藤森照幸的「心」(アスベスト被害者石州街道わび住い)

アスベスト被害者の日々を記録。石綿健康管理手帳の取得協力の為のブログ。

やっと見つけた岡山大学の論文の概要

2012-07-04 20:43:51 | 社会・経済

以下に掲げる文章は、平成21年7月27日に岡山大学が文部科学省記者クラブ・科学記者クラブ加盟各社に対し配布された資料である。長年存在は知っていたが、一年がかりで探し当てた。読んでいただくと、肺癌、中皮種の発生原理が理解できる。それとともに、福島原発事故が、今後大きく住民に影響を及ぼす事が一目瞭然である。脱原発社会を目指して、生活パターンの変革をすべきであろう。また、生活空間に存在する「石綿」の徹底した管理を求める。

含鉄タンパク質が肺内でラジュウムを濃縮:

局所的な強力α線被ばくが発がんメカニズム?

1.背景

 中皮腫を含む肺のいろいろな悪性腫瘍は、ある種の繊維や粒子への暴露により引き起こされるといわれている。しかし、その発生メカニズムは十分に理解されたとはいえない。

2.研究論文の概要

 本研究では、悪性中皮腫を発症した患者から切除した肺からアスベスト小体(アスベスト繊維と、それに付着している含鉄タンパク質ーフェリチンからなる)と、アスベストを含まない不溶性の含鉄タンパク質を取り出して、電子顕微鏡による鉱物学的記載と、誘導結合プラズマ質量分析計による44元素に及ぶ主成分・微量成分(鉄やラジウム等)の定量化学分析とを行った。患者の喫煙暦や職歴といった情報と、定量分析の結果を組み合わせると、吸い込んだ鉄を含むアスベスト(茶石綿、青石綿)や鉄を含む粉塵、及び習慣的な喫煙(喫煙は鉄も吸入している)が、フェリチンの集合を促し、不溶性の含鉄タンパク質小体を肺中に作り出すことが明らかになった。定量化学分析の結果から、特に、含鉄タンパク質小体は、さまざまな元素を吸着して肺中に固定してしまう。特に、問題となるのは、海水の数百万倍の濃度に達するラジウム濃度を持つことである。その結果、ラジウムとその娘核種による局所的だが強力なα線被ばく(ホットスポット被爆)が長期に渡って引き起こされ、このことが複雑な発がんメカニズムの中で最も重要な役割をしていることが示された。肺組織のDMAは重大な損傷を頻繁に受け、悪性中皮腫細胞を含むいろいろなタイプの腫瘍細胞を生じ、がんを発生すると結論づけられた。

執筆者 岡山大学・地球物質科学研究センター

     中村栄三、牧嶋昭夫、荻野恭子

     国立病院機構・山口宇部医療センター

     岡部和倫

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