てくてく日々是雑感

こんにちは。てくてくねっとの たま です。
日々のあれこれをつづります。

『二十歳の原点』

2009年06月20日 | 本棚
今年、還暦を迎える勇造さんに共感を寄せるいわゆる団塊の世代の方々の、熱い思いの底は、ひと回り以上遅れている私にはリアルに思い描くことはできない。
でも、かろうじてそこにある何かに自分を重ねることができたのは、高校生のころ『二十歳の原点』に出会っていたからだと思う。
薄暗い図書館で『二十歳の原点』と書かれた背表紙に引き寄せられた時の運命的な感覚を今でも覚えている。

69年、二十歳で鉄道自殺した立命館大学の学生 高野悦子さんの日記。

日記の中で綴られる京都も学生運動も、東京の高校生である私には遠い話だったにも関わらず、高野さんの自己を突き詰める厳しさ、激しさ、煩悶に、骨身に沁みる強い衝撃を受けた。青臭い話だけど、あれで人生変わったな~と言ってしまいたくなる。

高野さんとの出会いは勇造さんを聴く上での素地になっている。

♪あの頃の事を思い出す 京都の夏俺は二十歳
宝と言えばギターが1本 気が狂うのを救ってくれた
(「ブルースとお前に会った頃」)」

こんなフレーズを聴いてしまうとね。「あの頃」は『二十歳の原点』の中にあるから。


『二十歳の原点』にたどり着いたのは、中学生の頃読んでいた太宰があったからで、近頃の太宰ブームは懐かしい。文芸春秋の「太宰 治検定」は68点だったから、ぎりぎり人間失格しないですんだ(笑)。


今日食べたものが10年後のあなたを作る、というけれど、こうしてみると、人というのは、食べるものだけでなく、読むもの聴くものも肉体化しているのだよなあ、とつくづく思う。


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