マクロ経済そして自然環境

経済的諸問題及び自然環境問題に感想、意見を書く事です。基本はどうしたら住みやすくなるかです。皆さんのご意見歓迎です。

法人税再引上検討抜きの財政再建はありえない。(過去の税収に照らして)

2012-05-31 12:49:29 | 税、財政

消費税の引上げをめぐって民主党内でも不一致がもれ伝わる。”野党”でも自民党は引上げ賛成であり、公明党も同様と見られる(5月31日付け日経では山口代表が”採決へと議論が熟すように首相自らリードすべき。首相の覚悟を見極めたい”としています。)

 民主党は鳩山内閣当時は未だ”生活が第一”また更に平成22年版経済財政白書のタイトルは”需要の創造による成長力の強化”と言う事であった。これは小泉ー竹中新自由主義 新古典派からの脱却を表明していた物であったはずである。

 

当然其の路線を突き詰めてゆくなら個人消費需要縮減、中小企業経営困難に追い込む消費税増税路線は取れない筈である。まずそこに於いて野田内閣は全くの理論的混迷に陥っているとしか言いようが無いという所である。その理論的混迷を表す第一はやはり消費税増税を言う他方で既に法人税の引下げを行っている事である。

 

ここで過去の法人税の変化を若干追ってみたい。(いずれも決算額、単位億円:財務省)

昭和60年   120206     43.3%

昭和63年   184381         42%

平成元年    189933         40%

平成3年    165951          37.5%

平成14年    95234          30%

平成16年    114436        30%

平成20年    100106         30%

平成21年    63564           30%

 

(税率変化のグラフ 上記税率は基本税率 :財務省http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/corporation/082.htm

ここから今回の法人減税で現在は25.5%になっておりここ数年の比較から言っても1兆数千億の減税、昭和後半から言うなら数兆円規模の減税になっており雑駁に言って50%強である。

 又所得税も昭和後半から平成当初に掛けては20兆円あまりの税収があった訳であり(20年度14兆9千億、21年度は6兆3千億)、これら法人税、所得税の減税分を補足する役割しかもたないのが現在の消費税増税法案であるとしか言いようがないでありましょう。

 

 

 

 ユーロの危機も緊縮か成長かとも言われていますが其の背景にはやはりユーロ諸国法人税に何ら手が付けられず財政赤字が増加していることがあると思われます。何処の国であってもやはり近代から税制は歴史的に形図けられた物であり、その主要税源はその所得、収入にあるというべきであり、其の点の看過を放置するなら何処の国においても財政悪化、需要不足による成長鈍化、緊縮による国民生活悪化が齎されるでありましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

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”行革”って言われだしてからもう30余年経ってますが・・

2012-05-24 09:37:29 | Weblog

 最近、若干多く言われだしているのは消費税増税は[”行革”を進めてから] と言うような事であります。しかしながら所謂”行革”と言う言葉が我々国民の間に言われるようになったのは第2臨時行政調査会(第2臨調)が1981年に設置されてからでありましょうか?当時”メザシの土光”等言われ”一世を風靡しました”が其の中で国鉄や電信等の3公社の民営化が提言され、それを受けて国鉄分割民営化等行われ(この国鉄分割民営化は中曽根内閣によって実施されましたが後日中曽根氏はその目的が国労(国鉄労働組合)の弱体化に有った事を述べています)

 

 それ以後地方自治体の種々の業務の委託化(ごみ、給食等々)を行い、さらに専売公社民営化、又、総務庁の設置等”行政機構の再編合理化”さらに又90年代後半には独立行政法人等の設置等が行われた。 このような”改革”の中、国家公務員の数は

昭和50年   852532

昭和60年   834094

平成5年    822716

平成15年   779989

平成19年      350659

平成21年   343835   (公務員白書平成23年度版:人事院)

 

と”合理化”が進められてきた。ここで”行革”と言う言葉が何を指すかを考えたほうがよいとえるわけでありますが、言葉自体が漠然としている訳でありますが、機構を”改編”して”改革”と言っていることもありますが(何の為の”機構改革”か解らない事が多い例えば厚生省と労働省を合併させて厚労省とか のですが)、実質的に公務員の人件費を差す場合が間々あると言うことであります。

 

 この人件費を指す場合、”行政”の多くがマンパワーによる事が多いと言う事であります。警察、消防、教育、等々考えれば解るとお思います。従って”行革をやってから消費税を上げる” と言う場合は、最近は特に、公務の賃下げを進める と言う事と粗変わないものが多く、しかしながらこれは以前にも言いましたが現在の公務員賃金の決定方法が人事院(地方は人事委員会)によっている為賃金は概ね国民の真中を目指すものとなっているわけであり、又上記マンパワーがその大勢であることを考えるなら人件費が一定を占め、また上記から言って、公務員賃金は国民の水準の粗真ん中にある訳で、それを(故意に)無視して”行革”(賃下げ)をしてから消費税を上げると言うのは実際上、民間での非正規問題等、賃金低下を放置する中、”相対的な”賃下げに限界は無いわけであり、(もう30年にも喃々としています)其の主張者が消費税値上げ賛成論者である事を隠すための覆いでしかないと言うべきでありましょう。 (つまり万年行革であると言う事であります。)

 

 

 

▼▼▼

民主党政権になっても派遣等非正規問題になんら殆ど手をつけない中で公務員の賃金が高いと言ってもそれは 非正規増大→民間賃金低下→公務員賃金低下、一般的賃金相場の下落→非正規等民間賃金下落→公務員賃金下落という連鎖の中で、公務、民間の双方での賃下げは内需縮小、消費税引上げとも重なり不況に一層の拍車をかけるだけでありましょう。

 

そういう点でこの”行革”と言う言葉を考えるならそれは昨今言われているように”緊縮政策”と言う言葉のほうが適切でありましょう。

 

 

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県庁を 30つぶせば 金も浮く(?)    道州制

2012-05-17 11:45:43 | Weblog

 昨今の愁眉の課題は何かと言う事について(特に経済政策を中心に言うなら)投稿者は以前にも書きましたが、それは再度言うなら、①財政再建 ②年金、医療等々の社会保障再建 ③1、2とも絡んで消費税の増税に賛成か、反対か ④人口減少で重要問題である非正規の問題(年収300万円未満は婚姻率が下がる) ⑤TPP参加に賛成か、反対か ⑥沖縄の基地問題、⑦それらを総合して不況打開の方針は何か  

 

 と言うような事ですがしかし昨今において些かあらぬ方向から道州制が何らか重要な問題であるかを言うようなグループがあるようで、之について一言述べたいと思います。

 

 

 

 道州制は一言で言うならナンであるかと言うなら投稿者としては表題の如く、要は47都道府県ある自治体を(区割りの関係も有るので詳細は省きますが)”3~5ごとに区切ってそれを”道州”とするというものであり、そこの一つの県庁を首府とし、残りの県庁はつぶしてしまう”と言う事だと思います。

 

道州制について重層構造は無駄である と言う人もいますがそれについていうなら現在では国ー県ー市町村 と3重構造で有りますが、しかし道州制になっても 国ー州ー市町村という3重構造は変わらず、また

 現在でも仕事の割り振りからいうなら、例えば教育行政で言うなら国は大学、私学助成(大学) 県は高等学校、小中学校の給与、人事、私学助成(幼ー高)、市町村が小中学校、幼稚園 等々となっており(他の行政分野も業務区分は国ー県ー市長村に区分されており住民にとっての無駄な行政と言うのは考えられないでありましょう(第2臨調から既に30年も経過しています) 参照:地方交付税のあらまし 地方財務協会

 

 従って例えば4つの県で一つの州を作るとすればこのうち3つの県庁は潰してしまい、残りの一つを”州都”とするわけでありまして、住民からするなら大変な不都合を生む可能性があります(例えば”東北州”とするなら青森の北の住民は今までは青森市に行けば用が足りたものが今度は下手をすると仙台に行かなければならないということでありまして、(青森県庁の場所に”支所を作る”と言う方もいるかもしれませんが、それでは何の為に”道州”を作ったのか解らないと言う事でありましょう。)  これは言うなら究極の一極集中と言うべきでありましょう。

 

 

 

 又外国の例を若干見るなら連邦制をとるアメリカの場合、州の平均人口は約580万人 ドイツの州の平均が約520万人 フランスの州が約200万人 イタリアが約290万人(因みに日本では、神奈川県の人口は904万人、埼玉県は719万人、千葉県621万人であります) しかもこれらの国々ではどこも基礎自治体と州の間に”県的組織” アメリカがカウンテイ、ドイツがクライス、フランスがレジョン、イタリアはレジオーネ等が残され、基礎自治体の調整と補完にあたっている(日本型地方自治改革と道州制 加茂利男) 

 

 

 

 

 

 

これらの条件を無視して”道州制”を行い”県庁を30潰すなら”確かに金は浮くかもしれませんが(? しかし業務内容が変わらない以上予算縮小に繋がるか明示的では無い)日本の行政が究極の住民不便行政になるのでは と言うのが投稿者の意見であり、又始めに書いたこの日本の当面する”経済政策問題”にとって何の意味があるのか(その関連性は全く良く解らないと言うべきで)お考え願いたいと言うのが投稿者の意見であります。

 

 

 

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フランス新大統領社会党候補勝利で”緊縮政策”からの転換か。

2012-05-08 12:09:04 | Weblog

フランス大統領選挙で社会党候補のオランド氏が当選した。日本での新聞の見出しは緊縮政策への反発と言う物が多いようである。これはギリシャでも同様の傾向は否定できない流れとなっています。ここで一般的マスコミの予想として緊縮政策→財政規律緩和(赤字増大)→ユーロ危機再発という考えが浮かぶと言う事でありましょうが、この点で言うなら、

 

①財政赤字増大といってもこれはユーロ諸国の一国の中での問題でありユーロ諸国のトータルとして経常黒字が維持できれば”マクロ的には”問題はない。(個々の国どうしの調整は必要ですが)

②”緊縮政策”からの転換と言ってもオランド氏が訴えたように成長政策(需要重視 つまりは新古典派脱却)を行えば政策的には整合的であり、国民の暮らしを維持する事につながり、それにより一国内の財政赤字縮減には繋がりうる 要はその政策によるのである。

 

 

 

 

と言う事でありますがしかしながらここで背景になっている大きな問題は一部でも最近言われていますがそれら諸国の法人税の状況であります。どんなに”緊縮”を行ってみても法人税をどんどん下げる状態と言うのは、穴の開いたバケツで水をすくっている様なもので全く政策としては最悪の物であり其の点で法人税の”適正課税”の問題はG7ないしG20等での早急の解決が必要であります。(それをVAT増税で補うと言うのは内需縮減、生活悪化 税収減であり、最悪のコースでしょうが  )これが可能かどうかは今後の世界経済の方向を中長期的に考える極めて重要な基本問題であります。

 

 これはユーロに限らずこの日本国でも条件は同じであり昨今行われた法人税の引下げは早急に元に戻すべきと言うべきでありましょう。それをせずに”消費税引上げ”にしかというより消費税引上げで何らか事態が変わると言うような考えは全く、全体を見られない近視眼的発想と言うべきでありましょう。(それにより不況深刻化→税収減の方向と言うことです。)消費税増税反対、国民生活保護、不況脱却(需要重視 反新古典派)の政治戦線の統一が求められていると言うことでしょうか。

 

 

 

 

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景気政策史ー52 19世紀イギリス対外商業政策と不況 その9穀物法、通貨、不況

2012-05-05 12:08:31 | 景気政策史

 

 

 

 

 

 

上記で”自由貿易”の他の政策(機械輸出)との整合性について若干述べたが、ここで1820年代~30年代に掛けて特に問題になった穀物法と通貨、不況との関連について述べたいと思う。一般的感想としては、穀物法が何故、通貨や不況に関係が有るのか?と言うことでありましょうが、まず概況から述べますと、兌換再開後(1821年以降)1825年に資本主義確立後の最初の不況とされる恐慌が勃発しその後それに対する政策等が論議となり、30年代以降へ向かって行くという事になる。

 ここで上記では触れなかったが、1825年恐慌についての原因認識が主として通貨問題に連関されて議論されたと言うことであり(銀行券の過発行が原因との議論があった。)ここでやや角度の違った理論問題があったという事である。それは何かと言うならそれら恐慌が穀物法との関連で考えられたと言う事である。

穀物法の改正については、1822年に一定スライドする可変的関税が導入されたが更に穀価を平均化し物価の安定化を与えるため又急変と衝撃を緩和する為に1828年に再度穀物法は改正された。(小麦価格が52シリングの時、34シリング8ペンスの関税を課しこれを基準にして関税をスライドさせ穀価が73シリングに達した時に1シリング、それ以上は自由とするもの)(1822年法は欠陥がありそれは何かと言うなら1815年法の80シリングまで開港を禁じる条項が廃止されていなかった為この80シリングになるまで実際上新税率は適応されなかった 前掲北野p168)

その様な中でPeel(後首相)は1827年、上記のような穀物法規程の中、穀物が乏しい場合に穀物に投機が起こりそれが流入しそれの代価としての突然の強い金への要求が起こり、それがイングランド銀行への取り付けになると考えたが庶民院で他のメンバーからは取り上げられず通貨問題を取り上げた議員はPeelの立法(1819年の旧平価での金兌換再開法)こそが害悪のより原因であるとした。(Barry Gordon :Economic Doctorin and Tory Liberalism1979年)

尚同書p44ではJ.S.Millは1826年のその”Paper Currency and Commercial Distress”1826の中で穀物法が我々の通貨の変動の原因であるとしている。(当時Millは弱冠20才程であった)

また前掲A.Bradyによればマカロックの数年後の指摘は(Commercial Dictionary ed.1880)例えばポーランドからある年、10倍の穀物を買ったとしてもポーランドは其の量に匹敵する木綿類や毛織物を買うわけではなくその差額は金属で支払わなければならずそれはしばしば金融的な害をもたらす。として上記のような考えを肯定していると思われる。

尚、 1822年以降の穀物輸入量は以下の通りであった。

1822 510602

1823 424019

1824 441591

1825 787606

1826 897127

と言う事で確かに恐慌のあった1825年は前年よりかなり増えている。(Donald Barnes:A History of The English Corn Laws)

これらの考えの基本的立場 は30年代以降にも引き継がれ通貨学派と連関してマンチェスター商業会議所の一つの理論となった。

 

 

以下次回

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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路線バス運転手の過酷業務。

2012-05-03 12:08:55 | Weblog

 先般高速バスの重大事故が有る中、その規程の緩やかさが問題になっています。既にご存知のように今回の6百数十キロもの距離を夜間一人で運転する等考えただけで過酷な業務だと思いますが(其の背景に規制緩和がありバス業者が免許制から許可制になったというような事ですが)、昨今投稿者は路線バスに多く乗る中この路線バスの業務も問題ではないかと考えている所です。

 

一般的緯線バス運転手の業務は観察すると、

①停留所で(某大手Kバスの場合、”中乗り、前降り”で、乗る時に乗車券をとる)後方ドア開けスイッチを押す。

②お客の乗車を確認してから後ろ扉を閉める、また降りるお客の前扉をあけ、運賃支払の確認(何処で乗ったかを確認しながら)をし、降車が終わったら前扉を閉める。

③発車後、次の停留所のテープを流すボタンを押す。

④次の停留所に止まる。

 

 

⑤これが一連の操作であるようですが其の外に車椅子の方が停留所にいる場合は降りて乗降口から鉄板を出して乗車降車の手伝いをする。

 

⑥当然運転している以上は常にハンドル、ブレーキ、クラッチ等々運転操作をしなければならない。

 

 ⑦これも路線バスとしては重要な要素でありますが、ダッシュボードに時刻表が書いてあり其の時刻を守るよう運転しなければなりません。

 

しかし話はこれで終わりでは無く先般よりKバスでは発車声だし確認もするように”指導”を始めた模様である。それは何かと言うと、発車の時に”左後方よし、前よし、右後方よし”と声を出しながら”点呼”するわけであります。これを上記①~⑦をしながら行うと言うわけであり些か之を全部確認しながら行うと言う事になればそれはある種、人間の注意力の限界と言う物が何処にあるかということが解らない人間が”指導”しているのではと思うわけであり確かに”声だし確認”はそれだけを取ると良いようでありますが全体を見るならそれは注意力拡散であり、形式主義的安全確保としか言いようが無いのではと言う事であります。しかもそれを一日8時間行うと言う事でありましょう。

 

確か、昭和30年代半ば頃まではバスには車掌さんが付いており発車の時には”後車オーライ”と言うように確認もしていたと思います。上記のような過酷な形式主義的安全主義から次の事故を招くと言うように思うのは投稿者だけでありましょうか?

 

コメント (2)
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