

娘が眼も覚めるような美人だと

お父さんは期待する
どこか家柄が良い大金持ちと結婚して

一生幸せに暮らしてほしい
でも娘があまりにも美人過ぎると



お父さんは逆に心配にもなる
どこかの悪い男に騙されるんじゃないか

古今東西人間が考えることはそれほど変わらない


それは今から1300年位前でも同じこと


スペインの古都トレドのタホ川で
それはそれは美しい少女が水浴びをしていた


少女の名前はフロリンダ


夏の暑いトレドのこと

さぞかし水浴びは気持ちよかったことだろう


けれどそれを盗み見していたのが
こともあろうに西ゴートの王様ロドリーゴ

フロリンダがあんまり美しかったので

有無を言わさずフロリンダをさらってしまう


フロリンダのお父さんはそのころトレドから遠く離れたジブラルタル海峡で
イスラムから西ゴート王国を守る為に孤軍奮闘


王様の為に一生懸命闘っていたのに


なにぃ娘があのばか殿にさらわれたぁ
蝶よ花よ


よりによって自分の王にさらわれるとは

娘を返せ






頭に血が上ったお父さん

ジブラルタル海峡をイスラム教徒から守る役目だったのに
どうぞご自由に渡って攻め込んでやってちょうだい


あろうことかお父さん

ついでにイスラム教徒はあっという間にイベリア半島を占領し
そしてそのままスペインに800年近く留まることになる


もしフロリンダがあんまり美しくなかったら・・・
ロドリーゴも誘拐なんて考えつかなかったし
お父さんもジブラルタル海峡をイスラム教徒からちゃんと守っていたかもしれない


その後スペインは約800年もイスラム教徒との死闘を繰り広げることになるのだから
美しすぎてごめんなさい

美人も時には罪になる


犬も歩けば歴史に当たる

これからしばらくスペインの歴史を女性と絡めて綴りましょう


皆様も是非ホリデイでスペインに来て下さいね















