映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ライド・ライク・ア・ガール

2021年06月09日 | 映画(ら行)

信じた道を突き進む

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オーストラリア競馬最高の栄誉であるメルボルンカップで、
女性騎手として初めての栄冠を手にしたミシェル・ペインの半生を描きます。

ミシェル・ペインは10人兄弟の末娘として誕生。
生後まもなく母を亡くしますが、父と多くの兄・姉に囲まれ健やかに成長します。

ペイン家は調教師の父と、兄・姉のほとんどが騎手という競馬一家。
ミシェルが幼い頃からそういう世界を見て育ったので、
騎手になるということはほとんど当然のことなのでした。

やがてミシェルは華々しいデビューを飾り、騎手としての人生を歩み始めますが、
落馬で騎手生命を左右するような大けがを何度も体験します。
そしてまた、ミシェルが最も敬愛する姉は、落馬によって命を落としてしまいます。
そのことがきっかけで、父親はミシェルが騎手を続けることに難色を示すようになりますが・・・。

10人兄弟。
いかにも賑やかです。
この家族の中では男も女も関係なく当然のように多くが騎手への道を歩みます。
女性の騎手は珍しくはないモノの、やはり待遇は劣ります。
女性用の更衣室はなく、物置の片隅であったり、
優秀な馬にはなかなかのせてもらえなかったり・・・。

このミシェルについては、女性というハンディをも乗り越えて活躍したというよりも、
幾たびもの大怪我を乗り越えて活躍した、ということの方が印象に残りました。
麻痺が残りそうな怪我をも乗り越えて・・・。
普通ならそこで怖くなって引退してしまいそうです。

でも彼女は、物心つくときから父に導かれ夢に描いていた
メルボルンカップの出場をなんとか果たしたかったわけですね。

それと特筆すべきなのは、彼女の兄の一人がダウン症なのですが、
やはりこの一家ならではということで、調教師の道を歩みます。
そして、ミシェルの傍らにいつも寄り添っている。

ダウン症の青年の活躍の物語でもあるわけです。
本作の彼の役はどうもご本人が演じているようです。
スバラシイ!

馬が走る姿はどうしてこうも、血わき肉躍る感じがするのでしょう・・・。

 

<WOWOW視聴にて>

「ライド・ライク・ア・ガール」

2019年/オーストラリア/98分

監督:レイチェル・グリフィス

出演:テリーサ・パーマー、サム・ニール、サリバン・スティプルトン、スティービー・ペイン

 

競馬の興奮度★★★★☆

不屈度★★★★★

満足度★★★★☆