プシコの架空世界

ホレホレ触るとはじけるゾ。
理性がなければ狂いません(妄想の形成にも理性の助けがいる)。

言葉と抵抗

2016年10月30日 12時34分04秒 | 日記

小林秀雄著『Xへの手紙』から一部抜粋。

言葉というものは、人々の頭に滲透(しんとう)して限りなく多様な抵抗を受ける電流の様なものだ。この抵抗こそ言葉というものの現実的な意味である。抵抗を少しも受けない言葉は、必ずしも人間の口から発音される必要はあるまい。俺は信ずるが、所謂(いわゆる)公式というものは単に退屈なだけではない、そんなものは全然この世にない。あったところでいずれ市場で買える代物(しろもの)だ、しかも飛んでもない安物でなければ、無暗な贅沢(ぜいたく)品にきまっている。こんなことを言うと或る人には誇張と響くだろう、比喩(ひゆ)と取られるかもわからない。だが俺にはそんな洒落気(しやれけ)はない。公式などというものはこの世にない、断じてない、これこそ俺が重ねて来た結論だ。久しく頭の中にはあったが、近頃になってやっとこれが言いきれる。そして今まで何一つ為(し)て来なかったが多少は成熟して来た事を感ずる、併せて多少の疲労をと言いたいが、それは少々馬鹿々々しい。

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