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「晴行雨筆」の日々から生まれるもの

4.これまでの月との比較

2022-08-11 14:55:06 | 報告
4.これまでの月との比較
この調査は今年の5月から始めました。その比較をすると、今回昆虫数が飛び抜けて多くなったことがわかります(図9a)。


図9a. 昆虫合計数の月変化

 この「突然さ」は7月は調査を3日に行ったので、6月の調査との間隔が狭く、8月の調査との間隔が広かったことによるようです。実際には7月中旬で花が増えたので、そのころに調査をしていれば上昇カーブはもう少し段階的だったと思われます。その内訳を見るとハエ・アブの増加が著しいことがわかります(図9b)。チョウも増えていますが、数字そのものは0.3匹/10 mに過ぎません。要するにどの昆虫も増加したが、ハエ・アブが目立って多かったということです。


図9b. 昆虫数の月変化(1) 


図9c. 昆虫数の月変化(2) 

昆虫の内訳を見ても、相対値は甲虫が少なくなり、ハエアブが非常に多くなったことがわかります(図9d)。つまり7月上旬は昆虫は少なかったのに8月になるとアブ・ハエを主体として急に昆虫が増えたということです。ただし、花の観察によれば、その増加は7月中旬くらいから起きていたようです。


図9d. 昆虫の数の内訳の月変化

 いずれにしても、8月になると10 mに10匹以上、つまり1 m進むごとに1匹以上の訪花昆虫が記録されたことになります。シカの影響が強かった2013年8月12日にも麻布大学の学生であった加古菜甫子さんが同じ調査をしています。この時は1.3匹/10mでしたから実に9.5倍も増えたことになります。まさに「桁違い」に回復したことになります。このことにも感銘を受けますが、マルハナバチの結果から学んだのは。昆虫の微妙な違いが選ぶ花に違いを生み、それを支えるかのように多様な花が咲いていることで、共存が可能になっているらしいということです。


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