『フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン』(2024.6.20.ソニー・ピクチャーズ試写室)
1969年、人類初の月面着陸を目指す国家的プロジェクト「アポロ計画」の開始から8年が過ぎ、アポロ11号の発射が迫っていたが、失敗続きのNASAに対して米国民の関心は薄れつつあった。
ニクソン大統領の側近モー(ウディ・ハレルソン)は状況を打開すべく、PRマーケティングのやり手であるケリー(スカーレット・ヨハンソン)に白羽の矢を立て、NASAに彼女を雇用させる。
NASAの発射責任者コール(チャニング・テイタム)は、ケリーのイメージ戦略に反発するが、ケリーの活躍によってアポロ11号の月面着陸計画が全世界の注目を集めるようになる。ところがケリーは、モーから「万一に備えて月面着陸のフェイク映像を撮影する」という前代未聞の極秘ミッションを告げられる。
アポロ11号による人類初の月面着陸にまつわる“うわさ”をモチーフに、奇想天外なプロジェクトの行方を、ケリーとコールのやり取りを中心にユーモラスに描く。監督はグレッグ・バーランティ。
これまでも、アポロ以前のマーキュリー計画を描いた『ライトスタッフ』(83)や『ドリーム』(16)、アポロ11号の船長ニール・アームストロングを主人公にした『ファースト・マン』(18)、アポロ13号の奇跡の生還を描いた『アポロ13』(95)など、アメリカの宇宙計画を描いたものは多いが、それらストレートな映画から見ればこの映画は変化球映画だと言えよう。
むしろ、火星探査機の故障が発覚したものの、それを公表できず、NASAは砂漠に大掛かりなセットを組んで、そこから偽の中継映像を流して成功をでっち上げるという『カプリコン・1』(77)に近いものがある。
ただ、『カプリコン・1』はシリアスな内容だったが、本作はコメディータッチで描き、最後はちゃんとアポロ11号への賛歌になっているところが面白い。
ヨハンソン、テイタム、ハレルソンという主軸のほか、レイ・ロマノ(NASA職員のヘンリー・スモールズ)、ジム・ラッシュ(フェイク映像のランス監督)、クリスチャン・クレメンソン(プレスエージェントのウォルター)といった脇役たちの活躍もうれしい。
『ライトスタッフ』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/59f3dd218b5be6d43de8e11cb4d3e117
『ドリーム』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/1f83d85d698ba27205b00544d17032c2
『ファースト・マン』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/37e78a21164a9b2045fe1c9870c241cf
『アポロ13』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/e4026188b9b7531321d83e6bda488df0
『カプリコン・1』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/f12bc56a09900975e62076d074f68394
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます