50歳のフランス滞在記

早期退職してパリへ。さまざまなフランス、そこに写る日本・・・日々新たな出会い。

世紀の討論!?

2007-05-04 02:48:11 | マスコミ報道
大統領選挙の決選投票を前に、候補者2人によるテレビ討論が2日夜、2つのチャンネルで生放送されました。翌3日、それを活字メディアはどう伝え、市民はどのような感想を述べているでしょうか。


どの新聞も、トップニュースは当然、この討論の話題。上の写真は、Le Figaro(フィガロ紙)です。「討論の衝撃」といった見出しです。


matin plus(マタン・プリュス紙)は、「譲歩なき闘い」。


metro(メトロ紙)です。こちらの見出しは、「電撃的」。

夜9時から11時までの2時間の予定が、40分も延長された激論。しかし、勝負を挑んだのは、ロワイヤル候補。政策に弱いというイメージを払拭するためか、のっけからいろいろな数字を使って、政策通であることを印象付けようとし、また討論を自分のペースに持ってこようとしたようです。常にサルコジ候補を見据え、またサルコジ候補の発言は途中で腰を折って自説を展開。トラの目をしていたと、その勇敢な態度を賞賛する声もあります。一方のサルコジ候補、右寄りだ、熱くなりやすいといったイメージをこちらも払拭し、冷静さをアピールするかのように、話を途中で遮られても決して興奮せず、冷静に紳士然とした態度を見せていました。サルコジ候補は以前から、「5年も任期のある大統領を選ぶのに、僅か2時間の討論で投票する候補を決めるわけがない」と言っていましたので、この日の討論は勝負というより、イメージを少しでも良くできればといった戦略だったのかもしれませんね。

ロワイヤル候補が見せつけようとした政策、新聞に寄れば識者はやはりサルコジ候補のほうに一日の長があったと言っているようです。ロワイヤル候補の意見は概略・一般論で、一方のサルコジ候補の提案はより具体的だったそうです。数字に関しても、サルコジ候補のほうがより正確だったと言われていますが、ただし、フランスの電力に占める原子力発電の割合について、ロワイヤル候補は17%、サルコジ候補は50%と言っていましたが、正解は78%だそうで、確かにサルコジ候補のほうが正解に近いとはいうものの、両者とも正解とはずいぶんな開きがありますね。「原子力」にはあまり関心がないのでしょうか。他の話題での数字はどれほど正確だったのでしょうか。

今までに145回行なわれた決戦投票に関する調査で、141回とほぼ常にリードしているサルコジ候補。そうした自信が冷静な受け答えになっていたのかもしれないですが、さすがに最後の頃には、いらいらした感情が態度や表情に出ていました。最新の調査では、サルコジ候補が52%前後でリード。この数字からは、ものすごい接戦のように思えてしまいますが、何人かのフランス人に聞いてみたら、今の時期にこれだけ差があれば勝負は決まったようなもの、と異口同音に言っていました。そうした印象を反映してか、パリ市内のカフェなどでは大きなスクリーンを用意して店内どこからも見えるようにサービスに務めたところもあったそうですが、客の反応はいまいち。自分たちの会話に夢中だったり、討論の放送に背を向けたり・・・フランス国民2,000万人が見ると言われていたこの放送。実際にはどのくらいの人が見たのでしょうか。カフェなどでは、盛り上がりにどうも欠けていたようですが・・・。

政治家たちは、当然自分の推す候補の出来を誉めていますが、極右・国民戦線のル・ペン党首は、両候補を揶揄しながらも、「どちらもどちらだが、サルコジ候補のほうが上手だ。ただロワイヤル候補はスピーチより討論のほうがまだ上手い」と言っていたそうです。ロワイヤル候補、さすが最高学府ENAで鍛えたディベート術なのでしょうか。因みに、ル・ペン党首は、両候補のいずれにも投票せず棄権するよう支持者に呼びかけています。極右支持層が棄権すると、サルコジ候補へ流れる票が減るかもしれませんね。また、中道のバイルー候補が、サルコジ候補には投票しないと述べたとか。どの程度の影響がでるでしょうか。

ともあれ、直接対決が終わり、6日(日)に国民の審判を仰ぐだけとなった大統領選挙。勝利の女神はどちらに微笑むのでしょうか。

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