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60回目のカンヌ。

2007-05-30 01:00:22 | 映画・演劇・文学
27日、60周年を迎えたカンヌ映画国際フェスティバルの授賞式が行なわれました。


28日付のLe Figaro(フィガロ紙)です。ジェーン・フォンダからお祝いのキスを受ける、パルム・ドール(最高賞)を受賞したルーマニアのCristian Mungiu(クリスティアン・ムンジウ)監督のうれしそうな表情が第一面を飾っています。

何しろ、60回目という記念すべき年のパルム・ドール。その栄誉はどの作品に輝くのか、また他の賞は誰が受賞するのか・・・デパート「ボン・マルシェ」のイベントは以前ご紹介しましたが、例年にも増して大きな話題となってきた今年のカンヌ。結果は、フィガロ紙の見出しに「ルーマニアの驚き」とあるように、“4 mois, 3 semaines et 2 jours”(『4ヶ月、3週間と2日』)というタイトルのルーマニア映画が受賞しました。

(雑誌『カイエ・デュ・シネマ』5月カンヌ特集号、写真はパルム・ドール受賞作の1シーン)
80年代、共産主義政権下のルーマニア。非合法の中絶をするため悪徳医に体をゆだねる友人を何とか助けようとする若い女性の話だそうです。早くから有望視されていた作品が、最終的に受賞。進境著しいルーマニア映画の受賞であり、悲劇的なテーマが印象的だったようです。29日付のmetro(メトロ紙)は、映画はただ笑い転げるだけのものではない、時には主人公たちと一緒に悩んだり悲しんだりするものだ、というメッセージを審査員たちはこのパルム・ドールに託したのではないか、と言っています。


これは同じく28日のフィガロ紙の別刷り、主な受賞者リストです。上から2番目に記載されているのが、パルム・ドールが期待されていた河瀬直美監督の『殯の森』。惜しくもパルム・ドールは逃しましたが、それでも準グランプリにあたるGrand Prix du Jury(審査員特別賞)を受賞。10年前に『萌の朱雀』で新人監督賞にあたるカメラ・ドールを獲得している河瀬監督、早晩、必ずやパルム・ドールを受賞することでしょう。

60周年記念大賞は、ガス・ヴァン・サント監督の“Paranoid Park”(『パラノイド・パーク』)、主演女優賞が『シークレット・サンシャイン』で韓国女優のチョン・ドヨン、主演男優賞は『ザ・バニッシュメント』のコンスタンティン・ラヴロネンコ。監督賞は“Le Scaphandre et la Papillon”(『潜水服は蝶の夢を見る』)のジュリアン・シュナーベル監督。


1週間ちょっとの期間中、多くのスター、映画関係者がカンヌに集まりました。賞だけでなく、新作の売り込み、買い付けの場でもあるため、ホテルで、レストランで、あるいは、こっそりと、いろいろな場で旧交を温める交歓、あるいはタフな商談が行なわれたようです。右下の3人の美女が並んでいる写真、左がカトリーヌ・ドヌーヴ、右が娘のキアラ・マストロヤンニ、中央にいるのが審査員賞を取ったアニメ『ペルセポリス』の原作者であり、共同監督のマルジャン・サトラピ。ドヌーヴ母娘はこのアニメに声優として参加しています。左上の写真は今回の審査委員たちで、左から4人目、髪に手をやるアジア系の女性が、マギー・チャンです。堂々たる、世界のトップスターですね。

堂々、と言えば、忘れられないシーンがこれ。

21日付のmetro(メトロ紙)に掲載された、60回を記念して集まった著名監督たちの写真ですが、左手前にいるのが、紋付袴の北野武監督。存在感がありますね。ぜひ、また新作でカンヌに戻ってきてほしいものです。

さて、60年目のカンヌから、どんな名作が私たちの目の前に現れ、そして記憶に残っていくのでしょうか。多くの作品の公開が待たれます。

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