映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

エンジェル、見えない恋人

2019年12月06日 | 映画(あ行)

見えないものを見る

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ファンタジーというかメルヘンというか、そういう話なのですが、
その言葉のイメージほど甘くはありません。

パートナーの失踪により絶望したルイーズ(エリナ・レーベンソン)は、
心を病み、精神病院に収容され、
そこで人知れず一人の男子を出産しました。
その子はエンジェルと名付けられましたが、目に見えない存在だったのです。
ルイーズはそれでもエンジェルを愛し、施設内で育てます。

 

・・・というあたりで気がつくのは、この赤ん坊は実は存在しておらず、
狂ったルイーズが生み出した想像上の産物なのであろうと・・・。
ところが、エンジェルは目に見えないだけで、実際に意思を持っており、
やがて施設の隣家で暮らす一人の少女に興味を持ちます。

ある日ついにエンジェルは施設を抜け出して少女と対面します。
盲目の少女マドレーヌは、気配だけでエンジェルの存在に気がつきます。
やがて互いに惹かれあい、愛を育んでいくのです。

ところがあるとき、マドレーヌが視力を取り戻すために目の手術を受けることになり・・・。

 

マドレーヌにとって、エンジェルは息づかいも感じられ、
手を触れればぬくもりも感じられる、本物の人間なのです。
そして、エンジェルの顔を見ることができる日をとても楽しみにしている。
しかしエンジェルはその日を恐れている。
マドレーヌが見えないエンジェルを認めたとき、果たしてどうなってしまうのか・・・。

 

見えないものを「見る」というのも不思議な感じです。
つまりは元々見ることのできない「愛」というもの、
そのものがエンジェルなのかもしれません。

エンジェルの姿は、視聴者の私たちにも見えないので、
カメラがエンジェルの視線の代わりとなってマドレーヌを見つめます。
薄青い目。日に透ける赤毛。なめらかな肌。
う~ん。
愛だろ、愛って感じです。

 

エンジェル 見えない恋人 [DVD]
ハリー・クレフェン,トマ・グンジグ,ジャコ・ヴァン・ドルマル,オリヴィエ・ローサン
アルバトロス

WOWOW視聴にて>

「エンジェル、見えない恋人」

2016/ベルギー/79

監督:ハリー・クレフェン

出演:フルール・ジブリエ、エリナ・レーベンソン、マヤ・ドリー、ゴーティエ・バトゥー(声)

愛度★★★★★

満足度★★★★☆