マクロ経済そして自然環境

経済的諸問題及び自然環境問題に感想、意見を書く事です。基本はどうしたら住みやすくなるかです。皆さんのご意見歓迎です。

2011年での経済学的に些か明るい出来事は??

2011-12-28 12:16:17 | 経済

  本年も押し迫り、投稿も本日がシメとなります。本年は言うまでもありませんが東北地震、更には原発事故等、まさしく明治開闢以来の我が国の危機である事は多くの人の認める所と思います。他方で政治は民主党が掲げた”生活が第一”と言うスローガンが殆ど吹き飛び旧与党と区別の困難な政策展開になりつつあります。ここで問題であったのは旧与党の新自由主義ー新古典派路線に変わる明確な経済学的、政策的展望を現与党の政治家諸氏がつかみきれないと言う所にその根源的基礎があると言うべきでありましょう。

 

昨今のユーロ危機、又特に先進諸国を覆う不況感からの脱出法が旧理論からは出し得ない今日、やはり景気変動こそが市場経済を脅かす極めて主要なフアクターである事を示しています。そのような中、特に我が国を見るならこの12月に発足したケインズ学会は80年代以降一世を風靡した新古典派による不介入路線の現在の無策を克服するための一つの大きなエポックであると投稿者は思います。

 

 

不均衡の一つとして例えば今日の世界的金融危機について、

80年には世界の金融資産額=世界のGDPであったものが10年末には4倍になっている。

富の集中でもアメリカでは上位1%が富の20%近くまでを占めている(2005)でありこれは29年の大恐慌時に近い(エコノミスト:毎日新聞社11/14)等々

 

 

これらは放置出来ない現象であり、又これらは他方で日本でもわかる様に大量の年収300万未満の勤労者を生み出している事と無関係ではない。(その誘引になっているのが過去86年より行われてきた派遣の規制緩和であり、最近では有期雇用が5年と言うような勤労者を一層の不安定に置く規定が出されようとしています)

 

これら旧与党、又既には現与党によって進められてきた路線からやはり国民の生活を擁護する為の経済学は何かと言う事であり其の点で新古典派(新しい古典派)に代置する理論、政策がケインズ学界及び民主的なマルクス派から出される事を望む所であります。

 

正月の休みに一読を勧めたいのが同学会より出された”危機の中で<ケインズ>から学ぶ”でありまして、一部議論になっている部分もありますが、やはり議論の中で今後の方向が 国民生活を守る方向で 出されれば今後の日本にとって良いのではと言う事でありそれが今日のやや混迷的な状況を打破する切欠となるように考えるものであり其の事を述べまして本年の投稿のシメとさせて頂きます。

 

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大阪維新の会の”政策”に関する若干の疑問。

2011-12-26 13:41:33 | Weblog

 先の大阪知事選、市長選でそれぞれ”維新の会”の候補が当選した。マニフエストを見る限り、又漏れ聞く其の政策方針の重点の大きな一つが”公務員制度”の”改革”に有るのは間違いないところでありましょう。

それらを聞くところ公務員の給与が高いという”世論”を集めている思われますが(この点名古屋の河村市長と似通っていますが)この訴えの基本的特徴は、まず公務員は恵まれている、給与が高い、等々でありますがこの主張の特徴点の大きな一つは、では何故逆に民間労働者の賃金は之ほど低いのであろうか?と言う疑問は絶対に言わないと言う事であります。

 

 

一般に公務員は中途採用が無く、それゆえ勤続年数が長い又人事院(国)あるいは人事委員会(地方)はそれぞれの事業所規模50人以上の事業所を対象に賃金調査をしそれを給与勧告と言う事で指示しそれは憲法で認められている労働基本権を制限している事の代償として認められている法的処置であります。これらから平均的感覚より給与が良いのではと言う事を考える住民の方々もいらっしゃると思われますが、しかしここで重要なのはその低位にいる住民の方々の改善策は何であるのかを述べる必要があると言う事です。

 

 

 

 投稿者の見解はこれら一般低位の所得層の温床になっているのが90年代半ばより民間労働者の非正規、派遣の労働者が増え続けそれに伴って年収300万円未満の勤労者が増えていると言う事であります(これは当然自然現象では無く継続した派遣法等の改悪に基ずく)それらを改善する方向をなんら出さないで”公務員の優遇性”のみ喋るとすればそれは言葉は悪いかもしれませんが単なる、×××であり経済政策とは到底言えないものでありましょう。H氏は”大阪都構想”実現の為には国政にも進出すると言っていますが、民間低賃金の温床になっている非正規、派遣の劣悪性を改善すると言わないのでありましょうか?

http://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/rippou_chousa/backnumber/2009pdf/20090113183.pdf#search='300

 

 

 又、これらの背景の一つになっていると思われる住民の重税感について言うなら昭和の後半まで14段階あった住民税(地方税の一つ)が現在、小泉ー竹中”改革”により10%一律となっている事が大きい訳でありますが、(これは高額所得層の減税による訳でありますが)そのような税構造等にも一言も触れないというのもその特徴の大きな一つであります。

 

 

 維新の会マニフエストでは、低所得構造を改善する為には”成長戦略”が必要でありその為の手段は①規制緩和、②貿易 ③教育 ④技術革新 ⑤都市再生 であるとしていますが、上記派遣労働の低賃金構造等又、低年金の構造等々には一言も無い、又”高い法人税”と言っていますがそれにより更なる法人減税を行うならそれは更なる財政欠損を進めるだけであり、又小泉ー竹中”改革”の規制緩和の中で大量に出来たのがこの非正規、派遣問題であった事を考えるなら”低所得改善政策の一番目が規制緩和であるとするのは全くの自己矛盾”としか言いようが無い所でありましょう。

 

 

 

ttp://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/5190.html(世界の人口あたりの公務員数)

 

 

 

 

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現代経済理論を見る二つの基準。

2011-12-16 15:04:28 | 経済

現代に於いてもマクロ経済についても種々あります。それらの中でこの現実状況を改善し何らか政策方向を出せる理論がナンであるかを考える基準が二つあると投稿者は考えます。それは何かと言うなら

①経済理論を考える上での価値測量基準が

イ)何らか客観的なもの

ロ)主観的価値理論をとるもの。

 

②基本的この市場経済社会を捉えるに

イ)不均衡的と見る(セー法則の否定)

ロ)均衡的と見る(セー法則の肯定)

 

 

等あると思われます。投稿者の考えではこの中の②イ)が特に重要でありこれを外すと特に景気安定化の政策をまともに打ち出せない事となります。(合理的期待理論等)

之で見るならケインズは基本的に①について(ある意味意外なようにも思えますが)第2編第4章単位の測定のところで”貨幣価値量と雇用量のみを使用する”とし、それを測定する単位を”労働単位”と呼ぶとしてある意味労働価値説に近い展開をしています。

 

又①についてセー法則を否定して恒に何らか均衡化政策を要するとしているのは上記ケインズとまたマルクスであります。(マルクスと言うとすぐに”社会主義”と言う言葉が浮きますがそれは要するには均衡的経済社会の中での生活改善と言う事であります) 

 

 

これらと大幅に違うのが新古典派であり、価値論的には敢えて展開されていないものが多いと思いますが全体的に共通なのが②のセー法則肯定であり従って不均衡時、政策を要しないとして特に其の不況時の対応が具体的にとれず言うなら”規制緩和の促進”と言う事になるのかも知れませんが、投稿者が前から述べているようにそれは投資を拡大しても需要は促進される保障は無く一層の不均衡拡大に繋がるものであります。

 

従って現ユーロ危機に対してもIMF等はこの理論に些か(相当?)未だ影響されているのではないかと言うのが投稿者の危惧する所であります。

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”新古典派ー新自由主義”的対応ではギリシャ危機は解決困難

2011-12-07 13:15:13 | 経済

依然としてユーロ危機は去らないのでありますが、なにぶんややギリシャ等に付き、具体的情報に些か乏しいので判断付きかねるところもありますが、投稿者の理解したところから述べさせて頂きます。

 

イ)まず税制ですがユーロ諸国全般に言える様でありますが押しなべて法人税率が低く、ギリシャにおいても2007年に25%で有った物が現在20%になっておりこれは世界的な法人税率引き下げ競争の一環と思われます。

ロ)これは一般紙で見たものですが本日付け東京新聞によればギリシャでは”規制緩和”が進行し雇用した従業員は1年以内であれば保障なしに解雇できるようになったとの事でした。

また別の新聞によればタクシー免許が緩和され今まで20万ユーロ必要であったものが現在5千ユーロで取得可能になったとの事で借入金で免許を取得した運転手が怒っていたとの報道もありました。

 

 

 

 上記から判断するならこれは先般日本で盛んであった”新自由主義ー新古典派”の”理論”に基づく”改革”路線上にあるものと言わねばならないでしょう。

イ)の法人税率引下げについては投稿者は何度も言っていますが典型的合成の誤謬であり全体的に見れば世界の公債の増加、ギリシャにとっても財政赤字が増大するだけでありましょう。

(因みに11月14日臨時増刊週間エコノミスト(毎日新聞)によれば2009年~2010年の世界の金融資産の増加率は5.6%でありこれは世界の先進国でのGDP成長率が極めて低水準である事から比較するなら実体を反映しない極めて危険な事態といわねばならないでありましょう。)

 

ロ)の規制緩和についてはそれがやはり以前にも書きましたが、それは一般的に”投資”を拡大するものではあっても”需要”は保障されない不均衡拡大路線であると言わねばならないでしょう。(タクシーの規制緩和が日本で行われた後、車は増加しましたが乗客は増えず逆に一般的不況も影響し減った旨の新聞報道もされています。

 

これらをもしIMF等が”指導”しているなら極めて憂慮すべき事態と思われ早急に是正すべきと思われます(当面の流動性の確保は臨時的対症療法になっても根治作にはならないと言うべきであり、これの認識がどうなるかは今後の中期的展望に大きな影響が出ると言うべきでありましょう)

 

 

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