映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

マーウェン

2021年06月19日 | 映画(ま行)

フィギュアの世界で

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実話に基づく物語。

5人の男から暴行を受け、瀕死の重傷を負ったマーク(スティーブ・カレル)。
昏睡状態から目覚めると自分の名も覚えておらず、歩くこともままならない。
そして体の状態が落ち着いてからも、暴力的なことを目にすると
パニック状態になるというPTSDに苦しみます。
そんな彼が、リハビリのためにフィギュアの撮影に取り組むようになります。

それは、第二次世界大戦下のベルギー、架空の町「マーウェン」。
そこではGIジョーのホーギー大佐と5人のバービー人形が、
ナチス親衛隊と日々戦いを繰り広げているという設定で、
マークの中でストーリーが進みます。
そんなシーンを人形で描き出して写真を撮るのです。
そしてそんな風変わりな写真が評判となり、評価されて、
やがて個展を開くまでに。

マークには、女性用の靴に非常に愛着があって、
ハイヒール等の何百足ものコレクションがあります。
時にはそれを履くことに喜びを感じることも。
ある日酒場で自分のそんなことを口にして、
LGBTに嫌悪を抱く連中から暴行を受けてしまった、ということのようです。

マークの住む町の人々はそんな事情を良くわかっていて、
何かと彼のことを気にかけ、助力しようとします。
特に、様々な女性たちが。

だから、「マーウェン」の世界のホーギー大佐は、マークの分身でもあって、
ヒーローではああるけれど、いつも女性たちに囲まれ、守られてもいるのです。
しかし、この世界を本当に牛耳っているのは一人の「魔女」。
どうやら、マークの恐怖の根源はここにありそうで・・・。

フィギュアの世界で物語を作る、というのは一種の「箱庭療法」なのかもしれません。
自分でもよくわからない心の奥底の不安を、「物語」を作ることで浮かび上がらせて行く。

なかなか興味深い話なのでした。

本作はそのフィギュアの物語世界を、映像として表わしているのです。
モーションキャプチャーで、人の動きを人形が動いている様な、不思議な感じに表現しています。
そこはロバート・ゼメキス監督ですからね。

でも始めはちょっと面白いと思ったそのようなシーンも次第に飽きてきて、
全体的にはなんだかとりとめなくピンと来ない感じになってしまったような・・・。

 

<WOWOW視聴にて>

「マーウェン」

2018年/アメリカ/116分

監督:ロバート・ゼメキス

出演:スティーブ・カレル、レスリー・マン、ダイアン・クルーガー、メリット・ウェバー

 

CG活用度★★★★☆

満足度★★★☆☆