広島で芝居を楽しむためのブログ

広島での観劇レビューや日々思うこと徒然と。芝居で生の驚き、生の迫力、生の感動を多くの人に知ってもらいたい。

公演名:SHAKESPEARE’S R&J

2005年03月01日 | 観劇レビュー
日時・会場:
 2005.3.1 19:00 アステールプラザ大ホール
作・演出:
 ジョー・カラルコ
出演:
 首藤康之・佐藤隆太・小林高鹿・浦井健治
感想:
 ホールについての第1印象、人がやけに少ないな。公演まで時間があるからだろうと高をくくっていたが、その後客足が伸びることはなく最終的に7割ぐらいの入りだった。一方2階席も数えるほどしか人がいませんでしたので、全体で6割をたぶん切っているだろう。確かにCMもパッとしなかったし、演目も蜷川演出と同じロミオとジュリエット、そして心くすぐられるキャスティングとは言いがたかったとはいえここまでとは・・・。やっぱり4人芝居でチケットプライス7,500円はちょっと高めが影響を与えたのか。正直5、6千円が妥当な線だろうと思う。人が少ないとよんで高め設定なのか、よみちがいかは知りませんが。さらに客層もまさに微妙。ミーハーや追っかけ系、そして往年の中高年の演劇ファンでもない。もちろんガテン系ではありませんし、なんとも不思議な空間。ある意味新しい状況にクラクラッときました。相変わらず、初めて演劇にデートできました的な人種が後方座席にちらほら見られたのはご愛嬌でしょうか。さて、舞台のほうは。期待はまったくしていなかったけど実は面白かったんです。暗転し突如聞こえる足音、そして4人が登場。縦横10メートルほどの正方形の舞台ですべての物語は語られていきます。小道具も腰掛台ひとつに椅子2脚、そしてポスターにも写っている赤い布。衣装もハリーポッターみたいな感じのヨーロッパのお坊ちゃま学校の制服のみでした。ものすごくシンプルな芝居で、俗にいう"見立て系"。寄宿舎で深夜行われるR&J(ロミオとジュリエット)の秘密の朗読会。4人がさまざまな人になりきり話が進む。なかなか面白方のだが、理解できなかったのは話の落とし方。厳しい宗教関係の寄宿舎学校で深夜こっそりと友達4人で読みまわすR&J。規則を破るという共有する秘密は友情を深めていく。そして、多感な少年たちとっては刺激のある物語。異性への愛の芽生えや4人の友情を喚起させる脚本、演出をちりばめていたのだろうけど、最後にひとりの生徒の夢物語的な落とし方はいったいなんなのだろうか。正直わかりませんでした。脚本が弱いのか、演出でわかりにくくなったのかは知りませんが、どっちにしても話としては弱いと思います。最後での息切れ感?尻切れトンボ感?はいなめないかと。でも女性ならば何か感じとれるのかも。女性は思う以上に"感じ""ひらめいて"いるから。男はあるものをそのまま見ることしかできません。"こういう解釈もありだよ"っていうのがありましたら、教えてください。しかし、脚本自体は、ロミジュリを全く知らない人にとっては"はしょり"すぎ感はありますが、照明、場面切り替えやテンポは秀逸だと思います。退屈せずみることができた。セリフが詰め込みすぎで聞きづらいことがありましたが、もとがシェークスピアだから仕方がないか。さて、首藤と佐藤が主役、脇を固める、そして脇で芝居を学ぶのが、小林、浦井でしょうか。どっちが芝居修行中かは見てればわかります。でも、4人とも良い男です。男が言うのもなんですが、本当です。動きが良い、表情が良い、勢いが良い。ダイナミックで脈動感があり体全体で演じているって感じ。ちょっと言い過ぎですが、良い感じでした。間違いなく"これからの人"です。首藤、浦井は良く知りませんが、よかったぞ。テレビでおなじみの佐藤竜太。濃く破天荒な演技のイメージがあるが、舞台では別人。こいつ演技できるじゃんって思いました。間違いなく舞台俳優です。テレビには出ないほうが良いかも。でもブラウン管での自分の見せ方がわかれば化けるかも。小林高鹿って、あの人ですよね。ナイロンとかペンギン何とかいう劇団の・・・。よくわかりませんが、芝居が安定しており舞台脇でもちゃんと演じているが良かった。最後に"落とし方""チケット代"と疑問が残る部分もあるが、良い芝居だったと思います。やっぱり元気な4人が良かったなんて"ミーハーみたいな"まとめで終了。