映画と本の『たんぽぽ館』

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台風家族

2021年06月02日 | 映画(た行)

なんで銀行強盗?

* * * * * * * * * * * *

ブラックユーモアを交えたコメディ。

鈴木一鉄(藤竜也)と妻・光子(榊原るみ)は、銀行から2000万円の大金を強奪し逃走。
その後行方不明となります。

その10年後。
鈴木家の子どもたちが、未だに所在がわからない両親の仮想葬儀と
財産分与を行うために集まりました。
本作はその一日の出来事を追います。

カラの棺桶を二つ並べた葬儀。
その前で、兄弟たちはさっそく財産を巡って諍いを始めます。

長男(草なぎ剛)、長女(MEGUMI)、次男(新井浩文)、三男(中村倫也)。
そして、長男の妻(尾野真千子)、その娘、長女の恋人(若葉竜也)。

家は古くて解体するしかない。
土地の値段から解体費用を差し引いて、およそ800万円。
兄弟4人で均等に分けるべきところを長男は、全額自分の取り分をすることを主張。
それはないって、なりますよね。
でも、彼にはある目的のためにどうしてもお金が欲しかった・・・。
そのためには守銭奴といわれても辞さない覚悟。

しかしそんなことでもめているところを、
なんと三男が隠し撮りしてSNSでライブ配信していた!!
かつての銀行強盗の家族の内輪もめ・・・。
瞬く間に視聴者数アップ!!

しかしそれを見たかつて被害を受けた銀行員がやって来て、
犯人が死亡し、それを遺族が相続するならば、
遺族が2000万円の負債を追うことになる、とのたまう。
すなわち800万円手に入っても、2000万円返さなければならないので、大幅な赤字!!
ヤレヤレ・・・。

ところが、そんなお金の問題でもめているうちに、
次第に彼らは自分たちの親のことを何も知らなかったことに気づきます。
そもそも、なんだって銀行強盗なんかをしてしまったのか。
本当に、今は亡くなっているのか? 
生きているならどこへ行ったのか?

最後に真実がくっきり浮かび上がります。

それはいい加減な父親の行動ではなかった。
父は家族のことなどどうでもいいと思っていると、皆思い込んでいたけれど、
決してそうではなく・・・。

冒頭、銀行強盗を犯した父が乗り込んだ車は霊柩車、というシーンがあって、
まず度肝を抜かれます。
何で霊柩車? 
その後のストーリーで、鈴木・父の家業が葬儀屋ということがわかり、なるほど~とは思うのですが、
それにしても、その彼が、なぜ、銀行強盗を???と言う謎も深まるのです。

面白い物語でした。
このポスターの写真、次男の新井浩文さんが抜けてますね・・・。
しょうがないか・・・。

 

<Amazonプライムビデオにて>

「台風家族」

2019年/日本/108分

監督・脚本:市井昌秀

出演:草なぎ剛、MEGUMI、新井浩文、中村倫也、藤竜也、榊原るみ、若葉竜也、尾野真千子