Auckland Writers Festival
11−06−21
190号
4、5月は、2つのコンサートとAuckland Writers Festivalに行きました。
去年の今頃はロックダウンの真っ最中でどこへも行けず、もちろんコンサート
もなかったので、今年は誘われたら全部イエスで、毎週の様にお出かけして
ました。
ハイライトは、5月15日、Auckland Writers Festival, Kazuo Ishiguroさん
のイベントでした。
https://www.writersfestival.co.nz/
Kazuo Ishiguroさんは長崎生まれの日系イギリス人で、2017年にノーベル
文学賞を受賞しています。
彼の代表作の”The Remain of the Day” はAnthony Hopkins とEmma
Thompsonの共演で映画になっています。
私は、友人3人とKazuo Ishiguroさんのイベントに出かけました。
例年なら、数あるイベントの中からいくつか行くのですが、今年はその前後に
コンサートに行く予定もあり、仕事も忙しい時期でしたので、この一つに絞り
ました。
Auckland Writers Festivalは、最近注目を浴びたニュージーランド、海外の
作家の紹介をしています。
直接作家と会って話ができる、これまで知らなかった作家の本も買えるの
で毎年出かけてます。
私はニュージーランドに来てから英語の本を読むようになったけれど、英文学
の基礎知識がないのでこういうイベントは助かります。
少し早めに会場に到着すると、たくさんな人だかりで、本の販売コーナーには行列
ができてます。
Kazuo Ishiguroさんのイベントは、オンラインライブのイベントなのに、
Aotea Center, Kiri Te Kanawa Theater( 2000人)がほぼ満員でした。
去年は、実際にKazuo Ishiguroさんがイギリスから来ることになっていましたが、
コロナのロックダウンでキャンセルになりました。
今回は、Kazuo Ishiguroさんはロンドンの自宅の居間から、オークランドの
司会者の質問に対して答えるという形式で行われました。
つまり、私たちは大きなスクリーンでIshiguroさんを観てる、という事です。
セッションの最後10分間は、会場の観客がIshiguroさんに質問する事も
できました。
Ishiguroさんの最新作、” KLARA AND THE SUN”の作品の成り立ちや、
奥さんや娘さんのアドバイスなど、滅多に聞くことがないご家族と作品作り
の関係を聞くことができました。
私が一番印象に残ったのは、
一つの曲のように、読んだ後でも、曲全体、あるいはメロデーがふっと浮かぶ
ような本を書きたい、と言われたことです。
Ishiguroさんは若い頃、シンガーソングライターを目指していて、その経験
が作家となる基盤となったということです。
講演は大拍手で終わり、興奮とその場の勢いで、友人と私4人とも
” KLARA AND THE SUN”を買ってしまいました。
世界のコロナがなかなか終息しない事もあり、海外で活躍しているニュージーランド
出身のオペラシンガー達が帰国してきています。
幸に、ニュージーランド国内は昨年10月から国内の感染者がほぼゼロが続いて
いるので、コンサートも開催できます。
4月29日にOtago出身のバリトン歌手、Jonathan Lemaluのコンサートに
行きました。
彼はロンドンから戻ってきていて、全国ツアーをしています。
Jonathanの歌は素晴らしかったけれど、バリトンは地味ですね。
CDで聴くと編集されているので、はっきり彼の声が聞こえるのですが、ライブ
ではピアノの音に声がかき消される場面もありました。
やはりソプラノやテナーの声のほうが響きやすいです。
5月16日は、Opera Factoryでテナー Simon O’Neill とソプラノ
Kristen Sharpinのコンサートに行きました。
これは、Opera Factoryの支援者向けのcharityコンサートでした。
多分世界中どこでもそうだと思うのですが、オペラファンはお年寄りが
多かったです。
コンサートの前にワインとサンドイッチ、チーズが振る舞われました。
ベルリン在住のKristen Sharpinは子供の頃にOpera Factoryの所属していて、
里帰りの機会に恩返しで歌ってくれたという感じでした。
Opera Factoryの音楽練習室のような小さい部屋で、世界一流の二人の
オペラシンガーが絶好調で歌うと、わんわん響いて耳がキーンとしてしばらく
元に戻りませんでした。
二人のお得意のワーグナーの曲が多かったので、絶好調でした。
最初に司会者が、二人の歌声は充分よく聞こえるので補聴器は外して下さい、
と冗談で言ったのかと思ったけれど、本当に声が大きいです。
オペラのシアターでも小さなホールでも、プロは声を加減しないようです。
コンサートの最後には、ちょっと寛いだ質疑応答の時間もありました。
お二人はワインを飲みなから答えてました。
やはり質問は、コロナの2020年をどう生き抜いたか、という話題に集中して
ました。
Simonのような一流のテナーでも、生活には苦労してると話してました。
契約しているオペラカンパニーにより、公演がコロナでキャンセルになった
場合、80%くらい支払ってくれるところ、50%とかで決まっていない
そうです。
シーズンごとの契約をいつくかやって生活しているので、公演がなくなると
大変だと言ってました。
会社とかに雇用されていれば国によっては保証金が出ているけれど、彼らは
自営業者みたいのようです。
今週日曜日はフィガロの結婚のオペラに行きます。
今年は、すぐにチケットが売り切れてます。
このチケットも友人が発売と同時に2月に買ってくれました。
コロナでキャンセルになった場合は100%返金されるので、みんな迷わず
買ってます。
国境が開くにはまだしばらくかかりそうなので、国内で楽しんでます。