7月1日付けのブルームバーグ記事に些か面白い記事が載っていた。それによると”政府は1日[公的・準公的資金の運用・リスク管理等の高度化等に関する有識者会議]を開催、合計200兆円超に上る公的・準公的資金の運用について分散投資を促進する方向で議論を進め、今秋に提言をまとめる方針を明らかにした。”と言う事で”公的・準公的資金は11年度末で年金積立金管理運用法人(GPIF)が約114兆円、国家公務員共済が約8兆円、地方公務員共済が約36兆円、私学共済が約3兆円、GPIF以外のその他の独立行政法人が約55兆円など。公的・準公的資金運用はアベノミクスの再興戦略の一環。”
とし伊藤隆敏東京大学大学院経済学研究科教授(座長)他6人(証券系の”エコノミスト”3人と新日鉄住金役員、連合役員、大学系教授1人)となっており、これに付き説明した参事官によれば”株式への長期投資におけるリターン向上のための方策、株式・債券など伝統的商品以外への運用を加えるべきかも含めた分散投資の促進、リスク管理体制などの運用体制などについて有識者会議で検討を進め、今秋までに提言をまとめる意向。”と言う事であるが、ここで有識者等は”株価押上げ策(PKO)の趣旨ではなく、誤解を与えないようにすべきと言う点でも合意した。”と言う事である。
しかしながら”アベノミクスの再興戦略の一環”と言われてもそのまま額面どおり受け取る訳には行かない。対象資産を見ても分かるがGPIFは粗その半分を占め6月4日の日経も”(GPIF)や公務員共済等190法人の年金運用について政府は2015年までに株式などの運用を拡大する事を柱に6月中にも有識者会議を設け、今秋に提言を纏める。と報道していた。従って当然にも”有識者会議”の主たる対象はGPIFであった筈である。それを6月7日の突然の発表でリーマンショックでも変えなかった資産別割合を変更してしまったのであり、又GPIF内部には”運用の専門家”は薄いと言われる中でそれを行ったのある。しかも12年度末資産別割合で言うなら
①国内債券61.81%
②国内株式14.57%
③外国債券9.79%
④外国株式12.35%
⑤短期資産1.48%
となっておりこれを変更前後の資産割合と較べるなら
①67→60 ±8 % (変更前:上限75、下限59)
②11→12 ±6% (変更前:上限17、下限5)
③8→11 ±5% (変更前:上限13、下限3)
④9→12 ±5% (変更前:上限14、下限4)
①(現在:上限68、下限52)
②(現在:上限18、下限6)
③(現在:上限16、下限6)
④(現在:上限17、下限7) ±は乖離幅で単位はそれぞれ%,変更前後とも同じ
であるがこれで言うなら国内債券が確かに下限に近いが未だ1.81%約2兆円の差がある。他の資産については変更しなくともその前後幅は十分にあると見られるわけでありわざわざ緊急に6月7日の株価下落真っ最中に発表するほどの内容ではない。有識者会議は”PKOと見られないよう”と言う事を言っているが報道の経過を追うならそれを全く否定する事は困難でありましょう(状況証拠的に)
今後どの様な結論を出すつもりか分かりませんが国民の大事な財産を投機の餌食にだけはしないよう要望したい所であります。