オークランド通信

のんびりしたお国柄が気に入りニュージーランド在住27年。仕事、子育て、生活全版にわたって語ります。

その59 オペラコンサート Madame Butterfly 14-08-09

2009-09-09 14:29:51 | 第51ー60回
..`59..

オペラコンサート Madame Butterfly


先週の金曜日の夜、友人とオークランドタウンホールへMadame Butterflyの
オペラコンサートに行ってきた。
最初にさそった友人は、本当のオペラじゃないといって一緒に行ってくれず、
2番目に声をかけた友人と行った。
私自身もコンサート形式だしな、どんなもんだろうとあまり期待していなかった。
明治時代の日本、長崎舞台のプッチーニのオペラ、蝶々夫人を一度見てみたいと
思ったからだ。


Madame Butterfly(蝶々夫人)、とてもよかった。
久しぶりで感動した。
6月に行ったオペラ「アルジェのイタリア女」は、主役のソプラノが風邪のため、
口ぱくでとてもがっかりした。そういう訳で、今回はいいものが見れて嬉しかっ
た。


オーケストラは、オークランドフィルハーモニア、指揮者はドイツのEchehard
Stier、蝶々夫人は ロシアのSvetiana Katchourだった。
それ以外は地元キーウィー歌手でピンカートン(Patrick Power),スズキ(Anna
Pierard)、 シャープレスアメリカ領事(Jered Holt),ゴロー(Richard
Greager)、ボンズ( Richard Green)、ケイト夫人(Kate Spence)であった。


Madame Butterflyは、オークランドでは一回きりということで早くからチケッ
トはよく売れていた。
音の響きのいい正面席は、私が電話かけた時はすでにソールドであった。
そこで、歌手の顔が見えたらいいなと思い、舞台前方右手の席を取った。
ちょうど指揮台の線上くらいである。
その席は、思いのほかよかったのある。
指揮者の動きが良く見えるし、コンサートマスターは真正面である。
メインの蝶々夫人、スズキもよく見えた。
脇役のゴローなどの男性歌手は2階サークル座席の影となり、頭しか見えなかっ
たが、主役が見えれば充分である。
このオペラ、ほとんど蝶々夫人が出ずっぱりで歌っているようなものなので、こ
れはとてもいい席であった。


指揮者のSvetlana Katchour は、若くて指揮も新鮮だった。
彼は、合唱の時はちゃんと口開けて歌っていた。
いつも指揮者の後ろ姿しか見ていなかったから、前から見ると表情も見えて
とても良かった。Svetlana Katchourは左手の動きがとても繊細であった。
体全体から指先までを使って巧みに指揮をしていた。

まずコンサートマスターがでてきて、バイオリンで全員と音あわせをする様子も
見れた。
まるでのだめカンタービレの世界、友人と指揮者かっこいいねとか、コンサート
マスター、ハンサムねなどど話していた。
普通のオペラだとオーケストラは、薄暗いボックスのなかにはいっていて、顔な
どとても見えない。
こういうコンサート形式のオペラは、オーケストラのメンバーは見せ場が多くい
いなと思った。


ロッシーニは、さくらさくら、お江戸日本橋などの日本のメロディーをこのオペ
ラに取り入れていて、日本人として親しみが持てた。
バイオリンのソロもあったりと、オーケストラの音楽自体も楽しめた。


蝶々夫人のオベラといえば、「ある晴れた日に」があまりにも有名である。
Svetiana Katchourは小柄で初々しい蝶々夫人の雰囲気がでていたし、低音から
高音まですばらしい響きであった。
蝶々夫人の扇子が日の丸というのには笑ってしまった。まるで応援団みたいだ。
まあ、日本とすぐわかるが。

ピンカートン役のPatrick Powerもよかった。
しかし、ピンカートンが太鼓腹で白髪頭で老眼鏡をかけているのはちょっとイメ
ージにあわない。本当のオペラだったら、もっと若いテナー歌手がやるだろうな、
と思った。

スズキ役のAnna Pierardもなかなかの好演であった。
奥ゆかしくお辞儀をして退場する様子は、日本の女中らしくてよかった。
蝶々夫人の心のうちを察した、ちょっと抑えた感情表現をうまく演じていたと思
う。

コーラスは、舞台の右手、パイプオルガンの上のほうにいた。
第2幕のハミングの水夫の合唱は、波のうねりのようで印象的であった。
「Cio-Cio-San, Cio-Cio-San」と呼びかけるところが、今でも耳に残っている。

ピンカートンのアメリカ人妻、ケイトを演じたKate Spenceの出番は、第3幕の
最後のわずかな部分であった。
Kateは、メサイヤのアルトのソリストとして歌ったのを聴いたことがある。
その時から比べると、声に存在感がありずっとうまくなっていると感じた。


インターバルに、下のバーでチェリーのシャンペンを買って、席に戻る。
グラス片手に、後半はリラックスしてコンサート観劇できた。


今回は、私としては珍しくパンフレットを買った。
$10もして、其の割には宣伝が多く少々がっかりした。
まあ、これにはドネーションが含まれているとしよう。
パンフレットを眺めていて気づいたが、指揮者ばかりでなく、楽団員にもスポン
サーがついている。
美術蒐集家で有名なJames Wallace氏の Wallace Arts Trustも数人の楽団員
のスポンサーをしている。
企業、トラストばかりでなく個人でもスポンサーをしている人もいる。
オークランド規模の町で、クラッシック音楽で身を立てていくのは難しいであろ
う。ファンの中からサポートする人がいるのはとてもいいことだと思った。


コンサートは、拍手大喝采で終わった。
立ち上がった拍手をしている人もいた。
蝶々夫人を演じたSvetlana Katchour が感極まって涙したら、指揮者がポケッ
トからハンカチをさしだそうとしたら無くて、笑いをかっていた。

出演者への贈呈の花束は、チューリップとキーウィーフルーツのつるのシンプル
なものであった。
花束も春らしく好感が持てた。


Madame Butterflyのコンサートから1週間、あとしばらくは、この幸せな気分
に浸っていられそうである。
いいコンサートは余韻があり、夢の中にもそのシーンがよみがえってくる。


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