行動する市民を育てるためには徹底した情報公開が必要です。
それこそが民主主義の根幹をなすものです。

議員にはマスメディアが伝えない、中央の空気や情報を主権者たる国民に伝えていただきたいとおもいます。

そしてもし公約の6つの約束が守れない場合は、離党しろとは言いませんが、批准の投票では覚悟をもって超党派で反対票を投じてください。
世論(つくられた世論)がとか、党議拘束がなどと逃げることは許されません。

遠く地元から応援しています。
がんばって下さい。」

市場原理によって社会共通資本が破壊されるのを防がなければなりません。TPP問題の本質はそういうことです。
務台俊介議員はポーズとしてTPPに反対して当選し、実際には安倍総理にしたがってTPPを推進しながら国内向けの条件闘争で農業団体とともにゴネて利益誘導し未来にツケを先送りし、農村を弱体化することに加担しつつ農民票だけを確保するなどという旧態依然の自民党のやり方を踏襲する方ではないと信じています。
是非、政治不信の状態から政治システムが機能するように政治家として筋を通した活動をして活躍していただきたいものです。

務台俊介議員に応援メッセージ、意見を→こちらから。

つづき→TPP反対で当選した自民党議員からの圧力?

TPP反対で当選した国会議員のTPPに対する認識。

2013年03月20日 | Weblog
TPP交渉参加に対して長野2区選出の務台俊介衆議院議員(自由民主党)とメールで質問し、やり取りをさせていています。
その内容を皆さんと共有させてください。

やる気あるのだろうか?TPP反対で当選した自民党議員達は。からの続きです。

「務台俊介議員さま。
分かりました。私は自分の出来る形でTPP反対の声を上げ広げていきます。
6つの約束を守れないのであればTPP批准反対にむけて議員は議員にしか出来ない動きでの活動をお願いします。(最大限の効果が出るように。)
それにしても、この期に及んで何故TPPを反対する議員が自民党にいるのかが不思議です。
反対勢力をまとめて離党するくらいの動きを見せていただきたいものです。

それとも安倍総理や議員にはどう考えて6項目の約束を守れそうもないTPP交渉にあえて参加表明し、しかるのちに撤退する深い考えや秘策があるのでしょうか?
(国民的議論を巻き起こし国民に民主主義や政治、国のあり方について考えてもらうというというような・・。)
しかしつくづく世論を誘導する大手メディアの罪は大きいと思います。
コーポラティズムここに極まれりですね。
ゲリラ的にネットメディアやローカルメディアを活用するしかないですが、TPP、ACTAが批准されるとそのようなことすら困難になりますよ。」

 これに対する返事です。


「樋端佑樹さま

議員に離党する行動を促すのであれば、地域医療に従事する医師の皆さまは、ストライキを行って抗議の意思を示すくらいの行動を期待したいですね。

樋端医師は、自身の行動としてどのような実力行使をしたのか参考までにお知らせください。東京の反対集会ではお見受けしませんでしたね。

TPPは国政の争点の重要ではあるけれども一つの争点でしかありません。景気対策、原発、分権、憲法改正などやるべきことは山積です。その届離党していたら、仕事はできません。



「務台議員さま。

私はTPP反対、政治システムの改革を主張していたあなたに投票しました。
ちなみに比例代表は違う党に投票しました。

もうお忘れになったのかもしれませんが、国民一人一人には日常の生活があり、生業があって政治参加が限られているから代表として議員を中央に送り出しているのですよ。

医療がストライキして国民に迷惑をかけてもいいのですか?
それにこの期に及んでTPPがひとつの争点でしかないという認識は相当甘いとおもいます。

私はTPP問題を通じて、やはり今の政治体制ではこの先の日本は危うい、政治に参加し声を上げて行かなければだめだということを身近な人と話し合い、インターネットなどでもアピールしていきました。
今後はそれに加え、特に自由民主党による江戸時代と変わらぬ「由らしむべし知らしむべからず」という体制こそが最大の問題点であるということも主張していきます。」



この大事な局面で政治家としての仕事に対して覚悟を持って臨んでくださいと言っただけなのですが・・・。

TPPは世界中の諸国民が幸せになるための枠組みではなく、自由貿易を装ったブロック経済で民主主義や国家を無力化し社会共通資本を破壊して多国籍企業が利益をあげるための枠組みです。
TPP参加すればルール作りは密室でおこなわれ、自然環境や地域固有の文化は二の次となり多国籍企業の経済論理優先できまります。

景気対策、原発、分権、憲法にも大いに関わります。
国会議員の存在意義すら無くなるかもしれません。

反TPPの議員が超党派で結集し安倍総理の内閣不信任決議をするというような動きはないのでしょうか?
TPP反対を主張して当選した議員も、しょせんは反対しているぞというポーズにすぎなかったのでしょうか?


務台俊介議員にはこちらから意見できます。



つづきはこちら→ヨラシムベシシラシムベカラズ




政府は必ず嘘をつく――アメリカの「失われた10年」が私たちに警告すること (角川SSC新書)
堤 未果
角川マガジンズ

99%の人の必読の書。

やる気あるのだろうか?TPP反対で当選した自民党議員達は。

2013年03月19日 | Weblog
前回のエントリー(TPPをめぐる自民党内の動き)のあと安倍総理が3月16日にTPP交渉参加表明をしました。

地元選出の務台俊介議員に自民党の公約違反に対する抗議、および今後の対応についてメールで問い合わせました。
特に「議員総会で6項目が保持できない場合、『脱退することも辞さない』ではなく『脱退する』とどうして確約させられなかったのですか?その総会で務台議員はどのような発言をされたのでしょうか。」
とお尋ねしましたところ早速次のようなお返事をいただきました。



「手厳しい指摘ですが、おっしゃることの懸念については、私も共有します。
安倍総理を信用するしかないでしょう。
今日の党大会で、公約を破ったらどうなるか分かっていると、安倍総理も石破幹事長が口をそろえて言っています。
安倍総理の聖域保持の思いは確かだと私は感じました。
私自身も21分野の作業グループに属し、政府の交渉を国会の立場で監視して行きます。
今の段階で公約違反を犯したと言明するにはまだ早いと思います。
総会では、多くの人が私の思いと同じ発言をしており、私自身は発言までは至りませんでした。別の場で十分発言する機会はあります。
NHKという言葉があるのだそうですね。長野、北海道、熊本が強烈な反対運動をしているという趣旨です。
ところで、一連のJAの対応については、私はボタンの掛け違いがあると思います。
2009年の選挙の際には、農産物を含めた貿易自由化と農家の個別所得補償をセットで民主党が公約を行い、私がその危険性を訴えたのに、JAは民主党を支持しました。今回も、民主党候補と私は同列の支持でした。
その民主党が、普天間の付けをTPPで譲ろうとしたことから今回の展開に繋がっています。
私はそれでもなお、個人としての思いからTPP慎重論を展開して行きますが、政権党の一員であることから大きな枠組みの中での聖域保持に全力を傾注するしかありません。
昨晩お会いした、前安曇野医師会長は、TPP賛成でした。びっくりしました。
TPPに関しては、樋端さんのような反対論が大きな声になっていない懸念を感じます。
もっと大きな声をあげてください。私たちが活動しやすいように。


しかし釈然としない回答です。

今からTPP交渉参加しても自民党が掲げた全6項目の保持は困難であり国益および主権を損じることは明らかです。
そのようなものに参加表明などしないことが一番国益にかない安全保障となります。
本当に安全保障を考えるというのならFood、Energy、Careは地域圏内で可能な限り自給すべきなのです。(キューバのように)

自民党が選挙前に国民としたTPP交渉参加に関し6項目の約束は以下のようなものです。

(1)「聖域なき関税撤廃」を前提にする限り交渉参加に反対。
(2)自由貿易の理念に反する自動車等の工業製品の数値目標は受け入れない。
(3)国民皆保険制度を守る。
(4)食の安全安心の基準を守る。
(5)国の主権を損なうようなISD条項は合意しない。
(6)政府調達・金融サービス等は、わが国の特性を踏まえる

それなのに安倍首相も(2)~(6)に関してはほとんど言及せず(1)の関税のことしか話していません。
(1)にしろそもそもTPPに関して交渉権のない米オバマ大統領が「聖域なき関税撤廃を前提とするものではない」と言ったところで何の意味もない共同宣言でした。


この約束が、2013年3月13日の自民党議員総会での決議では

 一、重要5品目(コメ、乳製品など)を関税撤廃の例外とする
 一、国民皆保険制度の堅持
 一、「聖域」が確保できない場合は交渉脱退も辞さず
 一、十分な情報を国民に提示

といつの間にか重要項目がどんどん抜け落ちていきます。

こんなウソばっかりの状況なのに政府も大手マスコミも国民と約束した「聖域はまもられる目処がたったからTPP交渉に参加するのだ」と、TPP交渉参加→TPP批准が既定路線かのように既成事実化をすすめています。

なんとも国民を馬鹿にした話です。
そして既存の参加国の承認、国会での批准など実際の参加までには長い道のりがあるのですがもう参加することが決まったようなお祭り報道です。

つくづく世論を誘導する大手メディアの罪は大きいと思います。
ゲリラ的にネットメディアやローカルメディアを活用するしかないですが、TPP、ACTA(著作権侵害の非親告罪化)などが批准されるとそのようなことすら困難になります。

  

あきらかにおかしな動きですが、このような反民主主義的な動き(コーポラティズム)に対して対抗していく鍵となるのはTPP反対を訴えて当選した自民党議員のはずです。
しかし務台俊介議員を始め、TPP反対を公約に掲げて当選した自民党議員の方々にはどうも本気度が感じらず、その言説も詭弁にしかみえないのです。

一体なんのための政治家なのでしょうか?

当然、私たちは私たちとして声をあげ、私たちにできる動きをします。
しかし議員は私たちの代表でありメディア(媒介)なのですから、市民の声が政策に反映されるように中央での活動をしていただかなければ困ります。
もし交渉へ参加したとしても主権や国益を損ずるものであるかぎり(ほぼそのような内容であり交渉の余地がないのですから今から交渉に参加すること自体ナンセンスですが)、TPP批准に対しては絶対に反対してもらわなければいけません。
反対勢力をまとめて離党したり、超党派で結束し内閣不信任を提出するくらいの動きを見せていただきたいものです。

TPP反対派の人はまずTPP反対を訴えて当選した自民党議員にはしっかりと抗議しましょう。
選挙での投票だけが政治参加ではありませんよ。目を離していてはいけません。
政府は必ずウソをつくのですから。

それとも安倍総理や議員にはどう考えて6項目の約束を守れそうもないTPP交渉にあえて参加表明し、しかるのちに撤退する深い考えや秘策があるのでしょうか?
(国民的議論を巻き起こし国民に民主主義や政治、国のあり方について考えてもらうというというような・・。)

つづきはこちら→TPP反対で当選した国会議員のTPPに対する認識。

務台俊介議員にはこちらから意見できます。
長野2区の方は是非意見表明を。(それ以外の方は自分の選挙区の議員に是非意見表明を)


◆◆参考リンク◆◆

TPP反対派の議員はなぜ自民党に居るのか?


TPP交渉参加直前の自民党議員たちのサル芝居

ざまぁみやがれい。>TPP医療制度・国民皆保険崩壊のシナリオ 堤未果


 →報道ステーションサンデー
 
 →必見!!真実は闇の中・・・政府は必ずウソをつく?



政府は必ず嘘をつく――アメリカの「失われた10年」が私たちに警告すること (角川SSC新書)
堤 未果
角川マガジンズ

99%の人の必読の書。

「せん妄」の対応について

2013年03月14日 | Weblog
精神科ローテした研修医に質問されたので・・。
ドクター向けの内容です。

「せん妄」はどの病院でも多い問題だと思います。
記憶、見当識障害のある認知症の方が入院した場合、本人の立場になって考えると、
「気づいたら、よくわからない場所にいて、やたら愛想のいい白い服を来た人に囲まれて・・、いろいろなものが繋がっていて不安で仕方がない。」
という状態からの治療スタートであり、生活感のある介護施設と違い、病院はじっとしていなさいという場所ですので混乱は必至です。

看護記録などにしばしば登場ずる「不穏」ということばがありますが、これは正式な医学用語ではなく状態であり、「おちつかない」くらいの意味です。
せん妄には活動性せん妄と低活動性のせん妄があり、活動性のせん妄では不穏になりますが、軽い意識障害が変動しながら持続する低活動性のせん妄は認知症の鑑別診断にあがるような様子になります。

まず、「せん妄」はほとんどが身体疾患であるという認識が何より大切です。

①認知症や脳梗塞などで弱った脳に環境の変化や身体の不調が重なって起きます。
②軽度~中程度の意識障害(レベルは変動)にさまざまな精神症状があわさります。
  認知症や精神病、通過症候群などが鑑別にあがります。
  意識レベル(MMSEやJCSなどでも可)の変動をみるためには頻回の観察が大切です。

③大半には肺炎などの感染症、低酸素、低血糖や高血糖、電解質異常などの全身疾患、脱水、便秘、尿閉、疼痛など不快な症状(訴えられない)、あるいはベンゾジアゼピンやオピオイド、ステロイドなどの薬物の影響があります。メジャー(抗精神病薬)をつかっていたらアカシジアなども有るかもしれません。
  身体診察に応じて胸部レントゲンや一般採血、頭部CTやMRIなどを追加しましょう。
④ちなみに高齢者でせん妄がおきるような状態はどの疾患であれ生命予後、機能予後不良です。
  家族にもしっかり伝えておく必要はあります。


治療は、

①原因となる身体疾患の治療、不快な症状の除去、マイナーなどの薬物は中止。

感染症などの治療や排便コントロール、疼痛の除去などは最優先してください。
慢性尿閉があり、本人にしっかり説明してバルンカテを挿入したらせん妄がおきなくなったケースもありました。

②オリエンテーションをつけ昼夜のリズムをつける。
(日中はしっかり起こす、院内ディケアやリハビリに参加、窓際の光の当たるベッドに変更、夜に寄せる形で少量のメジャーを使用。ロゼレム(メラトニンアゴニスト)などもいいかもしれません。)
③それでも無理なら抑制、持続鎮静・・。


せん妄に対して使うメジャーはセレネースやリスパダールなど何でもいいのですが・・。
定期+頓服という形で処方しておいて頓服使用が多いようなら定期を増量というのがいいと思います。
家族に適応外使用や生命予後を悪化させるリスクについて説明が必要です。
(出来ていないことも多いですが・・。)

・セレネースも0.5mgくらいからなら錐体外路症状もあまりおきず、今でも以外とといいようで年配の先生方はよく使っているようです。(自分はあまり使っておらず手応えはわかりません。)身体科の医師が、高齢者のせん妄であまりに気軽にセレネースやヒルナミン注の指示を出しているのでびっくりします。

・リスパダールは液剤や口腔内崩壊錠などの剤型もあり使いやすいのが利点ですが、即効性のある鎮静作用を認める人とそうでない人の二つに分かれます。そうでない人にリスパダールを増量しても錐体外路症状がどんどんひどくなる一方なので使用にあたっては見極めが必要です。場合によっては中止して別の抗精神病薬に切り替えることを検討します。

・最近はルーランも副作用がすくなく使いやすいです。4mgずつ漸増など。

・糖尿病が無ければセロクエルが錐体外路症状がプラセボと同程度と出にくく、抗幻覚妄想作用の他、抗うつ作用、抗不安作用や用量依存性の鎮静作用もあり使いやすいです。夕、寝る前などに12.5mgずつ漸増しています。(私はこれが第一選択です。)抗うつ効果もあるせかたまに賦活される方もいます。(パラドキシカル反応)

・ジプレキサはあまりに本格的な統合失調症の薬すぎてせん妄には使わないかもしれませんが、副作用として過食発作をひきおこすくらいの食欲増進作用があり食欲が無い末期がんの方のせん妄に使ったりはします。2.5mgくらいから漸増など。

・糖尿病があれば、高齢者用メジャーのグラマリールも使いやすいです。グラマリールの鎮静効果はセロクエルの半分程度の印象です。100mg/日を超えると錐体外路症状がでる人がいます。

信州でも当事者文化が広がっています

2013年03月09日 | Weblog
美ヶ原温泉のホテル翔峰で開催された第20回「せいしんれんセミナー」が開催されました。
当直明けの眠い目をこすりながら午後から参加して来ました。

当事者の実行委員と支援者で運営されている「せんしんれん」には長野県中から400人弱の精神障害の当事者や支援者が集まります。
全県の作業所などから工賃をつみたてて泊まりがけで参加し、全県から集まった仲間との出会いを楽しみに来られている方もたくさんいます。ロビーには作業所ごとにブースをだして物品販売がならびます。
エネルギーとユーモアがあふれ元気をもらえる集まりです。

私は午前中のシンポジウムには参加できませんでしたが当事者の方々が壇上にたち想いを語るもので素晴らしい内容だったようです。
これまでの偉い人の講演会では飽きてしまってホールに出ているひとが多かったようですが、最後まで大勢が参加できていたと聞きました。
浦河べてるの家を嚆矢とする当事者文化が全国で広がっていますね。



午後の分科会はさまざまな語り場が用意されました。
暮らすこと、ピアサポートや当事者会の運営、夢や希望、家族やスタッフ当事者との関係、症状別フリートーク、などのテーマにわかれました。
また「むかしMattoの町があった」の映画上映のコーナーもありました。

私は前回は病院や医者、薬との付き合いを考えるセッションをさせて頂きましたが、今回も光栄なことにお声をかけていただき「症状別フリートーク」という分科会にアドバイザーとして参加させていただきました。
気分の波や動けなくなったり止まれなくなったりで苦労している人グループと、幻覚や妄想、考えすぎて苦労している人のグループにわかれて話し合いでした。思ったより人数が多くて大変でしたがスタッフのファシリテートでなんとか進行。



簡単なレクで緊張をほぐし、当事者の発言で口火をきり、グループに分かれてカードの質問に答えるかたちでアイスブレイクと自己紹介しました。
その後、不眠や過眠、幻聴、怒りの爆発のコントロール、薬との付き合い、病気になってよかったこと、年金など将来の不安、疲れがわからない、など様々な話題がでてきました。
「病気になって仲間ができたのが良かった。このような場が作業所、地域に広がってほしい。」という声もありました。
私は今年は参加しませんでしたが、このあとに交流会(宴会)も毎年あって盛り上がります。

作業所などの地域スタッフは参加していましたが、病院のスタッフや精神科医師はほとんどいません。こういう場に参加すればすごく勉強になるのに、医師で参加していたのは私と一緒に行った研修医だけだったようです。

もったいないなぁ。

FEC(Food,Energy,Care)こそTPPの聖域。

2013年03月03日 | Weblog

TPPが目指す?自由貿易の利点として比較優位という事がいわれます。
国際分業してそれぞれが得意な分野で生産し貿易を盛んにすればお互いに幸せになれるという理屈です。
しかし地球上のリソースやエネルギーは有限なのに各国の生産の総和が最大化することが長期的に見ていいことでしょうか?
作った作物を輸送するのにも多大なエネルギーがかかります。無理な単一作物の大量生産で環境破壊をきたすおそれもあります。農業をおこなっている農村には農産物の生産意外の機能がたくさんあります。生産性が乏しいからといって農業生産をやめてしまうことが本当にいいのか・・。

むしろ内橋克人氏の言うようにFEC(Food,Energy,Care)の地域圏内自給こそ目指す方向性だとおもいます。
これこそが守るべき聖域です。
逆にFEC以外は自由にやればいいと思います。学問や芸術、科学の世界ですね。
インターネットをフル活用して世界中で取り組めば豊かな社会が待っています。

もっとも、著作権や特許など知的財産の項目をみるとACTAなどTPPはこれにも逆行しています。
そしてもっといえばTPPは自由貿易などではなく、むしろ米国に都合の良いブロック経済です。
グローバル資本が中国や東南アジア、インドなどの諸国にグローバル・スタンダード(アメリカンスタンダード)の俺様のルールでやらせろ~と圧力をかけて「商習慣・文化」というものを破壊してやりたいようにやるための文化・経済戦争なのです。

TPPが実現されれば世界中から資金を調達し、環境への規制がゆるく労働力の安い所で生産し、売れる所で売り、税金の安い所で納める、利益は1%で山分けということがますますやりやすくなります。
TPPはこれらのルールを秘密裏に非公開で議論し、経済の論理、大企業の論理で決めてしまう恐ろしい企みです。



企業は国家と違い環境や国民の生活に責任を負いませんからやりたい放題です。

TPPにおける対立軸は日本 VS アメリカ などではなく、グローバル企業・資本家(1%) VS 各国の市民(99%)です。
だから経団連などはメディアを取り込んでまで推進したいのですね。
彼らの言う国益ってなんでしょうね。

オープンにせず秘密裏にコソコソまとめて進めようとしているのは悪い企みだからでしょう。

三橋貴明の「新」日本経済新聞 【東田剛】これで国益を守れる?

介護認定審査会委員研修

2013年03月03日 | Weblog
日頃から高齢者に関わっている諸先生方はすでに経験されているであろう介護認定審査会の委員の役がついにまわってきました。任期は2年です。
本日はその新任委員研修に大町まで行って来ました。



利用できるサービスも増え介護を要する状態になったら介護保険サービスを利用することは普通になりましたが、介護保険制度にはその導入時から地域を育てるさまざまな仕掛けが組み込まれています。

必要な人に必要な介護サービスを提供するための保険ですが、悪徳業者や利用者もいるのである程度の公正な枠組みも必要です。
調査員の調査と主治医意見書をもとにコンピュータのロジックで出したデジタルな1次判定に対して、介護認定審査会で特記事項や主治医のコメントを元アナログな修正を加えて2次判定をだして要介護度が決定されます。

認定調査には事務費など間接コストの増大にはつながりますが、保健医療福祉の各分野からできるだけ多くの人を認定審査員に巻き込むことで高齢障害者をみる視点を広めようという意図は感じました。JPTECやICLSみたいなものですね。

しかし介護者がおらず介護保険サービスだけでは認知症高齢者や重度障害者、低所得者が施設ではなく地域で暮らしていくのはかなり困難です。
タイムスタディをもとにした介護にかかる時間だけで要介護度が決まり、主治医意見書や認定調査の特記事項にあっても施設・在宅の別、住宅環境、介護者の有無を要介護度の変更の理由にはできないというのはやはり不満がのこりますね。(実際はしているのでしょうが・・)
児童福祉、生活保護、年金、自立支援法、医療保険、介護保険などを一体にしてライフステージを通じて「溜め」を総合的に評価して自立を支援する制度ってできないものかと思いました。
ライフワークにしようかな・・。

TPPをめぐる自民党内の動き

2013年02月28日 | Weblog
安倍首相はどうしてもTPP交渉に参加したいようです。

地元からTPP反対を主張して当選した自民党の務台俊介衆議院議員に、党内の雰囲気はどうなのか、反対派としてどのような動きをするのか、市民にできる事はないかをメールで尋ねたところ、さっそく丁寧な御返事をいただきました。

「自民党の中の雰囲気は、反対派もまだまだ多いです。
しかし、安倍総理がオバマと直接会ってあのような共同声明を発出した以上、交渉に入らないという選択肢はあり得ないという認識も広がっています
例外ない関税撤廃を前提としないという選挙公約がクリアーされ、選挙公約に反しないという認識なのだと思われます。
「危機管理」の観点からは、起きた事態に対応できるよう、中身の議論をしっかりと党でチェクしていくということが現実的なのかもしれません。
私はあくまでも反対していきますが、交渉の中身についても重大な関心をもって議論に参加する覚悟もあります。
なお、世論が交渉参加を支持しているというのも総理が前向きになっている理由の一つだと思います。」


あれれ?という感じです。



世論はTPP参加を本当に支持しているのでしょうか?
あのような茶番劇で国民をだましたつもりなのでしょうか?
しかし大手マスメディアが異常なほど同じ論調でTPP交渉参加推進のムードをつくり交渉参加を既成事実化しています。

きっとこれからはマスコミもTPPに関しては黙り込み交渉は目の届かないところで秘密裏にすすむのでしょう。
なし崩し的に民主主義の根幹の破壊へと突き進んでいくことに空恐ろしさを感じます。



国会議員には中央できちんと動いて声をあげてくれることを期待したいのですが・・。
市民は政治が機能するように議員を応援(監視)しましょう。


発達障害者へ支援に関して

2013年02月25日 | Weblog
いわゆる発達障害(発達のかたより、それからなる障害状態)には自閉症スペクトラム、注意欠陥多動性障害、知的障害、学習障害、発達性協調運動障害などさまざまな障害が含まれます。
これらの発達特性は平均的な人からそのような特性を強くもち社会生活にさまざまな支障のでる障害といえる状態の人までの連続体(スペクトラム)を形成しています。
ちなみにここで障害というのは「(特別な)支援が必要な状態」というくらいの意味合いです。
学校教育の場でこれらのスペシャルなニーズをもつ子どもは全体の1割程度であると考えられています。

なぜ、このような障害ができるのかというと子どもごとに感受性(敏感なところと鈍感なところ)や産まれ持っての特性が違うからです。このため同じ経験をしても発達しやすいところと発達しにくいところができてしまいます。
発達しやすいところは才能とよばれ、発達しにくいところは障害とよばれます。
発達がかたよっていても障害状態を呈さなければ単に発達特性に基づく発達凸凹(でこぼこ)です。

自閉症特性が強い人は過敏と過鈍が混在し、対人関係においても暗黙のルールをうまく捉えて一般化して理解することに困難があります。非常に繊細な感覚や感性をもつ一方で、世界は状況の理解しにくい混乱の多いものでパニックを起こしやすいです。その結果、世界の捉え方が独特になったり想像力に困難をかかえたりこだわりにつながったりします。
ストレスがかかり余裕がなくなると昔の辛い体験を何度も思い出すフラッシュバックをおこします。
また敏感さ故に疲れやすいのですが、疲れたことに気付けないなど身体感覚を捉えるのも困難であったりします。
周囲は特に丁寧な関わりをして理解しやすいように環境を構造化し、適切にフィードバックを返してあげないと、本人のスキルはいつまでたっても伸びずパニックを繰り返し、社会の中でうまく振る舞うことができなかったりします。
マイペースで慣れることにも忘れるのも苦手ですが、はまりこむと特定の分野には深く習熟します。支援者にめぐまれ特性にあった職人的な仕事がはまると社会の中で居場所をみつけられます。

またADHD特性の子は、不注意や多動性、衝動性があり、学童期には授業時間に座っていられない、宿題を提出できない、片付けられないなどの習慣が身につかないことが主症状となります。
発達特性に加えて家庭環境などの要因も大きいです。
不幸なことに抑えこむタイプの教育者にあたると失敗を叱られてばかりでスキルも伸びず自尊心も育ちません。
彼らには適切な支援がないと思春期~成人にかけて、挫折を繰り返し「どうせ、おれなんか。」と反抗性挑戦性障害から行為障害(いわゆる非行)、反社会性パーソナリティ障害、依存症などに発展する危険性があります。(いわゆるDBDマーチと呼ばれている現象です。)
本来的に時間の感覚やお金の感覚がリアルにとらえられず、注意の切り替えが困難で、はまりこむと抜けられず、衝動的でスリルを求めるという特性からメインストリームの学校生活などで自尊心を満たされない状態が続くと、非行グループから反社会的組織(マフィア、ヤクザ)に進んだり、覚せい剤やアルコール、ギャンブルなどに依存することになったりしがちです。
ハンター的な特性、行動力や実行力、アイディアなどが活かした仕事につきパートナーにめぐまれれば社会的に大成功する可能性はあるのですが・・。

これらの発達障害をかかえる子は思春期に入り中学くらいになると、周囲から浮き上がり、いじめの対象となりやすく不登校になったりして、さらに学力や、経験、社会性を養う機会を奪われてしまいます。
人間関係で傷つき、失敗を繰り返し、社会に適応できないことに悩み、適応障害をきたし抑うつ状態となったり、ストレスをかかえやすく統合失調症を発症したりしやすかったりします。

しかし適切な環境とフィードバックのもとでは発達障害をもつ人も発達し続けます。
基本的な戦略としては、最低限のスキルを丁寧な関わりで身につけられるように支援することです。高校や大学などでも様々な発達特性に配慮した支援をおこなう学校が増えてきているのは喜ばしいことです。
障害と才能は裏表ともいえます。
職業選択などでは得意なところを活かして、不得意なことは得意な人がカバーし、どこかで何かを生きていけるように道筋をつけてあげることでしょう。
そのためには支援者はいい通訳やガイドになり当事者に寄り添って支え続けることが必要でしょう。

TPP、メディア報道を裏読みせよ!(●`ε´●)

2013年02月25日 | Weblog
TPP問題に関してはマスコミに流されてあきらめてしまってはいけない。

根は深いのだ。
TPP交渉は民主主義的な選挙で問うたり議会で丁寧な議論することもなく企業の論理で秘密裏にすすめられる。
そのルールは貿易、医療や農業、司法、著作権など国民生活全般に多大な影響をあたえる。
こんなルールを丸呑みさせられるTPPの正体を隠したまま「グローバルスタンダード」「バスに乗り遅れるな」「平成の開国」などの掛け声の下、参加が当然というムードをマスコミは演出した。
交渉への参加表明は東日本大震災で延期されたが、その本質が徐々に国民の知るところになった。

そして先の選挙で野田総理は「TPP参加」の立場から選挙戦を戦おうとした。
しかしTPPの本質が日本国民に知れることを恐れた米側は非公式ながら外交ルートを通じ、TPP問題を争点化しないよう日本側に伝えてきたという。

米政権が「TPP争点化」に「NO」!! 首相の衆院選戦略狂う(産経ニュース 2012.11.25)



結局マスコミはそれに従い、一部の者の狙いどおりTPPの焦点はぼやけたまま選挙に突入した。
国民はTPP参加に関する意思表明をどのようにすればよいか戸惑った。
「TPP参加に反対」で当選した自民党議員も多いが、その自民党の安倍総理はTPP参加を推進している。

「ウソつかない、TPP断固反対、自民党」???山形2区自民すずきのりかず氏、TPP絶対反対を訴えて当選!安倍氏も応援に駆けつける。

そして今回の日米首脳会談でも安倍総理は、「交渉に参加するかどうかを判断する」と言っているにすぎないにも関わらず全ての大手紙が「参加表明」という言葉を見出しに掲げて交渉参加決定が規定事実のようなムードをつくるという茶番。
そしてメディアはTPP参加に反対する勢力の中でも農業団体だけをことさら取り上げ「JA全中、参院選へ圧力、首相に反TPP陳情」と強調。
TPPは関税の問題、農業と製造業の対立、「どうせ既得権益だろう」という印象を与えようとしているように見える。
国民の生活全般に関わる21もの分野のルールに関わることなのに。

グローバル資本家にすっかり支配されているこの国のマスコミには呆れる。
これは民主主義の危機である。
国民も、ここまで馬鹿にされてもっと危機感をもたなくては取り返しのつかないことになる。

いまからできる事をしなければならない。
TPPの本質について学び、政治家に応援あるいはプレッシャーのメッセージをおくろう。

木曽まで出張

2013年02月19日 | Weblog
先日、木曽まで出張してきました。
明科駅から電車にのり、松本で乗り換え「特急しなの」に乗りました。
木曽路を走る中央西線は揺れて酔いますが、木曽福島駅は特急が全て停まっていいですね・・。
思ったより早くつきました。
出張に行っている佐久より全然近いですね。

車だと伊那まで高速でいきそこから権兵衛トンネルで木曽へ抜けられるようになりました。
その日は雪のために高速道路は一時閉鎖されていたみたいで電車で行ってよかったですが・・。



一つ目の仕事は自閉症+強迫、パニックと退行あり特定のスタッフを質問攻めにして離さないケースの相談です。
県立木曽病院でパートで外来をやっている先生からの紹介です。

長年一人で木曽の精神医療を支えてこられた金松先生が引退されて常勤医が不在になりました。
木曽の支援者からすると常勤がいないとなかなかできる事も限られているということが悩みのようでした。
県立木曽病院の精神科の外来はトンネルができて、同じく県立病院でもある「こころの医療センター駒ヶ根」からの方が近いようにも思いますが大学病院や村井病院からパートで交代で来ているようです。

訪ねてみると、その施設はわりと騒がしかったり、環境や関わり方の構造化が不十分でありご本人にとってストレスが多くかつて出来ていたこともできなくなってきているようでした。
薬物療法とともに構造化の方法とフィードバックのかけ方など行動療法的な関わり方をスタッフと検討しました。

その後、二つ目の仕事として木曽町役場で行政職員対象にメンタルヘルスの講演会をおこないました。

スライドはこちら

木曽町は木曽福島町、日義村、開田村、三岳村が合併した長野県で一番面積が大きい町だそうです。
合併後の庁舎は工場の居抜き物件でシンプルな建物でした。



質問も多く出て、部下やメンタルの問題で休職した同僚への対応などとっても温かいものを感じました。
一般論として役場の庁舎の豪華さと行政の内容は逆相関することを考えるとよい行政組織なのではないかと思いました。


認知症治療に精神科医は関わるべきではない?

2013年02月09日 | Weblog
高齢者医療に熱心に取り組まれている老健の医師の書いたブログがありました。
EBMを日本に広めたことで名高い名郷直樹先生が最近書かれた認知症治療薬の効果に疑問を呈した総説にたいする意見のようです。

寮隆吉のBLOG よき高齢者医療のために 補遺 認知症治療薬の効果―名郷直樹先生の総説論文

曰く、
『「認知症診断にも、認知症介護にもほとんど関わらない精神科医が、認知症をみると、向精神薬ばかりを投与して、時に廃人のような人間を作り出す。認知症治療に精神科医は関わるべきではない。』
とのご意見のようです。

こういう意見は多いです。
いつの時代も精神医療は悪者です。
たしかにそういう精神科医もいるでしょうがこれまた過度の一般化ですね。

うちの近くの特養化した老健では医療費が包括払いのためもあるのでしょうが、高価な認知症治療薬は収益が下がると嫌われておりバッサリ来られてしまいます。薬も多すぎる、高すぎる、意味がわからないと文句を言われたりします。
もちろん、おちついているのなら、薬を減らしていくのはいいと思いますが、うつの方に出していた抗うつ薬もバサバサ、切られてうつ転して戻ってきたりします。
そして、もとの性格から対応が難しかったりして集団生活に少し適応できない方がいるとなると精神科に丸投げしてきたりするのでなんだかなぁと感じてしまうわけです。

結局、科にかかわらず目の前の人にどこまで覚悟をもって丁寧に関わり続けられるかという事だと思います。

認知症はいろいろなことが出来なくなっていく老化に加えて、アンバランスな解体(老化)が苦しいわけです。
そしてその苦しさを表現する方法をBPSD以外に持っていません。
そのバランスをとるために賦活系の薬も鎮静系の薬お薬も使い、タイミングよく必要な支援をめいいっぱいするわけです。杖や補聴器、老眼鏡と同じ。症状に寄り添う形でいろいろ調整すること自体が治療的です。
緩和ケアのようなイメージ、またBPSDと薬を言葉に会話しているようなイメージもありますね。

さまざまな薬剤や社会資源を活用しながら、付き合いつづけていくことは知的発達障害や、統合失調症や、躁うつ病などの精神病、依存症、パーソナリティ障害の方に鍛えられた精神科は得意だと思います。

認知症が進行すると時間の感覚や昼夜のリズムも失われてきますからディなどの日中の活動の場とともに夜に寄せる形て鎮静がかかる薬も併用してリズムをつけます。

最近の認知症治療薬には自然経過を多少就職するだけの明確な手応えはあります。
認知症治療薬の治験も安曇総合病院でもいくつもやって来ましたが、治験への参加へ基準や結果の判定、交絡因子の除外があまりに大雑把で(診断でくくる限り、このような形しかないのでしょうが)、数百というエントリー数で優位な結果は難しそうに思えます。
降圧薬で血圧を下げたらどうなるか、臓器障害がどうなるかなどのアウトカムとことなり効果はすぐに目に見えますが、精神に対する薬の効果というのは長いスパンでQOLがどうであったかとうことですから一言で語るのは難しい。
複雑系に対する介入で個別性が非常に強く、効きそうな人にだしたら効いたという、漢方薬に近いですね。治験のやり方も工夫の余地たりと思います。
そして最適な量は人によります。量を間違えば逆効果になります。あわないメガネを掛けるようなものですから・・。

だからアリセプトもメマリーも用量用法に適宜増減の言葉が欲しくさじ加減を堂々と許してほしい。
アリセプトも5mgつかうとパーキンソン症状がでて身体が傾いたり(レビー小体型認知症でした。)、メマリーも添付文書の通り5mgずつ1週間毎に20mgまで増やしていくと、10mgを超えたあたりでめまいやフラつき、鎮静がでることをしばしば経験します。
人によって体格も腎機能も、肝機能も、代謝も脳の過敏性もことなるのに診断名だけで用量がひとつに決まるわけがありません。
安くて効果のある抑肝散にも使いやすい錠剤や液剤の剤型が欲しい。多額のコストがかかる治験をやり直さなくても効果の明らかな抑肝散に使いやすい剤型がでればどれだけの人が助かることか・・。
抗精神病薬も生命予後のリスクは下げるという危険性はありますが、で緊急避難として堂々と使えるようにしてほしい。
ある程度進行し混乱期に入った認知症の方に投与していた中核症状の進行を遅らせる薬を中止しても避難しないような雰囲気になってほしい。
医師の勤めは生命予後とQOLの積分値の最大化であり、どんな薬もリスクはあって悩みながら使っているのですから。

もっとも当事者や介護者を一人にせず一緒に悩み考えてくれている人、特に専門職がいるということが一番大切です。
介護者が心穏やかに過ごせると、本人も穏やかに過ごせるようになります。

ただ今使える認知症治療薬を1日最大量使うとアリセプト10mg(636円)、メマリー20mg(427円)、合わせて1000円超えますから、不十分な効果を考えるとこれはちょっと高すぎると思います。QALYや介護負担を計算した研究もあるようではありますが・・。
お互いに穏やかに暮らせるのなら月に約3万円を介護者や介護職が自由に使えるというオプションもあってもいいと思う。(難しそうですが)

認知症に関わること全てに関してどこにお金と時間を使うかというバランスが課題です。
商業化、産業化された医療産業に対し、製薬会社の言いなりにならず、有限な医療福祉資源をトリアージすべき医師が目の前の当事者や介護者の幸福を最大化すべく、どう対峙すべきかとうことが問われているのだとおもいます。

本当に怖い?認知症

2013年01月27日 | Weblog
大町市常盤公民館で認知症に関する講演会の講師をしてきました。

ありきたりではつまらないと思って「本当に怖い?認知症」というタイトルでお願いしていましたが・・。
どこでどう間違ったか「?」が消えて案内のチラシが「本当に怖い認知症」として回覧されてしまいました。
訂正をお願いしたけど手遅れ、新聞の案内のみギリギリセーフで修正してもらいました。
これでは意味が真逆です。(T_T)
「認知症は怖くない」くらいにしておけばよかった(^_^;)
フザケルナと雪球投げられるかとオモタヨ。

しかしそんな怖そうなタイトルにもかかわらず、また雪にもかかわらず多数の方が参加くださいました。
認知症のテーマはどこでも人が集まりますね。

認知症の講演会ってあちこちでやっているから聞いたことがある人が多いかなとおもっていましたが、会場で質問するとはじめて聞くという人がほとんどでした。
それでも認知症をかかえる方が身近にいた人は結構おり、関心の高さがうかがえました。

会場のみなさんに質問しながら双方向での話を心がけました。

スライドはこちら

大糸タイムスや大町市のケーブルテレビにも取材頂きました。

ちょっとはじめての方向けの話としては盛り込みすぎだったかなともいましたが、アンケートの感想をみると好評だったようです。

「認知症への恐怖心が少しとれました。」
「認知症についての心配が少し軽くなった。」
「今から少しずつ片付けをして子どもたちと相談して決め事をしています。」
「相談するところ、方法などを教えてもらってよかったです。」
「これからの自分のために良い話でした。」

などなど・・。

でも、「認知症の集団検診の企画をしてほしい。60才、70才などの節目に迎えて公的な健診をしてほしい。」という ((((;゜Д゜)))ガクガクブルブルな意見もありました。
介護予防みたいに集めて脳トレさせられるのか?それとも拉致されて措置されるのか・・。
本当に怖い・・。

アベノミクスで日本叩き売り中!

2013年01月27日 | Weblog
自民党政権に変わって、景気浮揚策をガンガンやっているように見せかけて日本たたき売り中・・。

アベノミクスなんて呼ばれているようですが、「金融緩和」で銀行にジャブジャブお金を注ぐ、「大型公共事業」をばらまく、「成長戦略」の名で格差と貧困をひどくする。
どれも「国民の所得を増やす」というデフレ対策本来の目的から外れたものばかり。

公共投資や消費税増やインフレターゲットで住宅ラッシュなど需要の前借りがおこり一時は景気は良くなるかもしれませんがね・・・。
きっと衆議院選挙まではこれで行くんでしょう。
その後が怖いですね。

そして国家が国民に保証する健康で文化的な最低限度の生活ライン(生存権)をしめすラインである生活保護の切り下げ、つまり人間のデフレ化が行われています。
最低賃金や様々な制度が生活保護ラインを元に動いているわけですから生活保護だけの問題ではありませんよね。
近年のデフレによる物価下落に連動させる必要があるといって生活保護、段階的に7%程度下させていこうという方針の一方で、政府・日銀が、2%の物価上昇率の目標盛り込むなどわけがわかりません。

インフラも整って治安の良い日本で途上国並に安く労働者を使えるようになるから企業にとってはいいことなんでしょうけどね。
ワーキングプアが増えて子育てや介護なんてとても出来ませんね。
GNH(グロスナショナルハピネス)は減る一方です。

日本売り尽くしセールでしょうかね。

また、選挙で選ばれたわけでもないのにブレーンとして大きな顔をしはじめた竹中平蔵氏は「若者には貧しくなる自由がある、貧乏をエンジョイすればいい。」とのたまっているようです。
アメリカに行って自由な競争でやってください。

格差の拡大やワーキングプアの問題はどのように考えているのでしょうか。

そして企業へは減税(それにより国民の所得が増える保証はありません。)するようです。
そして低所得者からは消費税増などの増税できっちりとります。
そしてインフレ誘導で国民の資産はいつの間にか減り、借金(国債)は減り、売ることの出来ないアメリカの国債を50兆も購入しています。
(「売ったら戦線布告と見なす。」と言われているやつです。)

マネー資本主義経済の胴元たちのルールで日本を叩き売るTPPに参加しようとし、危険な原発は推進する。
そして憲法を改悪しようとしています。

今の自民党政権のやろうとしていることはグローバル企業のための政策という点で一貫しています。
国民の生活をどう守るかという視点は感じられません。

グローバル化は平準化だから世界全体で見れば世界の人の平均賃金レベル、生活レベルは上がっているんだとはおもいます。
ただ民主主義国家というものをグローバル企業が超越し、国民生活や環境よりも株主利益が先にきてしまっているところが問題なのです。
企業が国民の生活や環境に最期まで責任をもってくれるならいいのですが、用がなくなれば不要な人は放り出しますし、賃金が上昇したり、環境規制が厳しくなれば工場は移転するだけです。

イスラム過激派のテロリストは「民主主義を否定し宗教国家を作ろうという危険思想の持ち主」と報道されていました。彼らのしたことを擁護するわけではありませんが彼らにとっては民主主義を装ったグローバリズムこそ危険思想だったのではないでしょうか?

マネー資本主義、グローバル企業という手に負えない化け物の跳梁跋扈する世界、大量生産大量消費大量移送自体の見直しが問われているのだと思います。
ガンガン作ってガンガン売らなければ経済が回らないなんて経済のほうがおかしいのだと思います。

安倍総理やそのブレーンに時代遅れのことをしているという自覚はどのくらいあるのでしょうか?

HDS-RとMMSE

2013年01月20日 | Weblog
認知症の神経心理学的検査として用いられるミニメンタル(MMSE)と長谷川式簡易知能スケール改訂版(HDS-R)はよく似ているが、個人的には長谷川式の方が良くできていると感じる。





もっともこの2つの検査はどちらも30点満点であり質問項目にも共通のものも多くスコアは9割程度相関するといわれる。
ミニメンタルは言語機能(聴理解、書字など)や構成障害も入っているが、見当識の検査もちょっと細かくわかりにくい。(たとえば何地方?とか当地では答えが定まらない。)
長谷川式は特にアルツハイマー型認知症で障害される複数の要素がバランスよく入っており、3語再生の配置や野菜の名前10個が秀逸であると思う。

長谷川式は1991年に改訂されたが、改定版前の長谷川式(1974年に開発、終戦の年は?とか、今の総理は?とかが入っているやつ。)までいれればMMSEより歴史がある検査だ。
しかし治験やデーターベースなど学術的にはMMSEが国際的に広く用いられている。
長谷川式は英語版が標準化されておらず世界では使われていないからだろうか。

個人的には長谷川式に時計描画(CDT)と立方体模写を組み合わせが臨床的に一番よいとおもう。
長谷川式の一部の質問とCDTを組み合わせたような簡易スクリーニングの標準化も行われているようだ。

FTLDが疑われればこれにFABなどを組み合わせるのがよい。
MMSEは著者が著作権を主張しており、有料になる可能性もあるというきな臭い話もある。(→こちら
(1テストあたり1.23ドル!)

日本人なら長谷川式を応援しよう!
といいつつ安曇総合病院でもアメリカンスタンダードにまけてMMSEをとることになってしますが・・。

(略語がわけがわからない読者の方にはすみません・・)