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ホロコースト記念館~Memorial de la Shoah

2007-05-22 00:43:46 | パリ
パリ4区に、Memorial de la Shoah(メモリアル・ド・ラ・ショア)というホロコーストに関する資料の保存、教育、情報発信を行なっている団体の建物があります。



Shoahとは、カタストロフといった意味で、フランスではこの語でホロコーストを意味しています。この建物は、第二次大戦中に没収されたユダヤ人の財産を下に建設され、2005年1月から一般に公開されています。この団体の名誉会長は、アウシュビッツをかろうじて生き延び、戦後フランスで政治家となり、厚生大臣時代には妊娠中絶を合法化したシモーヌ・ヴェーイユ女史。その崇高な人格、強靭な精神力、確かな眼力は、今でも多くのフランス人から尊敬されています。

悲惨な記憶が風化しないように、多くの資料を蒐集し、整理、公開するとともに、ホロコースト関連のプロジェクトを支援しているそうです。展示されているのは、当時の悲惨さを今に伝える数多くの写真。

強制収容所へ送られた子どもたちの写真も多く展示されています。

その中の一人が着ていた服です。胸には例の星印が縫い付けられています。

そしてアウシュビッツの収容所で着せられていた服。

麻袋と同じような素材で、囚人服のような縞模様。それに帽子と穴の開いたボールとスプーン。こうしたワッペンや服は写真や映像でしか見たことがなかったのですが、こうして実物を目の当たりにしてしまうと、一気に時空を越えて切実な問題として目の前に迫ってきます。わずか60年ちょっと前には、こうした服を着て、飢えと寒さと病気に苦しみ、やがてガス室に送られた多くの人たちがいた・・・歴史として捉えがちですが、ほんの少し前に私たちと同じ人間がやったことです。人種、宗教などは別として、人間としてやってはいけないことなのではないか、と痛切に感じずにはおれません。

4月に行った際、特別展示では、ワルシャワのゲットーでの生活を紹介していました。

しっかりと分断されたゲットーでは、やはり飢え・寒さ・マラリヤなどの伝染病が蔓延していたとか。そこに暮らす孤児たちの姿が、胸に迫ってきます。

そうした犠牲者たちへの祈りなのでしょう、地下には礼拝堂が設置されています。


さらに、入り口には犠牲者の名前を刻んだ「名前の壁」が建っています。

半世紀ちょっと前にはこうした出来事が現実に起こっていたのだ、人間が行なったことなのだ、ということを実感することが出来ます。そして、平和の尊さに思いを馳せざるを得ません。平和がいつまでも続いてほしいものです。


Memorial de la Shoah
17, rue Geoffroy-l’Asnier (4)
土曜休館

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