田中雄二の「映画の王様」

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『セーラー服と機関銃』

2020-05-04 08:52:31 | 映画いろいろ

『セーラー服と機関銃』(81)(1982.1.20.五反田東映)

 亡くなった父に代わって目高組の組長となった高校生・星泉が、敵対する組織との抗争や、父の死の真相に巻き込まれていく。原作赤川次郎。

 『翔んだカップル』(80)に続く相米慎二監督による薬師丸ひろ子の主演作。去年、大林宣彦監督の『ねらわれた学園』(81)を見た際に、遅まきながら彼女の存在価値に気づいたのだが、この映画では、持ち前のかわいらしさに加えて演技力も伴ってきており、安心して見ることができた。彼女にとっては、脱アイドルのターニングポイント的な映画になるかもしれない。

 そんなこの映画は、まさに薬師丸ひろ子のために作られた映画である。渡瀬恒彦も大門正明も北村和夫も佐藤允も、そして、あの三國連太郎までもが、彼女の引き立て役に過ぎないからだ。とは言え、本来なら照れてしまいそうな役を、彼らがきちんと演じてくれたことが、この映画を一層ユニークなものにしている。

 特に、渡瀬は彼女とのからみが多かったから大変だったのではないかと思う。雨に濡れながらやくざな自分を吐露するシーンなどは、下手をすればお笑いになり兼ねない危険なものだったが、彼の演技と相米監督の長撮りによって名シーンとなっていた。

 シナリオを読んでみたら、重要と思われるシーンがかなりカットされていた。三國連太郎や北村和夫の役に物足りなさを感じたのは、その性かもしれない。  

【今の一言】この頃は、ちょっと年下の妹のような感じだった薬師丸ひろ子。その後、彼女にもいろいろあったわけだから、今の朝ドラ「エール」での母親役などを見ると、感慨深いものがある。

本作の続編にあたる『セーラー服と機関銃 -卒業-』(16)
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/974ca8a29b0a6c4d5674ada09424191c


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