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日本共産党が「よい自衛隊」と「悪い自衛隊」を使い分ける狙いとは何か? 支離滅裂にみえる安保政策の正体は…

2016-07-16 01:30:42 | 政治

2016.7.12 15:00更新
【野口裕之の軍事情勢】
日本共産党が「よい自衛隊」と「悪い自衛隊」を使い分ける狙いとは何か? 支離滅裂にみえる安保政策の正体は…

http://www.sankei.com/premium/news/160712/prm1607120005-n1.html

民進党の“安全保障政策”は政党として何を考えているのかわからず「支離滅裂」だ。寄り合い所帯故に統一した思想・理念に欠け、終始一貫「支離滅 裂」を修正できぬ路線は、まったくブレていない。「きたるべき日」に備え、民進党に比べはるかに軍事を学び、精通しているとお見受けする日本共産党の場合 はどうか。理論武装する共産党の安全保障政策は、基盤部分では「理路整然」としているが、現実的政策段階で乖離が発生し、結局「支離滅裂」に陥る。《共産 主義・社会主義をめざす》とする党の綱領や思想が邪魔をするのだ。
 従って、安全保障政策に踏み込むと、防衛費=殺人用予算の本音?が漏れ出す。問い詰められるとなかなか言わないが、勝手に話させるとうっかり秘密をしゃべってしまう哀れを、わが国ではこう表現する。
 「問うに落ちず語るに落ちる」
 ところが、小欄の認識は甘すぎた。「支離滅裂」の蓄積は、やがて“とある構想”へ「理路整然」とエスカレートしていく…
共産党用語の豊富なボキャブラリー
 それにしても、共産党が次から次へと繰り出すボキャブラリーは実に豊富。「海外派兵型の兵器」なる独特な表現まで出没し始めた。
 新聞社に入りたての新人時代、分かり難い記事を書くと鬼デスクに「小学校高学年(デスクによっては中学生)でも分かる記事を書けっ!」と、しばしばカミナリを落とされた。
この点、共産党機関紙《しんぶん赤旗》は、奈辺に狙いがあるのかはあずかり知らぬが、気味が悪いほど丁寧で、分かりやすい。しかし、参議院選挙で民進党との協力「民共合作」を打ち出した後は、俄然分かり難くなった気がする。
  例えば、6月30日の《知りたい聞きたい/共産党は軍事費 どう考える?》なる記事。2016年度の当初予算に防衛省が計上した防衛費が、沖縄県の米軍基 地や米軍再編関係経費を含め5兆541億円にのぼり、史上初の5兆円の大台を突破した事実を報じた。その上で、安倍晋三政権下で、防衛費を押し上げた主な 原因を《海外派兵型の兵器購入費》と断じ、《削減》せよと求めた。 
 記事では、兵器を《国内型》と《海外派兵型》に完全に分けていた。一瞬、国民に向ける兵器を《国内型》、外国を侵略する際に投入する兵器を《海外派兵型》と区別したのかと思いギョッとした。結果は、半分ハズレで半分アタリだった。
 赤旗によると、《海外派兵型》兵器の定義は《政府が従来から採ってきた「専守防衛」の建前を超えて、海外への侵攻を可能にする機能や、高い攻撃能力をもつ装備》。《たとえば》と、具体例を並べる。
  《いま自衛隊が導入を進めている最新鋭のF35ステルス戦闘機(1機あたり約181億円)は、レーダーに見つからずに他国へ侵入でき、高い敵基地攻撃能力 をもつのが特徴です。また、無人機グローバルホークの導入で、他国領土内の偵察が可能となります。米海兵隊のような“殴り込み”作戦に使う垂直離着陸機 V22オスプレイ(同約112億円)や、水陸両用車(同約7追億円)なども念頭に置いています》 
 そして、赤旗は装備導入の目的を解説する。
 《「日本防衛」や「離島防衛」という名目で導入が進められており、もちろん兵器自体に「海外派兵型」や「国内型」の区分があるわけではありません》
  赤旗が名指し批判した装備はいずれも中国人民解放軍の東シナ海侵出への備え。実際、沖縄・鹿児島両県の接続水域・領海に6月、初めて人民解放軍海軍の軍艦 が侵入。同時期、中国空軍の戦闘機はこれまでの「暗黙の限界線」を越えて、緊急発進(スクランブル)した航空自衛隊の戦闘機に攻撃動作を仕掛けた。
 中国軍の侵攻が現実味を帯びる中、「日本防衛」や「離島防衛」は《名目》ではなく、差し迫った《戦略目的》だ。共産党用語を借りるのなら、まさに《国内型》兵器に該当する。
共産党の高い学習能力
 そして次の一文《もちろん兵器自体に「海外派兵型」や「国内型」の区分があるわけではありません》が、共産党の学習能力の高さを証明する。
 仮に、海外を重点的ににらむ兵器が存在するとすれば、戦略性の極めて高い原子力潜水艦や長距離爆撃機、長距離ミサイルなどであろう。が、共産党は現時点で自衛隊が獲得する優先度・可能性の低い兵器ばかりだとの、現下における安全保障政策上の限界を知っている。
 知った上で赤旗は、既述したF35ステルス戦闘機/垂直離着陸機V22オスプレイ/無人偵察機グローバルホークなどの自衛隊導入兵器に置きかえ、紙面上でこんなロジックを作った。
 《(安倍晋三政権が昨年強行した安全保障関連法制は)戦争法と直結し、自衛隊をより海外展開できる態勢へと転換させる》
 侵略の《意図》を持つ安倍政権は、侵略の《能力》を持つ自衛隊を動かし、外国を侵略するようになる-とでも言いたげな論理構成だ。
 《意図》と《能力》の関係については後述するが、自衛隊が有する《海外展開できる》装備をすべて無くしたら、日本は丸裸同然になる。
 海上自衛隊の全護衛艦や、武器・弾薬&武装自衛官の投射に使う航空自衛隊が6月に配備した輸送機…は、どれもこれも海外に派遣できる。逆に、《“殴り込み”に使う水陸両用車》は、輸送のプラットフォームなしでは海外に展開しようがない。
 むしろ日本は55年体制中、政治の圧力で、航空自衛隊の一部航空機の航続距離にあえて制限を課したり、税金を投じてわざわざ戦闘能力を取り外したり、まともな国家ならおよそ理解不能な愚行を繰り返した。 
「意図」と「能力」で決まる国家の侵略性
 そもそも、国家の侵略性は《意図》と《能力》で決まる。戦略と戦力と換言しても差しつかえないが、4類型に大別される。
 (1)侵略意図も侵略能力もナシ
 (2)侵略意図がなくて侵略能力アリ
 (3)侵略意図があっても侵略能力ナシ
 (4)侵略意図も侵略能力もアリ
 (1)と(2)は基本的に安全だ。(3)は警戒・監視が必用だが、全力で整備すべきは、(4)に属する中国などへの対抗力だ。中国に対し、わが国は(2)が示す報復力=抑止力を保有する戦略が望まれる。
 そもそも、国家の独立や国民の生命・財産を守る上で、敵性国家を上回る▽より重厚な戦力▽より広い作戦行動域▽より長い作戦行動時間を求められるのは当然だ。そうした《能力》を侵略に使うか否かは《意図》が決定する。
 以上が、共産党が目のカタキにする「悪い自衛隊」である。では「よい自衛隊」があるのか? これがある。
  「災害の救援などで頑張っている」自衛隊だ。「心から敬意を表す」と、共産党の藤野保史氏(46)が6月28日に語っていた。NHKの討論番組(6月26 日)で、防衛費が「人を殺すための予算」だとする暴言を受けた反省?会見の席上であった。「人を殺すための予算」で活動する自衛隊は「殺人組織」、自衛官 は「殺人犯」ということになり、藤野氏に「敬意を表す」と持ち上げられても、何だかナア…。
 藤野氏の会見に同席した小池晃書記局長(56)も自衛隊は「違憲」と、「理路整然」と言い切った上で付言した。
 「違憲だとの立場は変わらないが、国民の合意がない限りすぐになくすことはできない。『かなり長期にわたって』自衛隊は存続する」
 「(急迫不正の事態や大災害時で)自衛隊には働いていただく」
 6月30日の赤旗も《軍事費の42.5%は自衛隊員の給与などに充てられる人権・糧食費ですが、人件費を削ったり、軍事費そのものをなくしたりするよう主張したことは、一度もありません》と胸を張る。ということは、自衛官削減には反対?
 小欄は、憲法を改正して自衛隊を「国軍」として正確に位置付けたいと何度も書いてきたが、軍事費を大切にする共産党は「どんな形の軍隊」の創設を目指しているのか?
  いずれにしても、憲法違反の自衛隊を『かなり長期にわたって』“容認”するつもりらしい。ならば憲法改正が筋で、自衛隊容認は共産党が連呼する《立憲主 義》に反する違憲行為ではないか。立憲主義などと、大仰でアカデミックな言葉をろうさずとも「支離滅裂」がピタリとはまる。
 と、小欄に不安がよぎった。ひょっとして「支離滅裂」ではなく「理路整然」とした、共産党による深謀遠慮ではないのか…と。共産党の自衛隊に対する「支離滅裂」な立ち位置は、「歴史に学んでいる」と感じたのだ。
  第二次世界大戦(1939~45年)後、ソ連が支配する東欧各国では「反ファシズム」のスローガンやムードの下、主義主張や政策の違う各党各派が「共有で きる政策」で妥協し、政権を樹立した。《統一戦線》の誕生である。共産主義や社会主義、民主主義の寄せ集めで、それぞれのイデオロギー・ブロック内でも党 派に分裂していた。この中で、仮に共産主義を唱える政党をA党としよう。
 A党は少数派だが、まず共産主義内の各派をまとめあげ党勢を拡 大。続いて社会主義の中で共産党に近い左派に近付き、影響力を行使し、場合によっては吸収合併する。次第に、触手を社会主義右派→民主主義左派とのばし、 国政の中で発言力を急拡大。政情や軍部との関係次第で、政権を支配するに至る。
参院選をめぐる野党共闘をほうふつさせる。日本共産党は当初《国民連合政府》を樹立し、政権掌握までの間合いを詰めようと謀った。真っ先に狙われたのが、思想・理念でまとまりを欠く寄せ集めの民進党だった。
  さすがに、民進党内の保守派は「シロアリみたいなもので、協力したら土台が崩れていく」と強く警戒した。そこで、ソ連が支配した東欧各国同様、「反ファシ ズム」を意味する「反アベ」「反安全保障関連法」など「共有できる政策」を提案した。同時に、自衛隊を「時限容認」して、民進党をおびき寄せ、抱きつい た。
 あとは簡単。思想・理念・政策共に「親戚筋」に当たる社民党や生活の党などと選挙共闘を組んだ。
民進党が渡ったのは「ルビコン川」ではなく…
 共産党関係者には、言葉を継ぐほど、何をいわんとしているのか「支離滅裂」になる特性が認められる。普通なら、正体が隠れるのだが、あら不思議。「支離滅裂」の蓄積で、やがて「理路整然」とした正体が見えてくる、とは。
  自衛隊を憲法違反と位置付け、自衛隊の解消+日米安全保障条約破棄を明確に打ち出す共産党に抱きつかれても、手をほどこうとしない民進党。ついに「民共合 作」で「ルビコン川を渡った」。いや、後戻りできぬ状況というより、崩壊への序曲か。自死への一里塚であるのなら「さんずの川を渡った」ことになる。



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