高槻成紀のホームページ

「晴行雨筆」の日々から生まれるもの

人間の偏見 動物の言い分 

2018-07-01 21:56:30 | 私の著書
2018.5.17

「人間の偏見 動物の言い分」という本がイースト・プレスから出版されました。



 私は長いあいだ動物の研究をしてきて、動物の立場から見たらこの世はずいぶん理不尽だと思うだろうなと想像することがよくありました。それが本書で言いたいことなのですが、その主張のために2つの工夫をしました。
 一つは 動物を類型したことです。「動物」というときに、ペットも家畜も野生動物も区別がされないために「動物のいのちを大切に」ときくと、多くはイヌ・ネコのイメージをして、食肉用のウシやブタのことは考えないし、野生動物の絶滅のことも考えません。そこで動物を類型しながら説明しました。
 もう一つは現代の都市生活と動物の関係を考えるために、大胆とは思いながら、狩猟採集時代、農業時代、都市生活時代という時代区分をし、それぞれの時代に人が動物にどう接してきたかを考えたということです。
 その作業をすることで、都市生活が下手をするとかなり深刻な問題を生む危険性があることにも言及しました。

イースト・プレスの関連のサイト こちら
読者からの感想 こちら

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動物を守りたい君へ 感想

2018-07-01 20:21:27 | 私の著作
本書への感想には今のところ批判的なものはなく、好意的に受け止められているようです。やさしいことばでわかりやすく書かれていると指摘した人が多かったのはうれしいことです。高槻

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みさどん 2018/11/18
動物を守ることは環境全てに目を向けること。分かりやすく、ほとんどの人が知らない事例もあって、感銘を受けた。高槻さん、とても文がお上手だ。こんな学者さんが国の政策を引っ張っていってほしい。大人に読んでほしい。

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ひろろ 2018/10/27
野生動物の研究者である著者が,やさしい言葉を選びながら中高生向けに書いた本です。著者が終始強調しているのは,「リンク」の重要性です。リンクとは,動物と動物による単なる「食物連鎖」にとどまらず,たとえば昆虫が花の受粉をお手伝いをするといったことなども含めた,自然環境全体の,壮大かつ繊細な関係性のことと理解しました。オオカミを「邪悪な存在」と捉えて絶滅に成功した結果,「邪悪じゃない」動植物までもが絶滅の危機に瀕した過去の失敗事例なども,分かりやすく説明されていました。自然を守ることの難しさを学べる良書です。

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温水プーギー 2018/09/02
★5。大学で生物学を学んでいたが、生態学の話題やペット家畜の現状については知らないことが多かったので、とても勉強になった。特に「人間目線で動物を可愛がることと動物目線に立って愛護することは違う」というメッセージが心に沁みた。中学生前後でこの本に出会えた、動物好きな子供は幸せだと思う。

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ma273c 2018/08/18
動物を守るためにはちゃんと動物のことを知らないとだめ、ってことを学ぶための本。ペットと野生動物で章が分かれてるので具体的なことを想像しつつ読みやすい。子供が中学生くらいになったら読ませたい一冊。ただ反原発の話はいらなかったかなぁ。

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あさぎこ 2018/08/08
ペット、家畜、野生動物について、それぞれの章で分かりやすいが無駄の無い丁度いい量の説明が為されている。「守る」と言っても、例えば家族の一員であるペットの病気を治すといったような目の前の生き物の命を守るというより、まずはペットというのはどういうものなのか、どういう関わりを持っているのか、という所まで遡る。著者は野生動物の専門家なので、ペットや家畜よりも野生動物ひいては生態系についての話が充実している。大人にも十分にタメになる本で、ぜひともオススメしたい。

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yuri 2018/07/02
老若男女にとてもわかりやすい 生き物を大切にするということを正しく理解できる本 読み終えたら少し世界が広く見えるかもしれない

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Masayuki Takahashi 2018/06/25
ネタバレツイッターでお勧めだとのツイートが流れてきたので、少しだけど自然保護活動などやってるので、それの勉強のために読んでみた。 この本はペットについてというよりは生物多様性について述べている。 意外で重要だと思ったのは、今は絶滅してしまったトキの例で、餌場の田んぼと近くに寝床の森というセットがないと生きられい、そのためただトキを保護してもだめだということ。同様のケースが多々あり生物を守るということは、守りたいものだけでなく、全体を考えなければいけないことが書かれている。大変ためになった。

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肝胆 2018/06/13
ペットから野生動物、昆虫、森までひとつらなりに論じられているのを読み進むうちに自分の視野が広がるのを感じます。文章はやさしく、生態系に目配りした動物論として一読をすすめます。アニマルラバーとはまったく違う次元の立ち位置にあって、一方でピーター・シンガー的な「動物の権利」論に対しては批判的です。人間と動物(自然)の関係について考えたい人にとっての真の意味での「入門書」。

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モルモル 2018/05/19
動物との関わり方を考えさせられる本でした。 なぜ人間のやることには歯止めがきかなくなってしまうんだろうと絶望的な気持ちになる一方で、この便利な生活も手放せない。

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hiyohiyomaru 2018/05/15
「野生動物を助けたい」という中学生の気持ちへの答えとして書き出されるこの本。動物を守ることとは具体的にどのようなことかを洗い出す過程で、食べること、動物植物、農業、人間の暮らしとの繋りのこと、人間同士の多様性、原発事故のことへと拡がる。ジュニア向けのやさしい文章がとてもわかりやすい。これは大人こそ読むべき。

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てんきゅ 2017/09/18
動物を守るには、自然のつながりの知識が必要。引力の法則で、海に流れ込む栄養を、鮭は身体に貯めて川に戻り、熊は鮭を食べて、糞で森に栄養をもどす。「鮭が減るから熊を殺してしまおう。」って無知な発想は怖いね。


「本来、生き物はつながって生きていて、人間もそのつながりの一部であったのに、いつのまにか自分たちだけの閉じた世界に生きているような錯覚を持つようになってしまいました。」木を見て森を見ない、合理的で不正義で横暴で暴力的な行為の結果、多くの動植物が絶滅した。「世界は人間だけのためにあるのではない」レイチェル・カーソンが『沈黙の春』で訴え、今を生きる私たちがようやく到達した自然観が、アイヌの人々にとっては当然のことだったとは。動物を守りたい気持ちは、自然や地球を守りたいと思う気持ちにつながる。
2016年 9月12日

春木
動物を守るということはどういうことか、分りやすく書かれていて良かった。全ての生き物は繋がっている。その事に改めて気付かされた。
2016年 6月19日

Moeko Matsuda
自分のことを、感情的過ぎるのかな、と思うことがある。人間の利害と関係なく生きている動物達のことを思う時だ。私は動物が好きだし、子どもの頃から身近に彼らが生活が普通だったが、今でも「動物を飼う」いう表現には違和感を覚える。血統書にしか興味を持たない人々や、ペットショップに行くことを楽しめる人間のことを、心底軽蔑してきた。この本を読んで、そんな自分の感情的な部分と向き合うことができたように思う。優しい気持ちだけでは何も出来ない。私もちゃんと考えるから君も考えて欲しい。そんな切なる祈りがこもった本。
2015年7月27日

八ヶ岳高原でニホンミツバチと暮らす四季

若い世代の良き話し相手として、このシリーズを注目してください。わたしたちもまた、きみたちの明日に刮目しています。 . . . ("岩波ジュニア新書の発足に際して"より)
35年前、中学生、高校生を主な読者対象として創刊された岩波ジュニア新書。一流の執筆者が、その時代のホットな問題を取り上げて、難しいテーマを平易な語り口で解説してくれる。"古い世代"もおおいに気に入って愛読しているシリーズ図書の一つだ。
その岩波ジュニア新書の最新刊が、10月18日に発刊された「動物を守りたい君へ」。
「本当に動物のためになることってなんだろう?」. . . 帯に書かれたやや挑発的なコピーが暗示しているように、"動物を守りたい"ので獣医を目指す中学生や高校生へのメッセージの形をとりながら、実は、短絡的な動物愛護精神や、近視眼的な環境保護の問題対処活動に対する大人への辛辣な批判とも受け止めた。
著者は麻布大学の高槻成紀教授。八ヶ岳自然クラブのフクロウグループが、巣箱から回収した巣材や遺留物を提供している先生で、研究室の学生を連れて八ヶ岳南麓へも何度か現地調査に見えている。
というわけで、「フクロウと森林伐採」の章では八ヶ岳南麓のフクロウについても数ページを割き、我々フクロウグループの活動にも触れていただいている。

とかちのいきもの。
2014-03-06(Thu)
「動物を守りたい」生き物が好きな人間なら誰もが1度は抱く気持ちだと思います。
しかし、動物を守るとは、具体的にはどういうことなのでしょう?気持ちを実現するにはどうすればいいのでしょう?

この本は、家畜やペットと人間との関わりから、野生動物と私たちの生活との関わりまで、幅広い話題をカバーしています。そしてこれらの話題を通して、「動物を守るとは何か」を考えるヒントを随所で与えてくれます。

中・高生向きに書かれた本で、とても読みやすい文章で綴られています。いくつもの実例や、時には詩を挙げて、いきもの同士の繋がりを教えてくれます。研究者ならではの視点から、分かりやすい話題を提供してくれるので、思わずハッとさせられました。

「動物を守りたい」という気持ちを持つ方なら、その気持ちの意味を確かめるために、この本を読まれてみてはいかがでしょうか。

空飛ぶ色いろnatsuno7
本日、Earth Day。ちょうどこの本を読み終えました。著者がいうところの生物のリンクの重要さ。「風が吹けば桶屋が儲かる」なんて言い方もあるけれど、仏教の輪廻転生なんて言葉も彷彿として、生物学の本だけれど、哲学的でもあります。難しいことばが使われていないので、ココロに「沁み」ます。
人が見ることは植物にとってはなんの意味もありません。
たしかに。花からすれば、「まあキレイ」と寄ってくるニンゲンより受粉の助けをしてくれる虫こそウェルカム。
体の大きさ、力、攻撃などを基準にすれば「強い」大型肉食獣は、生態学的に見れば実は一番ひ弱な動物なのです。
だからと言ってむやみに保護しても、かえってひどく「リンク」を壊すことにもなりかねません。モンゴルの草原に野生馬を復活させようとするとき他の動物のテリトリーを侵さないか調査研究がされたそうです。まさに「冒険者たち」な「研究者たち」ですが、現実は地味で単調で、根気のいる調査だったそうです。
もっとも記録されている絶滅というのは鳥や哺乳類が中心で、実際には昆虫や貝類などもたくさん絶滅しています。しかし、人はそういう動物にまで目が届かないために、気がついたらいなくなっていたとか、その存在さえ知られないままに絶滅したものもたくさんあります。
日常のささやかなことでも、環境破壊をしないこと、そういうことを意識的に考えてみようと思うのでした。


「動物を守ることの意味を考えてもらいたい」
投稿者 synodos 投稿日 2014/9/26
野生動物の研究をしている高槻成紀さん(麻布大学獣医学部教授)が、「困っている動物を守ってあげたい」と思う人に「動物を守ることの意味を考えてもらいたい」と思って書いた一冊。人間の愛情を押し付けないで、ペットと付き合うために考えなくちゃいけないこと。人間が生きるために飼育し食べる家畜のためにできること。そして絶滅しかけている、あるいは繁殖しすぎている野生動物と人間との間にある問題を解決するために持っていたい「リンク」という発想。人の歴史の中で、長く深い関係を築いてきた動物たちと、これからも一緒に地球で暮らして行くために思い出したい、つながりについて考えさせてくれる一冊。

kanai0010さんのレビュー 2014年6月15日
野性動物との関わり、ペットとの関わり、家畜との関わり、共生について、そして東日本大震災のこと…。今まで言葉では「動物全体」「地球環境」「持続可能な」といいながらも、ついつい木をみて森をみず、動物個々の事象(例えば絶滅危惧種だったり、ペットの殺処分やや家畜の問題だったり、それぞれその時々自分の興味あるトピックで)となりがちだった自分というものにということに改めて気づかされました。
ジュニア文庫だけあって分かりやすく、語りかけるような言葉ですーっと胸に響きました。
子どもにも、おとなにも、一読をお勧めしたい一冊です。

読書感想文にピッタリです。
投稿者 いちご 投稿日 2015/4/21
読みやすく、分りやすい良い本です。
中学生の読書感想文用に購入しましたが、書きやすかったようです。

読書感想文
投稿者 momiji 投稿日 2015/10/19
中学生の子供の読書感想文用です。とても良い本で、内容は偏っていないので、安心できました。オトナの私が読んでもとても面白く感じました。

みとくみさんのレビュー 2014年4月23日
これは珍しく?学生から教えてもらった本。とても勉強熱心な女子学生が高校生の頃、この本に出会うことで視野が広がり、自分の本当にやりたいことに気付くきっかけとなったという。本書の内容を聞いていると、視点を変えることで見えるものや世界は変わってきて、善悪というのは一義的に決めつけられないというような内容だと話していた(ちゃんと理解できていたらうれしい)。私も読むと学びが多そうなので、本棚に入れておく。

理科や社会の断片的な知識がつながる
tcryuさんのレビュー 2014年3月23日
 この本で、我が家では初めての試みとして、うちの小学生中学年の子供たちに中高生向けのジュニア新書を読み聞かせしてみました。そうしたところ結果的に我ながら素晴らしいと思える教育的効果があげられたので、今後もこのような本を探してぜひまた読み聞かせに使ってみたい、と思うまでの良書でした。
 本書の何がそんなに良かったかというと、まず話題が子供たちにとってわかりやすいところから始まっているということです。子供たちも「動物を大切にしたい」という気持ちは当然持っています。さらに植物の受粉や動物の生態の話などは、授業でも断片的に少しずつ習っていることなので、全然わからない話ではありません。それで本書の良いところは、それらの断片的な理科や社会の知識が、筆者の実体験や具体的な地名によって肉付けされ、深められ、つなげられていくことです。理科の別の単元で習ったことがつなげられたり、理科で習ったことと社会で習ったことがつながったり、本書を読むとまるで社会科見学に行ったかのような効果があります。動物を大切にするという身近でわかりやすい話が、東北大震災、福島やチェルノブイリの原子力発電所の事故や、高度経済成長期の環境破壊までいつのまにかひろがっていくので、無理なくそこまで興味を持続することができます。東北大震災に関連して「ナラの木」の詩も良かったです。その詩が本書に全編転載されていなかったのはやむを得ないことでしょうが残念だと思いましたが、すぐにウェブ検索して見つけることができました。地方版の訳も見つけられたし、盛岡版の朗読をyoutubeで見つけることもできました。動物からは脱線とはなりましたが、方言に触れる機会ともなりました。
 画像を検索して見せたりクイズを交えたりなんかして、「ちょっとコレ楽しくてためになる授業になっちゃってんじゃないの」と自己満足までしてしまいました。子供たちの感想も「動物や自然の間にリンクがあるというのがよくわかった。アイヌの人たちが昔から地球は人間だけのものでないことを知っていたというのに感心した」など読書感想文のお手本みたいな感想を述べていました。お勧めです。
いいね!

candraさんのレビュー 2015年2月3日
いわゆる果実にはベリーとナッツがある。キャンディーはベリーに似ている(赤くて丸い)、という指摘が面白かった。

こ げ つさんのレビュー 2014年1月9日
これは良著です,ペットも含め動物と向き合うとはどういうことかということを,岩波ジュニア新書ということもあり大変わかりやすく書かれている。
海の恵みを鮭が森に運ぶ,というのには大変驚いた。

空のように、海のように
http://papi4883.exblog.jp/20956510

易しい言葉で語るのは難しい。
子供の伸びしろは果てしない、大人が断定してしまってそこで切らない注意が必要だ。
だからと言って大人が教えていかなければならないものもある。易しい言葉で伝えることの難しさがそこにある。

「私の住んでいる地球は人間だけのものではない。」という考えがこの本を貫いている。
トキやコウノトリは当時でも大都市だった江戸の空を飛んでいた。
今は日本原産のそのトリは絶滅して同じDNAを持つ外国産のトリが手厚い保護を受けて、佐渡や兵庫で放鳥され初めている。
トキが絶滅したのはよく言われる化学肥料や害虫駆除剤、乱開発だけが原因ではない。
大正時代に農民達が猟銃をもつようになって食料としてきたことが一番大きな原因になっているという。

シカやクマやイノシシやサルの害が問題になっているがオオカミが絶滅した以外に多くの原因があり人災であることをこの本は伝える。

なぜ動物を守らなければいけないのか、生物多様性が持続可能な世界をつくるというのが一般的な解答だが、著者は易しい言葉でそれを語る。「地球は人間だけのものではない」というのがベストアンサーだ。

著者は原発について厳しく語る。原発被災は人間ばかりでなく多くの動物達をも巻き込んだ。放置され飢え死にしたペット、殺処分された家畜達。動物達の犠牲はあまりにも理不尽だ。植物を含めて生き物達もおそらく何十年も被爆の重荷を負う。

その教訓になぜ学ばないのか。政権は原発再稼働に動いている。「地球は自分たちだけのもの」という勝手な思い込みがそこにある。動物と共に生きることが人間らしく生きることではないだろうか。

戦争や環境破壊、飢餓や伝染病等人類は大きな課題を抱えている。
「動物を守ること」、それは大人たちが易しい言葉で子供達に教えなければならない一番大切なことではないか、著者の声が心に響く。

科学読物研究会
http://www.kagakuyomimono.com/hon/8sekitsui/mamoritaikimihe/mamoritaikimihe.html

著者は動物生態学の研究者です。動物が好きで、けがをしていたり困っている動物を助けたいと考える子どもたちは多いでしょう。動物を守るということはどういうことかを、「ペット」「家畜」「野生動物」の3つに分けて具体的にわかりやすく書かれています。
ペットのいる生活の魅力はもちろんですが、ペット産業の隆盛の裏で売れ残った子犬が殺処分されたり 飼い主に捨てられて毎年20万匹以上のイヌやネコが安楽死させられていることもあえて書かれています。アライグマのような外来種のペットが逃げ出したり、捨てられて野生化して、在来種の動植物を食い荒らす問題も指摘されています。
 家畜は人間が生きるために飼育して食べる動物ですが、暗くて狭い部屋に閉じ込められ病気にならないよう薬を打たれて、時期がくれば処理される一生を送る動物に生命倫理という点で疑問だといっています。私たち消費者は 家畜の命をいただいているわけで、その動物が生き物として生きている間できるだけ健康でいられるように、と意識することはとても大切なことだと思います。
 野生動物を研究している著者は、動物の持つ特徴だけでなく、生き物のつながりや環境との関係を知ることが大切だと例をあげて紹介しています。人間と森とフクロウと森のネズミ、草原のネズミの複雑な関係や、モンゴルの絶滅種タヒ(野生馬)の復活が詳しい調査研究のもとに書かれています。アメリカのイエローストーン国立公園では、オオカミは1932年撲滅されましたが、オオカミに食べられていたシカが増えすぎて食害が増え、若い木や草がなくなり土砂崩れや洪水が起き、川も変化してビーバーが消えたそうです。そこでまたオオカミを放したらビーバーも戻ったそうです。このことからも生き物は様々なことでつながっているのがわかります。もちろん人間もそのつながりの一部です。世界は人間のためだけではないということ、地球上のいろんなつながりの中で人間も動植物も生きているのだから、動物を守るということは地球を守ることだという著者に私は心から共感しました。原発事故の半径20キロ以内の野生動物や家畜やペットのことも書かれています。この著者の『野生動物と共存できるか 保全生態学入門』(2006年岩波ジュニア新書)も合わせて読むと、いっそう野生動物のことがわかるでしょう。                 

Moeko Matsuda
自分のことを、感情的過ぎるのかな、と思うことがある。人間の利害と関係なく生きている動物達のことを思う時だ。私は動物が好きだし、子どもの頃から身近に彼らが生活が普通だったが、今でも「動物を飼う」いう表現には違和感を覚える。血統書にしか興味を持たない人々や、ペットショップに行くことを楽しめる人間のことを、心底軽蔑してきた。この本を読んで、そんな自分の感情的な部分と向き合うことができたように思う。優しい気持ちだけでは何も出来ない。私もちゃんと考えるから君も考えて欲しい。そんな切なる祈りがこもった本。

pugyu
怪我をした野生動物を治療することは動物を守ることになるのか。そんな切り口から、動物と環境の関係について分かりやすく説明してくれます。マルハナバチとサクラソウの関係は、絶妙なバランスで生き物が暮らしていることがよくわかりました。気温だけでなく雪の深さも重要なのだと。人間は閉じられた空間で生きているわけではない、自然を管理できるわけではない、ましてや自然は人間のためにあるわけではない。アイヌの教えをちゃんと知りたくなった。

れいか
比較的面白かった♪「つながり」の大切さを改めて感じる。様々な事情を知れた。シデムシとかの実験楽しそう。花の綺麗さはもともと人間のためじゃなく、残すため。大切な源を確認させてくれる

摩天楼
リンクの大切さをとても強調されているが、このことについて、動物保護にある程度関心があっても知らない人は少なくないだろう。この著者のように、広い視野を持ち、柔軟な思考のできる人が増えることが、動物保護には不可欠であろう。

かける
この本にはペット、家畜、野生動物と人間の付き合いかたについて考えてさせられるような内容がかかれている。特に野生動物はリンクを考えていかなければいけないのだと思った。

白花豆
ハチ公は忠誠心から渋谷駅に通ったのではなく、日課から軌道修正できなかっただけなど、実も蓋もない真実を暴くが、人間の感情や都合に合わせてペットや家畜、野生動物を扱うことに注意を促し、本当に動物や環境を守るための提言をする。糞虫の課題に取り組んだ学生に「池田さんも森の話を聞く耳を持てたのだな」と調査対象だけではなく、環境、存在、他の昆虫や植物とのリンクまで含めた研究をこのように表現する。好感のもてる先生。また大震災と原発事故後のペットや家畜、野生動物たちにも言及。人間の愚かしさを再認識した。
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野生動物と共存できるか

2018-07-01 08:56:04 | 私の著書
『野生動物と共存できるか』2006、岩波ジュニア新書



若い世代に書いた本で、たくさんの生態学的な事象を紹介しながら、個々の動物をみるだけでなく、環境や生き物のつながりを守ることのたいせつさを書きました。思いがけないことに、その年の「もっとも入試によく出題された本」に(養老孟司を抜いて!)選ばれました。そして、光栄なことに中学2年の国語の教科書2つに採用されました。

感想



2018年になって、8刷になりました。本が売れない時代に増刷をつづけているのはありがたいことです。

以下、読後感想
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のろのろまちこ 2018/09/26
そんなこともこんなこともあるのだと驚くことばかり。単純な対策では保全はできないとわかる本。学者、行政、生活者と一体化しないと守れないとすると、それらをつなぐために教育は必須だと思う。広く読まれてほしい。

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yamakujira 2017/07/18
中高生向けのレーベルだから読みやすいし、保全生態学の入門書として大人にも読んでほしいね。野生動物の保護すなわち棲息環境の保全については、価値観をどれだけ共有できるかが課題だろう。とにかく殺したらかわいそうと言う都市住民と、どんどん駆除しろと訴える農山村民、それぞれに殺すことと殺さないことの必要性を啓蒙しなければならないね。でも、ラッコの事例のように損得で納得できなければ共感しない人も多いんだろうなぁ。保護保全がどれだけ地域に利益をもたらすか、可視化や数値化できるといいのに。

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くろじら 2017/06/13
岩波ジュニア新書なので若い子に語りかけるように書かれているためとても読みやすい。生物多様性保全の中でも、人との軋轢の生じやすい里山の哺乳類(モンゴルのモウコガゼルにしてもスリランカのゾウにしても、それぞれの国の里地の動物だと言えるし)との関係性を考える上では、まさに入門書としてうってつけだと思う。ただし、最後の野生動物の価値についての著者の意見は、やはり甘いと思うな… 社会は損得以外では動きませんよ、残念ながら。特に爬虫両生類、魚類、無脊椎動物などを含めた多様性を守りたければね。

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ジュリ 2016/08/15
人間がヤギを島に持ち込み大繁殖し、その影響で島の植物が減ってしまった。これは人間の責任だから、責任をとって駆除する。これっておかしいと思う。責任をとる必要はあるかもしれないけれど、人間の都合で殺すのはかってすぎる。殺すのではなく、他の方法を考えてほしかった。著者は自分のやっていることを正当化するために言い訳をしているように思った。

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尾張こまき 2013/11/16
わかったようでわからなかった保全生態学について中高生向けにわかりやすく解説された本。この本を手にした「動物が好き」っていう子の考える「動物」ってなんだろう。フラッグシップ種、バンビちゃん症候群、考えるヒントに出会う若者たちが一人でも多く育ってくれますように。保全研究活動の現場の話が素晴らしくて、紹介される本を全部読みたくなります。ミソサザイのアイヌ神話は多くの示唆に富んでいます。けど、ヒグマやツキノワグマがいなくても別に困らない(いわんやアユモドキをや)って人が日本の大多数だろうなぁ。

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つん 2013/06/13
たまには難しそうで専門的なものを読みたい、と思い図書館で手に取りました。 保全生態学・・・初めて聞いた。(゜o゜) 全然わからなかったら困るなぁ、と思いながら読み始めましたが、とても分かりやすく書かれており、面白かったです。 アホウドリについては、NHKのテレビでも観ました。テレビでは分からなかった大変なことがたくさんあったんですね。 これを読んで、自然界のバランスはとても微妙で、しかもいろいろなつながりを持っていて複雑なんだということが分かりました。

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たこやきまんとまん 2013/04/20
先生に薦められて読みました。自分が野生動物対していかに無知だったかを思いしらされました。でもこれから何を見、何を考え動けばいいのか考える機会を得られました。野生動物保護とかに興味がある人には目を通して欲しいです。初めての人でも取っつき安いかと。先生の体験談から動物番組の見方など様々な視点からの書き方がされてます。

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銀雪 2009/07/27
大学のレポートのために読んだ。野生動物との共存そのもの以外のことでも考えさせられることが多く、ホロリとさせられた。

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ぴょこたん 2006/09/02
ネタバレ動物について考えるとき、ペットや家畜と野生動物は別なんだという事を認識させられた。 野生動物を生かすためには、増えすぎた動物を殺すことも必要だとか、人間の立場も考えてだとか非常に現実的な事を言っているのに好感が持てる。 もうちっと文章が上手ければ…。 オオカミが西洋では悪魔の動物であるのに対し、日本では神として祀られていたのに、日本オオカミが絶滅に追いやられた、つまり日本でも悪魔の動物になってしまったという悲しい理由には合点がいく。感心させられた。

++++++++++++++++++++++++++++++++++
kid
環境保全の意味とその大切さについて、とてもわかりやすく書かれている。真の豊さとは、人間社会に必要のないまたは害である生き物も大切にすることではないか。100年先を考えて過ちを正す勇気を持たなければいけない。それが巡り巡って人への恵みとなるのではないか。これは確実に、私達一人一人身近な問題のはずだ。


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北に生きるシカたち

2018-07-01 08:54:18 | 私の著書
『北に生きるシカたち』(復刻版)2013、丸善出版

この本は1992年の私の処女作の復刻版です。初版はすぐに売れたのですが、出版のどうぶつ者は増刷してくれませんでした。当時は今のようにシカ問題が深刻だと思われていませんでした。「あの本が欲しい」という声をよく聴きましたが、私の手元にも余分がなくなってしまい、申し訳なく思っていたので、復刻されうれしかったです。この本は調査で明らかにしたことだけでなく、調査の過程で何を考えたかや、野外調査の息遣いが伝わるように書きました。
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動物を守りたい君へ

2018-07-01 08:52:35 | 私の著書
『動物を守りたい君へ』2013, 岩波ジュニア新書

世に動物好きはたくさんいます。子供はだいたい動物が好きで、中学生くらいになると、「守ってあげたい」と思うようになる子もいます。それは交通事故にあった犬だったりします。そのことと、たとえばホッキョクグマを守ることとはどう違うのか。あるいはタヌキならどうか。そういうことを考えてもらおうと書きました。『野生動物と共存できるか』の姉妹編的なところがありますが、野生動物に限らず、ペットや家畜の命についても書きました。

この本はおかげさまで好評で、増刷を続けています。そしてありがたいことにその韓国語訳が出て、韓国で出版されました。なんだか不思議な気持ちです。ハングルが1文字も読めないので、自分には読めません。私たちはたくさんの欧米の翻訳本を読みますが、よく著者の日本語版への「まえがき」などが書いてあります。私たちはなんとなく著者も日本語の本を見て「まえがき」などを書くように思っていますが、全く読めないわけで、今の私と同じような気持ちなのだろうと思います。それで、韓国の若い人に向けて改めて一文を書けばよかったなと思ったりしています。書くとすれば、人の持つ限界、しかし私たちは海峡を挟んで長い歴史を共有し、これからもそうであること、そこに生きる動植物はただひたすら懸命に生きているのだ、ということです。今、政治的に難しいことがあるから、よけいにそう思います。


韓国語訳の表紙 

感想
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捕食者なき世界

2018-07-01 08:50:45 | 私の著書
「捕食者なき世界」ウィリアム・ソウルゼンバーグ著、野中香方子訳、高槻成紀解説
2010年に単行本として出たものがわりあいによく読まれたらしく、文庫本化されました。こういう本が一般の読者に受け入れられるというのは意外感があります。内容はけっこう難解で、私などからするともっとすっきりと書いたほうがよいのにと思うところがたくさんあります。しかしサイエンスライターの取材力はすごいもので、アルド・レオポルドの位置づけなどはとても興味深いものです。


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ホネホネ博物館(このは特集)

2018-07-01 08:48:37 | 私の著書
ホネホネ博物館(このは特集)2014、文一出版

表紙のサキ(サルの1種)を含め、麻布大学の標本がたくさん採用されました。

「このは」8号、骨特集

 文一総合出版という出版社があり、生物系の本を出しています。同好の人であれば「ハンドブック」シリーズの出版社といえばおわかりかと思います。そこが「このは」という雑誌を出しています。なかなか内容のある雑誌で気に入っています。
 この「このは」が骨の特集号を出すことになり、相談をもちかけられました。麻布大学には動物の骨の標本はたくさんあるので、撮影協力をし、解説文を書きました。カメラマンと編集者が来て、多少の荷物をもっていましたが、二人で運べる程度のものでした。標本室で撮影をはじめましたが、三脚にカメラをつけたのはいいんですが、白い骨だから黒いバックがよいと思いました。壁は灰色で、よくないので、暗幕をもってきていると思ったのですが、出て来たのは幅1mあまり、長さ2mくらいの黒布です。ネコの標本ならまにあいそうですが、ウシやウマもあるのでどうするのかと思っていたら、頭の部分の背後の布をおいてそこを写し、それから肩、腹、尻と動かして行きます。あとでゲラが送ってきたのをみたら、見事に合成されて真っ黒なバックに馬の骨がありました。
 その「このは」ができて送ってきましたが、なかなかの出来でした。骨についてさまざまな記事があり、これまでにない本になったと思います。骨のことを知らない人、1200円です。内容は3000円くらいはあるので、ぜひ進化の産物としての骨の魅力を味わってみてください。


 
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唱歌「ふるさと」の生態学

2018-07-01 08:45:58 | 私の著書
『唱歌「ふるさと」の生態学』2014、山と渓谷社


読後感想
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in medio tutissimus ibis. 2018/04/12
頗る面白い本である。抑も兎はなぜいたのか。それはそもそも戦中の過剰伐採により禿山が広がっていた状況による。丁度唱歌「故郷」の生まれた、日露戦争後も似た様であろう。恰も昔々からの風景と思われた兎の存在は、その実時代の産物であったのだ。都市化した今の日本には里山の必要が乏しく、兎の棲み処もない。それに伴う問題を解決するヒントを過去に求めるのは結構だが、解決策は飽く迄も今日の知恵であるべき。他所から思想を仕入れればそれで足れりとするのは、批判する所の安易な近代化と同様。これ喜劇也。面白く、以て青山の石とすべし。

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ヨハネス・フェーリクス 2017/11/23
ウサギがいなくなったのは人間が自然を破壊したからでしょうか? 本書では唱歌「ふるさと」の歌詞を1フレーズずつ取り出し、それに沿って日本の自然環境の変化とその背景を記述していく、という面白いスタイルが取られています。筆者自身は「あの時代はよかったと懐古的に言うつもりはない」とおっしゃってるもののやや懐古的な印象を受けますが、冒頭に書いたような「一般常識」への疑問の提示とデータや文献に基づく環境変化についての考察は興味深いものでした。

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リュウジ 2017/10/05
この歌が生まれた頃、この歌詞が当たり前の光景で誰もが共感する人生観だった。それが今どう変わったのか。なぜ変わったのか。「兎追いし(里山の状況)」「小鮒釣りし(川の状況)」「山は青き(林業の状況)」と歌詞を読み解きながら、自然、社会、経済環境、家族制度、幸福の価値など歴史的な変化と衰退を明らかにしていく。特に農村の変化と今のあり様は心の一部が痛くなった。豊かになるとはどういうことか。自然と生きるとはどういうことか。本の内容を丸のみするつもりはないが、考えるための引出しがいくつもできた。

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MOKIZAN 2016/09/15
前に読んだ著者本のあとがきが気に入ったので、他著も読んでみる。ちと、一般受けし辛いかな。私らの世代なら皆、「ふるさと」の歌詞イメージは己なりに持てるでしょうが、現代(いま)や川はいたる箇所で構造物が囲う水路の体となり、山は碧いけど常緑樹の人工林、景観の変容は痛々しく思う程である。だけど、世間様を見渡せば、それらに負けることなく人々の気質も変容したね。「♪いつの日にか帰らん...」この想いを前向きに抱き続けて、郷を離れている方々はどれ程おいでなのだろうか「お盆には」「リタイヤ後には」ばかりでは淋しいわな。

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イグアナの会 事務局長 2015/10/12
「うさぎ追ひしかの山。こぶな釣りしかの川。」里山から茅場がなくなり、そこに棲む野生動物が減る。化学肥料により家畜はいなくなった。人の減少、森林伐採で里山にはいなかったサルとシカが増えた。コンクリートの川になり、農薬が川に流れ、メダカが絶滅。化学肥料でミミズが棲めない枯れた畑。守り繋げていく家が無くなり、家の恥が問われなくなる。里山は、昔から変わらない風景、、、、ではない事がわかります。昔から、人は自然の風景を変え続けてきたようです。自然環境破壊への反対運動も、所詮、人間のえごなのかも、、、

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のぶ 2015/09/02
英語の諺で言えばアウトオブサイト、アウトオブマインド。ビフォアとアフターの図を横に並べて「何がなくなったでしょうか」という問題でも結構難しいのに、私達にはそのビフォアの図が手元にありません。この50年ぐらいの間に日本の国土や社会から人知れず姿を消してしまったもの、それをウサギやコブナという生物の種の話に限定せずに、人間の暮らしや社会のありようから再考するための、鍵となる情報がこの唱歌の歌詞(1~3番)に一通り収められている、という主旨です。喪失感をたっぷり味あわせてくれる哀しい本ですが、でも読んでよかった。

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えくりぷす 2015/05/23
本書が昔を懐かしむという主旨でないことは重々承知していますが、いなか育ちのアラ還世代の私には昔の記憶が蘇りました。川でハヤを手掴みした時の感触、カブトムシをとるために木を蹴りまくったこと等々。ただ、確かに当時でも野ウサギを見たことはなかった。以前、NHKの「ダーウィンが来た!」でウサギ(アナウサギ)が跳ねまわる英国の野原を紹介していましたが、日本にそのような光景が戻ることはあり得ないのでしょうか。

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たけちゃん〜自然体験エンタティナー〜
P204-206 (要約)日本の自然は豊かで美しいが、同時にまことに恐ろしい。日本列島が火山帯のただなかにあり、山は火山で、国中に温泉があらは、地震は日常茶飯事、夏の豪雨山は台風は洪水をもたらす。農業は自然との戦いでもあった。私たちの祖先はそれを知り尽くし、自然に立ち向かうのではなく、自分を自然の中の小さな存在と感じ、かわしてきた。自然に寄りそい、生き物を敬愛し、物やエネルギーを大切にしてきた。我々祖先の素晴らしい生きる知の深さにそろそろ氣付きたい。

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シカの脅威と森の未来―シカ柵による植生保全の有効性と限界

2018-07-01 08:44:19 | 私の著書
『シカの脅威と森の未来―シカ柵による植生保全の有効性と限界』前迫ゆり・高槻成紀(編) 2015、文一出版

専門書です。充実した執筆陣による力作になりました。

感想
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たくさんのふしぎ 食べられて生きる草の話

2018-07-01 08:39:23 | 私の著書

たくさんのふしぎ 食べられて生きる草の話』2015、福音館

「子供に動植物のすばらしさを伝えたい」という長年の思いの具体的な作品ができたと思っています。画家さんが実際に金華山まで行って取材をしてくれて感激しました。「子供だまし」という言葉は大嫌いです。子供のほうが透明な眼差しをもっているし、おもしろくなければ読んでくれないに違いない、子供だからこそ真剣に書かなければいけないと自分に言い聞かせながら書きました。

href="http://blog.goo.ne.jp/takahome12/e/2ace6b9e19907f13657c3d41d1e37182">感想
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となりの野生動物

2018-07-01 08:36:53 | 私の著書
となりの野生動物』2015、ベレ出版

この本では少し挑戦的なことをしました。野生動物の解説を書いてほしいという申し出があったのですが、ただそれだけでは物足りないと思ったので、動物に対して我々がどういうイメージをもっているか、それはどこから来るのか、それが実像を見る目を曇らせてはいないかということを書きました。そして最後で動物たちの言い分を語らせることにしました。

朝日新聞 2015年12月28日 夕刊


感想
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シカ問題を考える

2018-07-01 06:06:03 | 私の著書
シカ問題を考える』2015, ヤマケイ新書, 山と渓谷社


 最近、シカが増えており、野生動物管理あるいは自然の保全シーンでも重大な問題になっています。本書ではシカが増えると何が起きるのか、その何が問題なのか、そもそもシカはなぜ増えたのかといった問題を広い読者層に知ってもらうために書きました。そのために動物学的、植物学的、生態学的に重要な項目をできるだけ具体的に解説しました。シカの増加の背景には温暖化、森林伐採、オオカミの絶滅、ハンターの減少などさまざまな要因が考えられていますが、そのどれもシカの増加とはタイムラグがあり、うまく説明できません。こういう解析を通して、私は農山村の人口減少による土地管理など農業形態の変容がキーポイントになることに気づきました。そしてシカ問題の解決はこのことの解決なしにはありえないことを指摘しました。

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タヌキ学入門-かちかち山から3.11まで

2018-07-01 05:57:02 | 私の著書
タヌキ学入門-かちかち山から3.11まで』2016, 誠文堂新光社


 タヌキのポンタといえば愛らしいキャラクターですが、「かちかち山」に出てくるタヌキはおばあさんを騙した上に鍋にしておじいさんに食べさせるというひどいことをする動物と描かれています。この違いは何を意味しているのでしょうか。いずれにしてもタヌキはわれわれになじみの深い動物で、里山だけでなく大都会にでも生きています。私たちはタヌキの食性や種子散布について調べ、タヌキのおもしろさに気づきました。玉川上水という都市緑地での群落利用や東京近郊での交通事故の実態も調べましたし、東日本大震災で津波で全滅したはずの仙台の海岸に2年後にはもどってきたことの意味も考えました。こうした体験を通じて、タヌキと私たちがこれからどういう関係を築いていけばよいのかを考えてみました。この本を読むと分類学、形態学、生態学、動物と植物の関係、保全生態学などが学べるように工夫しました。

以下もくじです。
序章
1章 タヌキの基礎知識
2章 タヌキのイメージを考える
3章 タヌキの生態学
4章 東日本大震災とタヌキ
5章 タヌキと私たち
タヌキのQ & A

以下は本文の最後の部分です。

タヌキに関する情報をまとめてみて、タヌキという動物の存在は、我々日本人にとってなかなか大きいものだということことが改めて確認できた。同時にタヌキが時代、時代で違う動物になってきたこともわかった。もちろん動物学的な意味でのタヌキは不変であり、変わったのは我々のほうだ。憎き害獣とみた時代もあれば、人を化かすあやしい動物をみた時代もあり、平和な現代はかわいい動物とみるようになった。その意味で動物に抱くイメージそのものが、人間社会を投影しているといえる。
 タヌキの持ついくつかの性質があるから、現代の都市でも生息が可能になっている。トキやコウノトリの復活に一喜一憂し、ゴリラやホッキョクグマなどの絶滅を心配する私たちは、一方でタヌキを珍しくもないありふれた動物だとみなし、その将来のことを思うこともない。だが、私はそういう姿勢が、あれだけいたメダカを絶滅危惧種に追いやり、気づいたら雑木林がなくしてきたのだと思う。
 本書でながめてきたように、タヌキは実におもしろく、またすぐれた動物でもある。私は植物にしても動物にしても、貴重だから守るのではなく、ありふれたもの、身近なものの存在意義を考えて大切にするということのほうがよほど大切だと思う。それは災害があって初めて平凡な日常のありがたみがわかることと似ている。今ありふれていると思われているタヌキも決して安泰ということではない。その未来は我々がいかなる社会を作ろうとしているかにかかっている。私がこの本を書きながら到達した思いは、私たちはタヌキの生活を思いやる程度にはゆとりを持ちたいということであった。

感想

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けん 2018/08/22
個人的に狸ブームが来てるので、勉強のつもりで買った。うーん、読みやすかったけど、ちょっと物足りない感も。だって、「狸の神社なんて聞いたことない」とか「ぽんぽこは見てない」なんて言われたら、おいおいおいおい!と思うしかないじゃない?だったら、せめて著者の専門である生態学的な部分をもう少し充実させてほしかったかなあ。

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紺 2018/07/06
Q&Aページの「タヌキに出会ったらどうすればいいですか?」に対するキレ気味の回答がなんだか良かった。

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ラルル 2018/05/26
里の獣と書いて狸。まさにその通りに我が家ではお馴染みの野生動物です。本書での調査地が日の出町や玉川上水といったとても身近な所であった為、更に興味深く読めました。年間を通した狸のロードキル(自動車事故)の数に仰天しました。そうか羽村にはテンも居るのか〜。我が家にもいつか来るかな(´`)

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ちょろ 2018/05/25
たぬきの生態についての本かと思いきや、たぬきをとりまく環境(ゴミ埋め立て地や3.11についての話など)がメインの本。 専門家は専門書を読むだろうし、素人には面白みが弱いしでどの層を狙った本なのか不明。 何枚か載っているたぬきの写真はかわいい。

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うーちゃん 2018/03/17
多摩動物公園で1月半ば、タヌの講演会があった。その時の講師が、この本の筆者、高槻先生。面白かったので、より知識を深めたいと読んでみた。タヌキは都心でも津波被災地でも生き抜いていることが証拠に基づいて説明されている。その証拠というのが糞だ。糞を採取して水で洗い、内容物を分析していくという地道な研究の結果、実にいろんなモノを食べることが判明していく。好き嫌いなく食べることは、どこでも生きていける秘訣なんだなあと、改めてタヌキのしぶとさに感心した。なお、多摩動物公園には「たぬき山」がある。こちらも必見。

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dani 2018/02/20
タヌキの学名は「ニクテレウテス・プロキオノイデス」で「アライグマに似た夜にものを探す動物」という意味。漢字だと「狸」が示す通り里の獣で、今では東京都内にも生息している身近な野性動物。食肉目イヌ科タヌキ属。生態学から文化的なところまで、読みやすく面白い本でした。『タヌキに出会ったらどうすればいいですか?』というQに対するちょっとキレ気味なAとそれをなごませるかのような挿絵がツボ。

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ぜんまい 2018/02/15
思ったより浅め広めの薄口だった。キツネとタヌキの体系比較とかまじめに描かれたイラストがかわいくて笑える。アメリカで狼を導入するにあたってイメージ改善を行い、市民の賛意をえたくだり。イメージが現実の施策行動に影響するというのはつつけばもっと面白くなるネタだと思う。糞から種数えるの紙漉きみたいね? ため糞つぶして防波堤作るところとか、原種が根付いた工場跡地つぶして自然公園作る話に似てる。

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mitakau_r
メモ。◆「高速道路の野生動物の交通事故死亡ではタヌキが一番多く、40%にもなるという」◆「タヌキの事故死亡数は高速道路だけで年間1万頭になり、一般道を含めれば11万頭から34万頭にもなると推計されている(佐伯、2008)」◆「東京都町田市と隣接する神奈川県相模原市では毎年300頭もの動物が犠牲になり、そのうち47%がタヌキ、39%がハクビシン」
ナイス★1
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2018/02/03

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なし 2018/01/21
タヌキはイヌ科。イヌ科は走りやすいように四肢が長いものが多いが、タヌキは短足(ついでに小型)。その点はネコに近い。学名はニクテレウテス・プロキオノイデス。意味としては「アライグマに似た夜にものを探す動物」となる。タヌキの自然分布は東アジアだけであり、世界的にみれば珍しい動物。日本のタヌキは植物食中心であるが、状況によってなんでも食べる。環境への順応性も高い。その証拠に、毛皮目的でヨーロッパに移入されたタヌキは、日本のタヌキに比べると肉食性が強い。寿命は6~8年。飼育下では14年という記録も。

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myc0 2018/01/13
私はいつも、気になった本を大して見もせずに借りたり買ったりする。今回は、「戌年だから犬本を!」と思って借りたのに、家に帰って見たらタヌキ本でびっくり!タヌキというキャラクターイメージの変遷は、人間とタヌキの関係の変化に由来していると知り面白かった。野生キツネは東京23区にはもういないそうだが、タヌキは20区で今も確認されていている。「ケモノ偏に里」と書いて狸と読む様に、里=人のいる場所でこそタヌキは生きる。しかし車に轢かれて死ぬタヌキが年間1万匹以上もいるというのはなんだか遣る瀬無い気持ちになるなぁ。

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ユカ 2017/08/31
狸、ラブリー。会わないけどすぐそばにいるなんて。彼らの動物学と生態学がよくわかる本でした。そういえば昨夜、TVで猫のマダニ寄生例の増加・猫からヒトへのSFTS感染について、危惧を抱かせる報道がされていました。まるでマダニや野生動物が人間の暮らす地域に侵入してきたかのように語られていたけれど、もともとここにいたのはマダニや野生動物で、むしろ人間が侵入して追いやったのだと思う…。人間が快適な生活を望むのも、大きな視点で見れば自然の摂理ではあるけれど、私たちは過剰なところがあれば抑制できる能力ももっている。

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ユカ 09/01 14:04
はい~。マダニも野生動物も,悪者のように言われているけれど。私たちももう少し謙虚になってもよいと思うのです☆

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ヘビメタおやじ 2017/08/23
タヌキがまだまだ都市にいることに、なんだかホッとします。しかし、確かに野生動物であることは間違いないということも実感できました。筆者のいうように、この野生動物に対してどういう態度を取るかで、日本社会の進む道も決まってくる気がします。

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ぐだぐだ 2017/08/14
ニクテレウテス・プロキオノイデス…。タヌキなどと呼ばれていなかったらこの動物に対する、間抜け等のイメージはつかなかったんじゃない?個人的には名前がタヌキでよかったけれど。

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mick 2017/07/19
タヌキのイラストがなんともかわいい。子供の頃友人の家で飼われていたタヌキは臭いがきつかった覚えがある。今なら違う見方ができるのに。

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佐助(ふー) 2017/06/07
ネタバレタヌキ可愛いなぁ。うしろを振り返る姿なんて、ひーかわいいっ お父さんにタヌ吉と呼ばれるので、こうなったらタヌキの知識をひけらかそうという目論みで読み始めたが、タ‥タヌキなかなかイカすじゃないの! 四肢は短い。秋になるとよく太り、お腹が地面につきそうになるほど。‥なんて最初に説明されて苦笑 本物のタヌキはこうでなくっちゃ 愛らしくてね◎

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鯖 2017/06/02
日本ではありふれているけれど、世界的には珍獣とみなされるタヌキ。2014年にもいしかわ動物園にこびとカバが来るかわりに、交換に所望されたのはタヌキだった。東日本大震災によって住み処を追われ、二年後海岸添いに戻り、住み処をようやく作ったところで人々が作った防潮林によって、二度追われることになったエピソードには切なくなった。自然災害は宿命であり、自然に立ち向かうのではなく、自然を正しく知り、人の力には限界があることを認めた上で被害を最小限にすべきだと論じる筆者。私もそう思うけれど、線引きはやっぱり難しい。

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チヨコン 2017/04/05
生態学から見るタヌキだけでなく文化的な側面からもタヌキを読み解いてるのが面白い試みの本だなあと思った。タヌキとキツネ、どちらも同じイヌ科の動物なのに日本人の持つイメージは全然違う。タヌキを祀る神社は見当たらないがキツネは色んなところで祀られてる。東京都内にも生息し都市部でも生き抜くタヌキたち。どう共存し生きてくのかは私たちの未来にも大きく関わってく大切なことでもある。上手に生きてく方法が見つかればいいな。

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in medio tutissimus ibis. 2017/03/29
タヌキとムジナがごっちゃになっていた(る)という話があったけれども、そもそも「狸」という字は中国では「ヤマネコ」あるいは人里近くに生息する中型哺乳類一般を指す語なので、明確にタヌキが意識されたのがいつどこでなのかというのがまずありますね。翻訳って難しい。ただまあ、中国では化ける動物といえば古今通して圧倒的にキツネなそうで、伝奇小説の類への登場率もダントツ。次いで蛇とか猴とか鼠とか……タヌキは影が薄いみたいです。等ということを思い出しつつ調べつつ書いてたらタヌキの歌の元ネタの元ネタが讃美歌という衝撃の事実が

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八鬼 2017/01/04
以前、街中で狸学云々との会議開催の看板を見たことがあり、図書館で思わず手に取った。入門の名に恥じず親しみやすい昔話の解釈からQ&Aなどすんなり読める。狸のふんからの食生活の季節変化などは学問の本筋なのだろうが読み飛ばす。あー面白かった。

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タヌキチ 2016/12/05
狸のイメージはどこから来たのかを出発点に小学生でも楽しめる内容。狸の糞の調査について同じ所に糞をするので調査が容易であること。糞の組成から近隣の植生がわかること。種子散布の役割を担っているのでさらに大きな自然の循環を知る資料になるということから魅力的なテーマであることはわかった。狸は里山で暮らす生き物である。人間と共に暮らすことである程度の変化には適応出来る種なのだと思うが、それが姿を消したのならばそれはもう他の野生動物よりも自然環境にとっては深刻で手遅れだである指標になると感じた。

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綾 2016/11/25
図書館で目にして気になっていた『タヌキ学入門』。天皇陛下が皇居に生息するタヌキの食性について執筆された論文(共著)が、国立科学博物館研究報告に掲載されたとニュースで知り縁を感じた(どんな?)。昭和天皇の雑草への想いといい、相通じるものがある(おこがましい)。「タヌキは人がまったくいない自然ではなく、人が暮らす里山のような環境で、人といっしょに生き延びてきた野生動物」コンクリートで固めただけの都市に負けないでほしい。『平成狸合戦ぽんぽこ』が現実になる日も、いや、もうその日が来ているのかも。

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mouchan 2016/10/18
高速道路だけで年に1万頭(一般道路も含めると11~34万頭と推定)ものタヌキが交通事故死してるなんて・・

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Doughnut 2016/10/04
なぜたぬきは化かすのかァ~文章がたぬき化してゆくゥ~ポンポコポ~ン

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(・ω・) 2016/07/12
ネタバレタヌキだけでなく、野生生物との共存について考えさせられる本でした。3.11で津波の被害を受けた自然は、意外と早く立ち直りつつあった。けれども、復興工事でせっかく生えてきた植物や戻ってきたタヌキがいなくなってしまったそうです。物事は、いろいろな側面から正しく理解して、考えないとダメですね。

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迷亭 2016/06/05
「けものへん」に「里」と書いて「狸」ってくらい、タヌキは人里に近くないと生きられない野生動物。アライグマでもアナグマでもハクビシンでも無いから注意。野毛山動物園でみんな並んでるから見比べると吉。糞の山から生態を研究するのは、好きでも大変そう…

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小鳥遊小鳥 2016/05/26
まず、巻頭の写真が可愛いです。秋のタヌキってこんなに太るのね…… 著者は生態学の専門家ですがタヌキのイメージについての説明もわかりやすかったです。

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ムージョ 2016/04/19
タヌキの生物学的説明からイメージの変遷。そして今日の生息環境の問題と一通りが学べる本。タヌキに関するイメージが実物とはずいぶんかけ離れていることが興味深い。身近な動物でありながら実はそれほど人と接触してこなかったということか。信楽焼きのタヌキがわりと最近個人が作ったというのも驚き。タヌキが食べる果実がどれも美味しそうでちょっと食べてみたくなった。著者は交通事故に対策がなされていないというが、町田には20年以上前からタヌキ道が作られている。使用状況は不明だけど。事故調査の際その話は聞かなかったのかな。

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とりぞう 2016/04/13
「タヌキは同じイヌ科のキツネに比べると四肢が短く、太っている」なんていうあたりまえ(?)のことから、「アナグマはタヌキに似ているが、実はイタチ科」なんていうちょっと使ってみたくなるフレーズなど。「タヌキ学」があるのかどうか知らないけれど、タヌキのみならず動物好きには必ず得るものがある本。

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みそ 2016/03/31
可愛い挿絵に惹かれて手に取った。中盤以降は調査記録的な記述が多い気がした。今日のタヌキのイメージがどう作られていったかという推理は興味深かった。

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ソラ 2016/03/18
タヌキには、どこか惚けていて親しみがわくイメージがある。本作では、昔話でお馴染みのタヌキを、食性や生態を分かりやすく述べられており、筆者のタヌキ愛が伝わってくる。以外だったのは、環境への適応力で、大都会でも生息していける種としての強さに驚いた。人間が生活範囲を広げていくにつれ、動物たちの棲家はどんどん狭められていったが、上手く生き残る術を身に付けた、まさにタヌキ親父的な立ち回り方は自分が持つタヌキの印象とはかなり違っていた。環境破壊が進み、これ以上タヌキ達が住む場所を追われる世の中にはなって欲しくないなあ

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tall_hemlock 2016/03/16
シカが専門の方のタヌキの本で、生態学的なことだけでなく文化にも結構触れていて興味深い。東日本震災の後にタヌキが戻ってきた話も。  読み終わった翌日にロードキルされたタヌキ…通り過ぎざまにちらっとしか見てないからタヌキかハクビシンかわかんないけど、に遭遇してちょっと見につまされる思い。でも、「タヌキのための道を作った話は聞いたことがない」とあったけれど、「平成狸合戦ぽんぽこ」の頃にどっかでタヌキ道(車道の上だか下だかに設けたタヌキ横断用の通路)作ったという話はあった気がするなあ。

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ayukaeru 2016/03/16
タヌキ愛にあふれている! イラストが非常にかわいらしい。 タヌキ好きだ〜なんて健気なんだろう。 そんな思惑なんて意に介さず、タヌキたちは淡々と生きているのだ。

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木崎智行 2016/03/08
人間にどんなイメージを持たれるかは、その動物の生存に対して大きな影響を与えます。タヌキはどうでしょうか。ぽんぽこ腹鼓のポン太でしょうか。カチカチ山の残忍なタヌキでしょうか。人を化かすいたずらもの?やっかいなタヌキ親父?老練な古狸?タヌキ顔のおっとり優しいあの娘?たんたんタヌキのぶーらぶら?タヌキほど多彩なイメージを持たれている野生動物は他にいないかもしれません。なぜそんなにたくさんのイメージを持たれるようになったのか。日本人の暮らしの変遷や生態などから著者が考えます。他の野生動物が姿を消していく中、逞しく

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夜兎 2016/03/07
たぬきがマイブームなので読んでみた。付かず離れずの関係でたぬきと暮らしていきたい。毎日餌をもらいに訪ねてくるけど、決して触らせないし一定の距離を保ち、餌を貰ったら少し離れた場所で食べる、みたいな。自然との共生という意味でも、付かず離れずのたぬきを。

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野々ゴリラ 2016/02/26
 タヌキについての入門書であり、イラスト付きでわかりやすく説明されています。本書はタヌキの基礎データから始まり、世間でのイメージについて、自然環境との関係、人と社会との関わり、と続きます。 本書を読むと、タヌキは都会でも被災地でも生息できるたくましい生き物であることがわかります。しかし現代日本のように経済成長ばかりを優先し自然を破壊すれば、そのタヌキさえ生きていけなくなってしまうのではないかと、著者は最後に警告します。

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魚京童!2016/02/21
誠文堂新光社の栁千絵さんとは何度も議論し、ときに意見がぶつかることもあったが、よい本にしたいという思いは一致していた。

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魚京童!02/21 11:19
http://kuzirappa.blog.fc2.com/blog-entry-1820.html

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shiropiyo
タヌキに思い入れがあるので手に取ったのですが、非常に楽しく読ませて頂きました。本書の中で高槻先生のタヌキ愛(?)が想定外のユーモアを生み出しています。

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動物のくらし

2018-07-01 05:52:56 | 私の著書
「動物のくらし」玉川大学出版部, 2016.5.20
「玉川百科 こども博物誌」というシリーズの1冊で、その最初のものとして出版されました。旧友の浅野文彦さんのすばらしいイラストで、これまで日本のこの種の本ではないできばえになったと思います。小学校低学年向けということで本作りの面ではむずかしさもありましたが、内容は充実しており、大人が読んでも楽しめるものになりました。関心のある方はぜひ一度ご覧になってください。


出版案内

気に入ったページを少し紹介します。ここをクリック

執筆過程を紹介しました。習慣読書人2016.8/5

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都会の自然の話を聴く--玉川上水のタヌキと動植物のつながり

2018-07-01 05:49:15 | 私の著書
「都会の自然の話を聴く--玉川上水のタヌキと動植物のつながり」2017, 彩流社
退職後はじめたことのひとつが玉川上水の動植物の調査です。前々から興味があり、ときどき調べていたのですが、2016年から地域の知人といっしょに観察会や調査を始めました。ちょうどその頃に、彩流社の出口さんから話があり、観察会の記録などをもとにした本を作ることになりました。具体的な話題としてはタヌキをめぐる動植物の話がひとつ。タヌキの糞分析や種子散布、それに糞虫の調査の結果や、その過程でのできごとなどを紹介しました。玉川上水の群落の違いとその下生えの変化、変化にともなう訪花昆虫の調査なども紹介しました。その過程で認識を新たにしたのは、ふつうの生き物が一生懸命生きていることへの共感、それを知ることの感動ということです。国立公園の希少な動植物がすばらしいことに異論はありませんが、そうでない生き物すべてば魅力に溢れている、その気になれば、おもしろい話がいくらでも聞けるということです。
 いっしょに活動をしている武蔵美大の関野吉晴先生が過分な紹介文を書いてくださいました。彩流社のサイト



読売新聞の書評

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