映画と本の『たんぽぽ館』

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RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語

2019年12月13日 | 映画(ら行)

夢に年齢制限はない

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東京の一流企業に勤める49歳、肇(中井貴一)。
家庭を顧みる暇もなく仕事に追われる日々。
あるとき、故郷の島根で一人暮らしをしている母が倒れます。
またちょうどその頃、肇の親友が事故死。
これまでの仕事一筋の人生に疑問を抱き始めた肇は、
子どもの頃に憧れた一畑家電車、通称「バタデン」の運転士になることを決意しますが・・・。

 

エリートサラリーマンがまさかの転身。
これも一つのロマンではありましょう。
電車の運転士。
かつては男の子の将来なりたいもののトップだったのでしょうね。
本作中では肇の家の前を電車が通っていて、これで憧れないはずがありません。

 

バタデンは、島根県を走るなんともローカル色たっぷりの電車。
鉄子ではない私も、ちょっと乗ってみたい。

作中、肇の妻(高島礼子)はハーブを扱う店を開いたところ。
つまりそれなりに収入はあるので、意外と夫のとんでもない転職にも鷹揚です。
ただし、彼女は東京を離れられないし、肇は島根の実家暮らし。
互いの生き方を尊重し、別居のまま夫婦生活を続けるというところは、
できすぎのような気もしますが、でもいい感じです。

一畑電車に肇と同期採用の新人・宮田(三浦貴大)は、
実はかつて甲子園球児で、プロ入りも決まっていたのに
肘を痛め、野球の道を断念。
仕方なく好きでもないこの会社に入社。

夢を叶えるために入社した肇とは全く別のアプローチ。
こういう対比がよかったです。

 

ただ一つ残念だったのは、肇の母(奈良岡朋子)は、
がんの末期で入院しているのですが、あるとき一時帰宅。
「このままここで死にたい」と彼女は言うのですが、やはり病院に戻って息を引き取ります。

住み慣れた我が家で死んではいけないのか・・・?

本作のテーマとは外れたこんなところに私が注目してしまうのは、
実は今読んでいる本「おひとりさまの最期」のせい。

これについては次回、述べることにしましょう。

RAILWAYS [レイルウェイズ] [DVD]
中井貴一,高島礼子,本仮屋ユイカ,三浦貴大,奈良岡朋子
松竹

 

<WOWOW視聴にて>

「RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語」

2010年/日本/130分

監督:錦織良成

出演:中井貴一、高島礼子、本仮屋ユイカ、三浦貴大、奈良岡朋子

 

夢の実現度★★★★☆

満足度★★★.5