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ピカソとカルメン。

2007-05-28 00:35:49 | 美術・音楽
いま、ピカソ美術館で“Picasso - Carmen”(ピカソ・カルメン)という企画展が開催されています。



いくらフランスに住んで制作活動をしていたといえ、ピカソはスペイン人。「カルメン」のもつ情熱・アウトサイダー・反逆といったイメージを嫌いであるはずがありません。「カルメン」を描いた作品があって当たり前・・・と、この企画展を知れば思えるのですが、ではその具体的な接点は、と問われると、はたと困ってしまう、そんな程度の知識しかなかったのですが、ピカソとカルメン・・・惹かれるものがあり、出かけてきました。


いかにもスペインといった、黒のレースをイメージさせる会場装飾です。そして、髪飾り、扇・・・スペインが出迎えてくれます。展示されているのは200点ほどの絵画、デッサン、版画、挿絵、写真など。何しろピカソの多作ぶりは有名で、もっとも多作な画家としてギネス・ブックにも載っているほどですから、カルメンに関係する作品が200点といっても驚くにはあたらないのかもしれないですが、それでも、多くの作品です。


ポスター、パンフレットに使われているスペイン女性やこうした闘牛士の写真、


そして、いかにもキュビズムの創設者といった作品が並んでいますが、今回特に注目されたのが、メリメの本に描かれた水墨画です。


メリメの小説『カルメン』が発表されたのは1845年。そしてビゼーのオペラが上演されたのが1875年。ピカソはそのあと1881年の生まれで、20世紀に入るとすぐパリに住み始めましたので、それらを読んだり観たりするチャンスはあったのではないでしょうか。実際、ピカソはカルメンに多大な興味を抱いていたようです。興味というより、憑り付かれていたといった方がいいくらいだ、と言う人もいるくらいです。情熱的というか、男の一人や二人、簡単に破滅させてしまうほどの魔性の女性、カルメン。

ピカソは、1957年に出版されたメリメの『カルメン』の余白に、水墨画を中心に彩色したものも含め、多くの挿絵を描いています。


そして、暗く血の騒ぐ儀式、闘牛。カルメンと闘牛・・・祖国スペイン、というだけでなく、ピカソはそこの何か共通するものを見ていたのではないでしょうか。しかも、両者が似ているだけでなく、そこに自分自身を見出していた画家・ピカソ。カルメンは、女性という鏡に映ったピカソ自身だ、といわれる所以かもしれません。情熱・アウトサイダー・反逆、それらの化身がカルメンになり、ピカソになったのでは・・・そう思えてきます。


ピカソ美術館
5 rue de Thorigny(火曜日休館)
“ピカソ・カルメン”展は7月24日まで

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