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【正論】 米国は指導力を回復できるのか 杏林大学名誉教授・田久保忠衛

2014-11-15 10:24:28 | 時評
世界平和の懸念事項は、米中の関係である。
アメリカの政策主導が中国の増長を許容して現状を招いてきたとの感想を持っている。

独裁国家、人権侵害国、情報統制を強力に推進する国家と自由主義国家との
相克はかなり危険な水域に入ってきたと実感する。論者の中には、経済を理由にする
者もいるが、的外れである。米国経済は回復基調にあり、問題は米国の威信である。

最近、民主党と維新がヘイトスピーチ法規制に関して共闘すると言う報道があったが、
外国勢力に加担する反社会的行動と批判する。在特会という特定の勢力の行動で
一般の日本国民が表現の自由を規制される理屈は存在しない。社会の敵に対しては
政党であっても、断然壊滅を期待する。

日本の外交がアメリカ主導の元にあり、現外務省はそれを引きずっていると感じる。
オバマ政権の信頼低下は、世界に群雄割拠の形勢を作った。
日本は従来の姿勢で、国防を完遂させようとしている。つまり、アメリカの枠組みの中で
行動しようとしている。この認識には、皆、賛成しようものである。

アメリカが間違う時に、同じ方向を向いて良いのか、と言う疑問には説得力がある。
では、日本単独で独立を維持しえるかが、問題である。

防衛予算は、財務省の活躍によって、現状維持のラインから逸脱してはいない。
また、今次の解散総選挙はまたも、財務省の想定の範疇で実行されるとの指摘がある。
米国中間選挙は、オバマ政権の無能を際立たせた。

今回の選挙では、安倍政権と言うよりは、日本の行く末に重大である。
米国と異なっても、何等支障は無いと観想する。
問題は日本の永続的な自立の方向である。
憲法改正に向けての、安倍政権信任の予想がある。


2014.11.7 05:02更新
【正論】
米国は指導力を回復できるのか 杏林大学名誉教授・田久保忠衛



米中間選挙の結果、オバマ政権のレームダック(死に体)化が決定的になったとの報道が多いが、順序は逆だと思う。内政、外交ともにのっぴきならないところに追い込まれていた政権が、中間選挙で大敗し、予想通り共和党が勢いづいただけの話ではないか。

 直前に米コラムニストのアルバート・R・ハント氏がニューヨーク・タイムズ(NYT)紙海外版に「中間選挙の結果がどうなろうとも、ワシントンの政治には11月4日の前の分裂と無気力が続くだろう。おそらく(大統領選の)2016年後も状況は同じだろう」と米国に愛想を尽かしたような表現をしていた。熱心なオバマ政権びいきは別にして、米国内外の人々で同様の感想を抱いている向きは少なくないのではなかろうか。

 ≪機能不全のホワイトハウス≫

 視点をワシントンに据えて、今回の中間選挙を考えると、私の関心と隔たるところが出てくる。

 たとえば、シカゴ大学のチャールズ・リプソン教授は、オバマ政権が決めるべき問題として、(1)認める移民の規模と条件をどの程度にするか(2)司法長官人事を誰にするか(3)カナダのアルバータ州から米国のネブラスカ州に敷くキーストーンXLパイプライン計画を承認するのか(4)5人のタリバンと引き換えたバーグダル軍曹が米脱走兵だったかどうかに関する報告を公表する(5)対「イスラム国」対策を明示する(6)イランの核開発計画絡みで大幅な制裁解除をするか-の6点を挙げている。

 いずれも「内向き」の側近で身を固めたホワイトハウスの機能不全を物語る。NYT紙は2度にわたり、オバマ大統領は人事刷新を図らなければならないところまで切羽詰まっていると報じた。デニス・マクドノー大統領首席補佐官の影響力が強過ぎるようだ。

 私が気にしているのは、外交・防衛に関するやや長い視点での米国である。オバマ大統領登場前からはなはだ人気の悪いブッシュ前大統領だが、01年の米中枢同時テロに際して自衛権を発動し、他の北大西洋条約機構(NATO)諸国や豪州、ニュージーランドなどがいっせいに追随して、有志連合を結成し、国家ではない国際テロとの戦いを宣言したのは壮観だった。

 ≪元閣僚から噴出する批判≫

 ブッシュ前大統領を批判して、圧倒的人気を背景にホワイトハウス入りをしたオバマ大統領はイスラム国家にどのような手を打っているのか。シリアからイラクにかけて、現代社会の普遍的価値観そのものを憎悪するイスラム国が日本全体に相応する地域を実効支配してしまった。有志連合は米国の呼びかけに応じて実現したはずだが、13年前の気迫はない。

 オバマ大統領は地上部隊の投入はしないと繰り返しながら、イラクからシリアへと空爆の範囲を広げた。が、イラク空爆に参加しているのは英国、フランス、豪州など限られた国で、シリアでの攻撃は米軍が主、あとはサウジアラビアなどの湾岸諸国が陰で手伝っているだけのように見受ける。

 ブッシュ、オバマ両大統領のいずれが国際社会にとってプラスだったかはいずれ評価が定まるだろう。ちなみに、政権末期のブッシュ前大統領とオバマ大統領の現支持率は同じ42%の低さである。

 第1期のオバマ政権で国防長官を務めたパネッタ氏は、先月出版した回想録「ワージー・ファイツ(価値ある戦い)」の中で、オバマ大統領には政治家としての情熱(fireやpassion)がないと批判した。同じ閣僚だったクリントン前国務長官やゲーツ元国防長官も、それぞれが早々と回想録を出して大統領の指導性をけなしている。

 ≪必要不可欠な日米の調整≫

 共和党は8年ぶりに上院の過半数を奪還し、下院ではアイゼンハワー時代以来に迫る多数を確保した。さりとて、米国の国際的影響力低下は簡単に止まるか。

 勢いづいた共和党にも2年後に迫った大統領選挙のめぼしい候補者はまだいない。大統領が共和党に交代しても、米国は一種の孤立主義に沈み込むのではないか、との疑問は残る。

 ワシントンは、イスラム国に対する戦いのほか、トルコを自分のペースに引き込むか、湾岸諸国の協力をいかに維持させるかといった難問や、ウクライナをめぐる対露政策の練り直し、エボラ出血熱への対応という大問題を抱えてしまった。

 その中で軸足(ピボット)をアジアに向ける政策が疎(おろそ)かになるのではないかとの心配を払拭するかのように、最近来日する米政府高官や元政府関係者がアジア重視のピボット政策は不変だと語ってくれるのは心強い限りだ。

 しかし、肝心なのはお互いの最高指導者の志向の差であろう。オバマ大統領は内向きの政策を続け、任期の2年間に「変化」は望めない。安倍晋三首相はむしろ戦後レジームからの脱却を図る「外向き」である。ホワイトハウスと首相官邸の調整の必要性に米国は気づいているだろうか。日米間の最重要課題だと思う。(たくぼ ただえ)


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