てくてく日々是雑感

こんにちは。てくてくねっとの たま です。
日々のあれこれをつづります。

大正デモクラシー

2006年11月12日 | 本棚
「日本の歴史(23)大正デモクラシー」 を、ようやく読了。

「日本の歴史」シリーズ19巻20巻21巻は、わりとおもしろくすらすら読めたのに、23巻は手こずった。

政権派閥の入り組んだ構造と登場人物の名前と背景がなかなか覚えられなくて、途中まで読んでワケがわからなくなって、もう一度最初からノートにメモしながら読み返して、やっとわかった。
頭かかえたけど、飛ばし読みせず、一句一句ていねいにちゃんと読んだぞ。えらかったなあ。

おかげで、今まで霞がかかっていた大正という時代が、ようやく私にとって形になって見えてきた。
大正時代って短いし、派手な明治維新と第二次世界大戦のはざまで地味な時間帯だし、ずっととらえどころがなく、わかりにくい時代だったのだ。

この本では、政権争いでめまぐるしい政治体制と、第一次世界大戦から波及する中国、朝鮮、ロシアとの関係、それらに反応するデモクラシーの渦が、それぞれに入り組んで影響しあう様子が描かれている。
こうしてみると、歴史はある部分だけを切り取って評価することは土台無理だと思えてくる。

それにしても、日本が中国・朝鮮にしてきたことは、ほんとにひどい。
これは、やはり重い事実だ。

ここ飯田でも、青年団を中心に激しいデモクラシー運動が起こっていたということも初めて知って驚いた。
山深い土地で、東京からも大阪からも遠く、世情から疎そうな感じなのに。塩を運ぶ商人の街道筋だったらしいので、そういう旅人たちから情報を得ていたのだろうか。
今の飯田の人たちのおっとりとした人柄からは、かつての祖先の激しい闘争の血が流れているとは想像し難いのだ。

大正時代といえば、私にとって身近なのは平塚雷鳥と伊藤野枝だ。
雷鳥たちがいなければ、日本の女性の意識の目覚めはもっと遅れたものになっただろうし、野枝と大杉栄の娘、ルイさんを描いた「ルイズ―父に貰いし名は」(松下竜一著)は、衝撃的だった。

この頃の女性たちの活動は、なんともパワフル。
治安維持法のもと、命がかかっているような階級闘争、作家活動に力を尽くしながら、子どもを何人も生み育て、家事もこなす。
この時代の女性たちが命をかけて獲得した権利や自由を、今の女性たちは間違って使っていやしないか、とひんやり感じたりもするのだ。