てくてく日々是雑感

こんにちは。てくてくねっとの たま です。
日々のあれこれをつづります。

楊逸 芥川賞受賞 (プレビュー)

2008年07月16日 | 本棚
楊逸(ヤンイー)が芥川賞をとった。これはひたひたと凄いことなんじゃないか、と思っている。
内実はともあれ、日本文学の「権威」ある賞を生粋の中国人がとったのだ。

昨年芥川賞候補になった楊逸の「ワンちゃん」は、芥川賞作品としては表現が物足りないと評されていたが、今作品はそれをクリアしたのだろうか。楊逸の父親は「前回は中国人だから差別されて受賞できないのかとも思った」とコメントし、私もまさかそれはないだろう、と感じながらも、芥川賞にものを見る目はあまり期待しないが、「権威」が楊逸を認めたことに驚きと大きな一歩を感じた。

中国から日本に移り住んだ中国人が、中国と日本両方を見据えて、日本語で書くとは、どういうことか。
逆のことを想像してみる。日本から中国に移り住んだ日本人が、日本と中国を見据えて、中国語で書く。そして(あるかどうか知らないが)中国の「権威」ある文学賞を受ける。あり得る話なのかどうか?

受賞作は、民主化運動、天安門事件を経て日本に移住した中国人青年の姿を描いているとのこと。
国境を越えた楊逸自身の経験、視野が生かされたテーマだ。楊逸の立ち位置、その重心はどこにあるのか。読み手はどこに連れて行かれるのか。未読のこの作品だが、それを想像するだけでわくわくしてくるシチュエーションと素材だ。


最新の画像もっと見る