映画と本の『たんぽぽ館』

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ブレス しあわせの呼吸

2019年12月26日 | 映画(は行)

人の可能性

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1950年代、ポリオによる全身麻痺という重篤な状態で余命宣告を受けた方の、
実話に基づく作品です。

運命の出会いがあり、祝福されて結婚したロビン(アンドリュー・ガーフィールド)とダイアナ(クレア・フォイ)。
1959年、出張先のナイロビでロビンがポリオに感染。
首から下が動かなくなり、人工呼吸器がなければ生きていられない体となってしまいました。
なんとかイギリスに戻り、病院に入りますが、一日中身動きできず絶望の毎日。
そんな中、息子が生まれますがロビンは少しも喜べず、「死にたい」と思うのです。
こんなロビンを見かねたダイアナは、医師が止めるのも聞かず、
ロビンを自宅で看病することを決意。
自宅で生活し、時には人工呼吸器付きの車椅子で外出すらもするロビンは、
生きる喜びを取り戻していきます。



ポリオはかつては小児麻痺といわれ、私のような年代では、
子どもの頃、足に装具をつけている子を時々見かけたものです。
今はワクチンのおかげであまり聞きませんね。
子どもがかかる病気かと思えば、大人もかかることがあり、
そして大人がかかる方が、本作のように重篤な症状が出ることがある、ということのようです。



今でこそ人工呼吸器をつけながら自宅で過ごす方は多いと思いますが、
この当時は、それは常識外れ。
家に戻れば数日で死んでしまうと医師は断言するのですが、
電気があるのだから問題ないと、ダイアナは勇気を持って実行に移すわけです。



何よりも、病院では世話を受けるだけのただの病人。
退院の見込みもなく、そこで生きる意欲がわくはずもありません。
自宅にいれば家族がいて、時には友人も訪ねてくる。
いろいろな楽しい話もできる。
そして、人工呼吸器を車椅子に乗せるというアイデアを実行に移せる技術者の存在もラッキーでした。
さらには、そのまま自動車に乗り込んで、ドライブまでも!!


何よりも妻ダイアナとご本人ロビンがポジティブなのがいいですよね。
家に閉じこもらず、できるだけ普通の生活をしようとする。
そしてやってみればできる!
この方々の実績は後世への功績も大きいのでした。
そしてまたつい、「在宅介護」は大事と、言いたくなってしまう私(^_^;)

また驚いたのは、本作、映画プロデューサー、ジョナサン・カベンディッシュ自身の両親の実話なのですって!! 
それを自らの制作の元で映画化したということ。
人の可能性って素晴らしい!!

 

 

<WOWOW視聴にて>
「ブレス しあわせの呼吸」
2017年/118分/イギリス
監督:アンディ・サーキス
出演:アンドリュー・ガーフィールド、クレア・フォイ、トム・ホランダー、スティーブン・マンガン、ヒュー・ボネビル

家族愛度★★★★★
ポジティブ度★★★★☆
満足度★★★★☆