マクロ経済そして自然環境

経済的諸問題及び自然環境問題に感想、意見を書く事です。基本はどうしたら住みやすくなるかです。皆さんのご意見歓迎です。

依然として見えない財政再建策 根底には”合成の誤謬”にたいする無理解

2013-05-29 12:36:13 | 経済

 報道によれば昨日政府の経済財政諮問会議を開き[骨太方針]について議論をし”第4の矢”として財政再建に取り組む事を確認したとされる。之までの内容では以前の公約である公共事業年間20兆円×10年間=200兆円と言う方針は未だ撤回されておらず、そういった中今後の財政方針がどうなるかは極めて重要な問題である。そもそも論において昨年の衆議院選挙で”200兆円の公共事業”、”日銀に輪転機を回してお札をどんどん刷ってもらう”が公約になっている中到底まともな政策が出される見込みは全く薄いと言うより無いといったほうが良いでしょう。(それに触れないで危険な大幅金融緩和と公共事業大幅バラマキで選挙を乗り切ろうと言うのがその本心かもしれませんが)

 本来消費税の増税も選挙でまともに議論された事は無く、安倍首相自体、選挙のテレビ番組で消費税増税に賛成か、反対かを○、×で問われどちらの札も上げられなかった事が真実であります。このような事から言えば消費税の増税自体を来る参議院選挙で問うべきでありそれがまずは前提になる。しかもその前提でも福祉の維持が言われていたわけでその点から言っても、年間公共事業20兆円と言うのは全く論外というべきでありましょう。

 

いずれにしても今後このまま行けばまして日銀総裁自身が年間利率3%を容認している現在、(オーバーシュートすれば3%ではすまない事もありえますが)近いうちに国債残高自体1000兆円を超え利息分だけで年間30兆円と言うことになります。歳入、歳出に関し真剣な議論が求められますがこの中で特に注目しなければならないのが大企業法人に適正な負担を求めると言う事であります。既に何回も述べていますが法人税の基本税率は昭和後半の43.3%→現在は25.5%になっておりこの間の減税の筆頭を為す物であります。(租の外に所得税の最高税率引下げや住民税の引下げ18%→10%一律)になっております。

 

 

 多くの議論の中で消費税の増税は多くのマスコミがそれを容認する社説等々をかかげその裏にある法人税の一方的引下げに関し何ら問題提起をしておらずこれは重要な問題であり今後のまともな議論が必要というべきでありましょう。その際に考えなければならないのはこれら法人税の再引上げに関してそれは国際競争があるから出来ないというのが”一般的”議論になっている訳ではありますが、それは所謂”合成の誤謬”に対する無理解から来ていると言うのが投稿者の見解であります。確かに競争している中で自分のみ税を上げれば不利になりますが、全体が協調すれば可能であるわけであります。法人税はどこの国でも主力税でありその一方的引下げは財政困難の筆頭原因と言うべきであり先進諸国の財政難の大きな理由になっておりまた逆に言うとこの問題を避けては多くの経済的問題を根底から解決する事は殆ど難しいと言うべきであり、又その方向を向けなければ共倒れと言う事にもなりかねないでありましょう。

 

 

 

 

http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/corporation/082.htm(財務省:税率推移表)

*合成の誤謬:アメリカのサミュエルソンによって考案された概念で一国(多国間でも同じ)の個々の経済主体が合理的と考えて行為を行っても全体として考えると合理的結果とならないような現象(初歩的概念ではあるが理解しない”経済学者”も多い。

私見に於いては、多くの不況状態に関し適切な処理をする為には考慮が必要とされる概念である(競争下の賃下げ競争等が典型的事例である :この場合も国内の個人消費全体の引下げを齎し結果的にはGDPの減少に繋がる)

 

 

 

 

 

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”アベノリスク”方針転換は今のうち。”リフレ論”の誤謬

2013-05-28 13:09:50 | 経済

23日以来の株式市場の変動はやはり”アベノリスク”方針の持つ危険性を露にした物である。所謂”リフレ派”とされる方々が金融市場に大量の資金を流し込む事により ①物価上昇→消費拡大→景気の回復と言うような筋書きを示しているわけでは有りますが、日本で株を持っているのは国民の10%足らずであり、(しかも保有は100万~300万円が多いとされる)しかもそれをうり逃げする事により、利益確保をし”支出”しなければ消費拡大にはならない。したがってそれがこの国の個人消費の全体を直接的に押し上げるのは論的根拠が些かというより大分怪しい物であるとしか言いようが無い物である。

 

また前にも書いたが ②大量の資金流入→物価上昇と言う筋書きも悪い意味での貨幣数量説的思考でありいくら銀行に資金を流しても個人消費拡大の前提無しにはその先の投資には繋がる保証は無く、従ってこれまで白川総裁がやってきて恐らくは十分認識しているようにそのルートは効果は望めないと言うべきでありましょう(現在の物価上昇が円安からくる物価上昇であることは多くの人の認める所でありましょう)

 

26日に都内で黒田総裁の講演では金利が3%上昇しても”経済・物価情勢の改善を伴えば貸し出しの増加や利ざやの改善、物価の上昇などにより金融機関の収益にプラスの影響が及ぶため金融システムが不安定化する懸念は大きくない”とし

 また他方”経済状況が改善しない中で財政懸念が強まる事を背景に金利が上昇する場合は、貸し出しの増加や利ざやの改善と言ったプラスの効果が見込めないことから金融機関には債券評価損という負の影響が強く出る事になる”と語ったとされ(26日:Bloomberg)

 

 

 之については上記述べましたように③内需の主力である国内の個人消費拡大の道筋が描けない現在(と言うよりも来年以降の消費税増税、さらに社会保障削減等々により一般国民の消費拡大の方向性は全く方向性がないというべきでありましょう)と言う意味では黒田総裁も認識しているように後半のルートをたどる可能性が高いと言うより恐らく全くその方向に行くでありましょう。(④前半に於いても総裁自身の中で3%上昇を認めるような発言でありますがそれは財政再建からみるなら年間利息30兆円の道でありとても容認するわけには行かないでありましょう、さらにその金利上昇は貸出金利の上昇となり景気に対して悪影響がある)

 

そもそも論においても”リフレ派”は大量の資金流入→物価上昇→資産価格上昇→個人消費拡大→景気回復というコースを描いていますが前にも書きましたが ⑤物価上昇→資産価格上昇という場合の”資産”のなかで株式、不動産と債券は物価上昇に対し逆の動きをするわけでありそういう意味では現在の”大量資金流入”の方針では先行き”逆期待”から債券価格が下落(金利上昇)するのは当たり前であり先般黒田総裁も述べましたが市場で国債を幾ら購入しても価格の下落を押さえ込む事はやはり難しく①~⑤を見ても明らかですが、そこから市場全般の脆弱性がでているのが現在の状況でありそういう意味では”アベノリスク”、”リフレ理論”そのものの論的誤謬は殆ど明らかであり景気回復を目指すのであれば、海外に依存しない国内個人消費の拡大から進める実態経済の安定等オーソドックスな道を目指すべきでありましょう。

 

 

 

 

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欧州と比べ、圧倒的に低い日本の生活保護利用率。

2013-05-13 13:16:50 | Weblog

”経済”(月刊)と言う雑誌があるが、その5月号が日本の福祉の現状等々を伝える記事を掲げているがそれによれば日本の生活保護について欧州諸国との比較を述べているがそれによれば

① 利用率(生活保護利用数/人口)

②補足率(生活保護利用数/生活保護利用資格者)

 

について述べているが

 

日本        ①1.6%    ②15.3~18% 

ドイツ            ①9.7%       ②64.6%

フランス      ①5.7%       ②91.6%

イギリス      ①9.27%     ②47~90%

スウエーデン   ①4.5%       ②82%

 

 

 と言う事で之を見て解るのは日本の人口比での利用数が圧倒的に低く、その補足率から見るなら特別日本の貧困者が少ないという訳ではなくマスコミ等一般”世論”が生活保護受給を圧迫しているのがその背景になっていると思われることである。考えても解るが国民年金しか貰っていない老年者は満額でも月額6万数千円である。もしそれで家賃等支払っていたら生活していくのは困難でありましょう。(家賃が無くても大変ですが 想像すればわかると思いますが)

また先日足の関節が不自由な方が自動車を保有している事を理由に保護を拒絶された事に対し訴訟を起こし判決で勝訴した事が伝えられた。(現在の生活保護では殆ど例外的にしか自動車保有は認められていない)この事を見て解るのはこのような方が車を保有するのは当然であり何ゆえ当局が訴訟になるまでそれを拒否したのか常識で考えれば解ると思うが全く解せない事ではないでしょうか。その背景には生活保護等の福祉を敵視する自民党等々の勢力の圧迫があるのは明らかである(他方、自分たちは国会議員一人当たり平均年間4400万円にも上る政党助成金を受け取っている これは人件費で請求すれば領収書は不要との事である    と言う事は”飲み食いしてもわからない”と言う事である  (政党助成金は○○党は受給を拒否していますが )因みに投稿者は議員定数の削減は賛成しません  議員が多いほうが直接民主制に近いからであり、やはり助成金の削減等がいいとい思いますが)

 

昨今のさる芸能人の母親が生活保護を受けていたとしてマスコミ等により問題視されましたがそのような事が受給に一層圧迫をかけている事は想像できます。(例え家族であっても親近にはない事も多い)誰でも一生の内には、長期の失病や失業に合うことは想像困難ではありません。そのようなときに最後に頼れる物をきちんと確保する事は人間としてこの世に生きていくには欠かせない物でありましょう。

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