リクナビの「内定予定辞退者予測リスト」の販売、販売中止などを巡ってちょっと騒がしい。
「内定予定辞退者予測リスト」は正に個人情報そのものである。提供者(この場合、内定予定者)の承諾なく、その個人情報を他に
販売するなど人権無視と謂われかれないだろう。
また、その情報生成の過程でAI(人工知能)が利用されたことは残念である。革新の技術には負の側面を伴うことは技術の歴史が示
すところであるが、このように早々とその負の側面を晒しだすとは。
そこで「社会断層」ブログは上記リクナビ問題を含めて、「個人情報」に関する最近の記事を攫ってみた。以下参照
●「個人情報」とは? (簡略説明)日本経済新聞5月9日
●(社説)リクナビ問題 個人情報の危ない活用 朝日新聞8月12日
●個人データ活用には自覚が必要 日本経済新聞8月12日
●匿名でも個人特定可能と海外研究機関指摘 朝日新聞8月10日
●アップル Siriの会話分析中止 個人情報に配慮 日本経済新聞8月3日
●個人データ分析 ルール整備が急務 日本経済新聞8月2日
●就活生の内定辞退率を販売 個人情報 朝日新聞
●個人データも独禁法の対象になるか?
●顔認証の需要先、社会インフラ、個人向けサービス、企業業務
●「情報銀行」個人に対価 スカパー、Jスコア 事業化
●AIと憲法 朝日社説 5月3日
(社説)AI時代の憲法 いま論ずべきは何なのか
AI(人工知能)が日本国憲法の前に立ちはだかる――。
SFの世界の話ではない。学界や経済界では、現実に起こりうる課題として真剣な議論が交わされている。一部では、もはや人ごととは言えない状況がすでに生まれつつあるといってもいい。
「AIによる人間の仕分けが、差別や深刻な排除を生む可能性があります」
憲法学が専門で、昨年夏、さまざまな分野の専門家とともに『AIと憲法』を出版した山本龍彦慶応大教授はそう語る。
■揺らぐ「個人の尊重」
懸念されるのは、たとえばこんな事態だ。
企業の採用や人事、金融機関の融資の審査といった場面で、さまざまな個人情報に基づいてAIが人間に点数をつける。いったんAIからだめ出しをされると、その理由の説明もないまま、否定的な評価が知らぬ間に社会で共有され、ずっとついて回る。
まさに、「個人の尊重」(13条)や「法の下の平等」(14条)という日本国憲法の基本的な原理に関わる問題だ。
山本氏はAI自体に否定的なわけではない。経済合理性や効率性の追求に目を奪われるのではなく、「憲法と調和的なAI社会」の実現が必要だという。
「激変する社会における新しい憲法論」。経済同友会の憲法問題委員会が先月、公表した報告書の一章だ。
個人の購買履歴やウェブサイトの閲覧履歴などから、その人の趣味嗜好(しこう)、健康状態までAIに予測させるプロファイリングは、個人の尊厳やプライバシーを侵害しないか。
選挙において、SNSを使って有権者を特定の投票行動に心理的に誘導する手法は、国民主権の原理を根底から揺るがす危険がないか。
AIやビッグデータの活用など急速に進む技術革新が、私たちの生活を豊かにする一方で、人権や民主主義を脅かしかねないと警鐘を鳴らした。