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ホリデイ現役添乗員日記

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グラディエーターに現を抜かして、国が滅んだ!

2011-07-21 00:27:25 | ホリちゃんイタリア
ホリちゃんです。「グラディエーター」という映画をみたことありますか?2,000年に公開されて、大ヒットしたハリウッド制作のアメリカ映画です。時代と舞台は、もちろん古代ローマ帝国。街全体が博物館といわれるほど、無尽蔵に古代遺跡と遭遇するローマの街でも、際立ってスケールの大きい遺跡がコロッセオ(円形闘技場)でしょう。

   

遠くからでも目立つし、近づくとその「ド迫力」に呑まれる感じがします。

   

5万人の大観衆が入れたという内部の規模は、現代の東京ドームやサッカースタジアムと何ら変わらない。そして、そこで大観衆を前に何が行われていたのでしょう?一言でいえば、市民の娯楽としての「死闘」であり、「殺戮」でした。そうです!殺し合いを楽しむ場所がコロッセオだったのです。主に、属州や植民地から連れて来られた捕虜や、奴隷たちがスポットライトを浴びる「死闘」の主人公だった。プログラムは多様で、人間対人間(剣闘士対剣闘士)、人間対猛獣、猛獣対猛獣、と目先を変えて、決して退屈させることなく企画され、しかも、どちらかが死ぬまで戦い抜かねばならなかった。まさに、身の毛もよだつ試合を見ることは、観衆の最大の娯楽であり、気晴らしであった。今でも、レトロブームなのか、怖いもの見たさの臨場感欲しさからなのか、観光客に超人気の観光スポットだ。

   

個人で並ぶのも大変、グループで見学するのも、中々予約をとるのが簡単ではないところなのです。だから、いつ行っても超混雑。

   

「ローマ市民」と言ったが、「市民」とは何か?8~9割の奴隷の上にたつ一握りの「貴族」のような存在だ。「市民権」とは何か?それは、日常生活を奴隷労働に支えられ、「働かなくても良い権利」だ。ローマ皇帝は、もちろんピラミッドの頂点に立つ絶対的権力を誇る。しかし、それは、ローマ市民に「パンとサーカス」を保証してやれるからこその「権力」だ。皇帝は、それを可能にするために、属州や植民地から奴隷や物資を略奪し、権力闘争に余念がなかった。

   

   

   

中をのぞいてみると、当時そのままの臨場感が伝わってくる。「パンとサーカス」と言ったが、「パン」とは、食料だ。そして、「サーカス」とはコロッセオで繰り広げられるような「最高の娯楽」だ。最大限、享受したのは「市民」だ。そして、最大限、権力維持のために利用したのは「皇帝」だ。市民は「パントサーカス」が保証される限り、皇帝を支持した。もし、かなえられなくなったら、新しい皇帝と取り替えるだけだ。
皇帝権力は絶対ではあったが、ある意味権力基盤は脆弱だった。

   

ホリちゃんがまだ生まれる前、つまり、昭和時代の始め、世の中が戦争と戦争をけしかける軍部に都合の良いファシズムに傾斜し、民主的な思想や言論が封じ込められた頃、
「エロ・グロ・ナンセンス」という言葉が流行した。今でいえば、エッチなこと、はらはらどきどきする格闘技やスポーツ観戦、愚かなバラエティーショーのばか話といったことに国民の関心を釘づけにしておき、社会問題や政治から関心を遠ざける一種の「愚民化政策」である。これが功を奏すると、国民の士気は下がり、モラルは退廃し、国力は内部からじわじわ衰える。国民全体が「烏合の衆」と化すと独裁権力を維持しやすい。

   

事実、パックス・ロマーナ(ローマの平和)は、この観覧席で気晴らしに応じる市民をしり目に内部から、じわじわと崩壊していった。働かない市民に変わって生活の知恵と生産技術を体得した奴隷、娯楽に現をぬかす市民に批判の目を向けて、ゆるぎない精神力と祈りの力で水面下から勃興しつつあったキリスト教徒、傭兵として雇われているうちに、軍事力でも、人口や組織力でも圧倒的に優るようになった、ゲルマン民族たちの帝国内移住と権力向上。そうしたことの、集大成が紀元後476年、ゲルマン人の傭兵隊長の軍門に下って滅んだ「西ローマ帝国の滅亡」ではなかったか?

   

観光客として写真をとりながら、ローマ帝国の命運に想いを馳せ、日本の行く末をいっしょに考えてみたいな、などと最近考えていますが、共鳴する方は議論を吹っ掛けて下さい。そんなことは、かなわぬ「真夏の夜の夢」であることは百も承知です。せいぜい、ホリデイツアーへきてイタリア旅行を一緒に楽しみましょう。コロッセオに入場するツアーが多く、ホリデイの「売り」ですから。

   

   

コンスタンティヌスの凱旋門をみながら、その後、キリスト教徒を敵に回しては「帝国」が立ちゆかないと判断し、「ミラノ勅令」でキリスト教を国教化した時代の流れに想いを馳せることもできるでしょう。

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