オークランド通信

のんびりしたお国柄が気に入りニュージーランド在住27年。仕事、子育て、生活全版にわたって語ります。

その51 遺言の書きかえ 14-11-08

2008-11-17 12:44:42 | 第51ー60回
その51 遺言の書きかえ 14-11-08

最近思うところがありWill(遺言状)を書きかえることにしました。

当然のことですが、ここに書くニュージーランドの遺言等の内容は私の経験、知識
に基づいたものです。読者の方で実際遺言を作成する時は、専門家に相談して最新
の正しい情報を得て下さい。


昨年、親しかった友人の死に遭遇し、本当に残された者はいかに後始末が大変か、
という事を実感しました。
逝ってしまうのはあっけなく簡単でも、家族、友人は、故人のすべてもろもろの後
始末しなければなりません。
そういう場合、Willがあれば事は簡単に済むはずです。
最近の日本のことはわからないけれど、ニュージーランドは遺言を作成することは
わりと一般的です。


できる時に、冷静に夫婦でお互いの死について話し合える時に遺言を見直そうと今
回決心しました。
離婚しそうになってるとか、死にかけてる時は、下心がありそうでこんな話できま
せんからね。


昨日、solicitor(司法書士?)に夫婦で会いに行き、下書きを元に私たちの意向
を伝えてきました。
これをもとにsolicitorが、Will用の書式にそって文書にし、私達が確認した
上でサインをします。
Willの原本は法律事務所が保管します。必要になった時に、法律事務所に連絡し、
遺言を執行します。


現在の私達のWillは、8年前に作成したものです。
子供達は成人したし、最近の経験から私たちの考えも変わってきています。

Willは新しいものが作成されると、古いものは無効となります。
そのため、Willの一番最初の文章は、"I revoke all earlier wills.
(これまでの遺言を無効とする)“です。

Willは、あまりしょっちゅう書き換えるのも大変だし、できるかぎりシンプルに、
家族の変化にも対応できるような文書にします。


今回変えたところ。

Trusteeに息子の名前を入れる
Trustee(遺言執行者)は、今の遺言では我が家の担当の弁護士と娘になっていま
す。
8年前は息子は15歳で未成年だったので、Trusteeにすることができませんで
した。
今は息子は成人しているし、娘が結婚したことにより娘婿が関係してくることを考
えると、兄弟二人で遺言を執行するのが公平だと考えたからです。

葬式を行う
これまでは、私のWillは、火葬にし灰は海にまき葬儀はしないとしていました。
友人が逝ってから、どんな人生を送ってきた人でも、お別れを言いたい友人、親戚
がいると思いました。
それと葬式をしないと死後いつまでもお悔やみを言われて、遺族はずうーと悲しみ
を引きずってしまいます。
お葬式は死んだ人のためではなく、残された者のためにあると実感しました。
人生の一つの区切り、社会と故人、故人の家族の通過儀礼です。
それで今回は、無宗教のお葬式をすると変えました。
花をふんだんに飾り、私の好きな曲を流して、友人に歌を歌ってもらおうと思って
ます。
夫は仏教式のお葬式をしてほしいそうです。

beneficiaries(遺産の相続人)
現行のは、My childrenとなっているところを、息子と娘の名前を明記しました。
この年で私は子供は生まないだろうし、夫も作らせることはないとしても、ひょっ
として養子を迎えるかもしれません。
どういうことがあっても、私たちの財産は私と夫の子供にいくようにしました。

一般的なWillでは次のように相続されます。
私が死ぬと、遺産は夫に行きます。もし夫がその時いなかったら息子と娘に半分ず
ついきます。
孫の代になると、子の取り分を等分します。
もし息子に子供が二人なら、その子達は半分の半分を受け取ることになるのです。


今回、Solicitorが参考にとくれた New Zealand Law Society 発行の
“Making a will and administration”の冊子によると、必ずWillど
おりに実行されない場合もあると書いてあります。
Property(relationships)Act, Family Protection Actにのっとり
Willの内容が変更される場合があるそうです。
Property(relationships)Act では、生き残った配偶者に相続の権利があ
ります。
ニュージーランドでは、夫婦であったもの、3年以上同居のパートナー、Civil
Unionによる結婚の同性同士、異性のパートナーにも権利があります。
もし私が遺産はペットの猫タマにやると書いていても、Family Protection
Actにより息子娘が私の遺産を受け取ることになるでしょう。
だれも身寄りがなかったとしても、タマは財産を管理できないから、タマの後見人
が受け取ることになるのではないかと思います。

Business
今回、Solicitorから私にビジネスをどうしたいかかと聞かれました。
私の自営業は、私が死んだあとは廃業とし、最後の税金を申告し、請求書を支払っ
たあとの残りは他の私の遺産と同様に扱うという風にしました。

25歳までは相続はお預け
これまでのWillでは、子供は25歳に達してから相続できるという風になってい
ました。
親の遺産ががっぽり入って、車とかで使い込んでしまったりしないように、良識の
ある大人になってからもらえるということです。
我が家の息子は、来年の1月で25歳になるのでこの文章は今回はなくしました。
余談ですが、車の保険も25歳まではアクセスに$1000くらいかかったりと割
高なのです。
ニュージーランドでは、18歳から成人ですが、一人前と見なされるのは25歳から
です。


これ以外に子供が未成年の場合は、Guardian(後見人)の指定も記載できます。
遺産を寄付する場合も、どうようにいくらくらいどこに寄付するか明記できます。



通常Willにと同時に、”Enduring power of attorney(代理執行人の指
定)“をする事もあります。
これは、病気、怪我などにより本人が知的、体力的能力がなくなった時、に本人か
わって財産等を管理できる権威です。
たとえば認知症で老人ホームに入れるのに、本人の口座からお金を引き出して使っ
たりできます。

最近Enduring power of attorneyに関する法律がかわったそうで、夫婦
だとお互い違うsolicitorに会いサインをしなければならなくなったそうです。
とりまとめる我が家のsolicitorを含め3人のSolicitorを使うことになり
割高になります。
今回見積もりをお願いしたら、$1000くらいはかかると言われ、しないことに
しました。
これまでは一人のsolicitorでできたのに、手間とお金が余計にかかるようにな
ってました。
利害とか厳密に言えば、遺言状の作成も夫婦で同じSolicitorを使うのは理にか
なわないのではないかと思いました。


ニュージーランドでは相続税、不動産購入税、不動産売却税が存在しません。
不況とはいえ、家の売買は比較的簡単なので、離婚、親が死亡したりした場合は、
売却して分けることが多いです。
Willがあれば、家のタイトルも簡単に買い換えられるので売りやすいのでしょう。


死んだら後の祭りで私にはどうしようもないけど、みんなが混乱しないよう意思表
示は元気なうちにすべきですよね。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« その50 我が家のこのごろ... | トップ | その52 チャリティーカレ... »

コメントを投稿

第51ー60回」カテゴリの最新記事