高槻成紀のホームページ

「晴行雨筆」の日々から生まれるもの

動き 2019以前

2019-12-31 10:44:17 | 『唱歌「ふるさと」の生態学』

2019.9.7 モンゴル、モゴド・アイラグ博物館の準備 こちら 
2019.9.3 モンゴルでの天気予報教室の記録  こちら
2019.11.7 地球永住計画 賢者にきく 「鼻つまみ者」 こちら 
2019.6.9 NHK 、ETVの「視点・論点」で「都市化する社会の人と動物」を話しました。こちら


再録が終わってくつろぐ

2019年5月4日に公園でモンゴル祭りが行われ、そこにある図書館でモンゴルカレッジ2019が行われました。4つの話題が提供され、私は「モンゴル牧民の知恵に学ぶ」と題して講演をしました。こちら



3月26日、27日
麻布大学いのちの博物館で「粘土で動物を作ろう」を実施しました。 こちら


3月18日
リスの標本を作りました。 こちら


2月21日
仙台で東日本大震災後の仙台海岸の生態系復元についてのフォーラムがあり、タヌキの食性の話をします。





1月12日
武蔵野美大で地球永住計画の「かんさつ会」として「フクロウの巣からネズミを取り出す」を実施しました。 こちら


12月15日
麻布大学いのちの博物館でワークショップ「フクロウの巣からネズミを取り出す」を実施しました。 こちら


12月6日
小平市民奨励教室で講演しました。こちら


12月2日
モモンガの標本が手に入ったので、調べました。外観観察
基本情報 こちら
手足 こちら
剥皮 こちら 見ても平気だと思う人、どうぞ
飛膜 こちら
胃 こちら
全身骨格 こちら
台に載せる こちら


11月17日
ムササビの標本が手に入ったので、調べました。
 外観観察 こちら
 基本情報 こちら
 脱がしたムササビ こちら見ても平気だと思う人、どうぞ
 飛膜 こちら
 「小指」は骨ではなかった こちら
 針状軟骨はバテン? こちら
 滑空 -- 針状軟骨の使われ方 滑空 -- 針状軟骨の使われ方
 胃内容物 こちら
 頭骨 こちら


11月11日
丹沢の自然に関心を持つ人たちに招かれて講演をしたことがあります。そのことをきっかけに、丹沢のシカの食べ物を解明しようということになりました。各季節に丹沢の3箇所で高いところ、中くらい、低いところで糞を拾ってもらい、私が分析をすることになりました。興味ふかい結果が得られていますが(こちら)、秋の糞からはかなりの頻度でヤマボウシの種子が出てきました。現地にも多いそうです。他にも色々な果実があると思いますが、これだけが目立って多く、高頻度で出てきました。



丹沢のシカの糞から検出されたヤマボウシの種子


10月12日
科学技術振興機構のポータルサイト(サイエンスポータル)に私を取材した記事が載りました。こちら


9月28日
鳥取県若桜のシカ糞を分析していますが、これまで知られているどこよりも劣悪で、夏でも枯葉を多く食べていることがわかりました。こちら


9月27日
小平市にある津田塾大学のタヌキの食べ物を調べていますが、9月になったら急に糞が見つかるようになり、中身も昆虫が激減してカキを主体とし、ムクノキなどが混じる「秋モード」に入ったようです。こちら


9月16日
玉川上水の9月の観察会を小金井で行いました。こちら


9月7-10日
日本哺乳類学会が伊那市の信州大学農学部で行われ、参加して来ました。若い人の活気を感じるる学会です。


9月6日
森林インストラクター東京会で「玉川上水の生き物しらべの愉しみ」という講演をしました。



質問に答える


8月30日
サクラサイエンスというプロジェクトで麻布大学で研修中のアジアの若手獣医研究者が麻布大学いのちの博物館に来館しまし他ので、解説しました。こちら


8月26日
玉川上水の観察会をしました。こちら


8月25日
「玉川上水にはフン虫がいるよ」を実施しました。こちら


8月21日
明治神宮にタヌキの糞を探しに行きましたが、見つからずがっかりでした。


8月19日
乙女高原で訪花昆虫の調査をしました。大きな柵を作ってシカの影響を排除したおかげで花が戻ってきて全体でポリネーション(花に昆虫が受粉にくること)が咲く設置前の5階程増えていました。花と昆虫にに囲まれてとても幸福感のある調査でした。


8月16日
「3.11」後の仙台の海岸に戻ってきたタヌキの論文が朝日新聞の宮城県版に載りましたが、その英訳ができたそうです。


http://www.asahi.com/ajw/articles/AJ201808110001.html


7月31日-8月11日
モンゴル調査


7月27日
私は仲間と東日本大震災の後、仙台の海岸に「戻ってきた」タヌキの糞分析をして、「保全生態学研究」という学術誌に論文を書きました。それを朝日新聞の宮城版が取り上げてくれました。研究をこういう形で発信することも大事だと思います。





7月24日-26日
7月24-26日、麻布大学いのちの博物館で小学生を対象とした夏休み子ども教室をしました。子供達の真剣な眼差し、ユニークなスケッチ作品を見れば、あれこれの評価は無用であることがわかります。

スケッチする子供達

(写真の公開は了解を得ています)もっとみる

子供ならではの作品ができました。

もっと見る

 小学生に解説をしていると、自分の言葉が子供の心に入って行くようで、まさに「語れば応える」が実感できます。スケッチの仕方や動物の見方をアドバイスすると、驚くほどの効果がみられます。自分は大学の先生より、小学校の先生の方が向いていたかな、と思うくらいです。



 アオダイショウの骨の説明をする時、南米でアナコンダにおばあさんが食べられた話をしました。その時はホワイトボードにヘビの頭を描いて大きく開けた口に丸い人の頭だけを描いておきました。その後、感想文を書いてもらっているときに、人の顔に目や口を描き、体も描き加えて、男の子にしました。そうしたら子どもたちが目ざとく見つけて、笑顔が見られました。それを見て一人の子が「さっき、おばあさんって言ったのに」と言いました。そこで男の子の頭の上に丸い髪の塊りを描き、口の脇にほうれい線を引きました。それから半ズボンをスカートにしました。子どもたちは大喜びでした。
 落書きが得意なのもこういうときは役に立つものです。





7月16日
「玉川上水を守るには?」という集会で講演をしました。こちら





7月8日
玉川上水観察会
内容 津田塾大学でタヌキのタメフンを観察、回収し、水洗してマーカーの検出をします。マーカーとはソーセージに入れたプラスチック片で、キャンパスの外に置いてあり、タヌキの動きを調べようとしています。
無事完了しました。報告はこちら


6月27日
武蔵野美大三鷹ルームで「人による動物の勝手なイメージ:イタチも知らずにイタチごっこ」
「人間の偏見、動物の言い分」について話しました。





関野先生と対談


話が終わってから子供たちもお話にきました。写真は豊口信行さんによる。




6月25日
「人間の偏見、動物の言い分~動物のイメージを科学する」イースト・プレス社 こちら
武蔵野美術大学で最近出版した上記の本の解説をしました。



人は動物に勝手なイメージを作ってきた



ハーツォグは実験のために「下等な」動物から「高等な」動物の順に熱湯に入れた。さて、高等下等とは??


++++++++++++
当日は武蔵美大の学生を主体に一般の方も聞きに来てくださいました。



動物のイメージを板書して説明(棚橋早苗さん撮影)




6月16日の「高尾の森づくりの会」での講演
同会で「森と動物たちのかかわりについて」という講演をしました。


6月10日「人間の偏見 動物の言い分」の書評
宮部みゆきさんの書評 こちら


6月10日の桐生での実習指導
桐生の自然の森で食肉目(タヌキやテン)の糞分析の実習指導をしました。



作業室



記念撮影


異変
 このブログを訪問する人はだいたい100人前後です。ところが、今朝(5月13日)、そのブログを見て我が目を疑いました。なんと8800人もの訪問者があったのです。桁違いです。これはどうしたことかと思っていましたが、友人がメールをくれたので、そのわけがわかりました。
 それによると、私が2年前に書いたあるエッセーがツイッターで話題になったのだそうです。それは天皇陛下が書かれた皇居のタヌキの糞分析の論文についてのものです。こちら 興味のある人にはゆっくり読んでもらうこととして、そのとき私が作った次の歌はどうでしょう。


 故ありてタヌキが糞を分析しけむが、広きこの世にかくなる行なひを為す者、幾人ありなむとこそ思ひけれ。
 しかるに、あらむことか、帝がこれを為されけむと知り、いみじう驚きたりて作りたる歌・・







 それにしても、なぜ今頃話題になったのかはいまだにわかりません。もしご存知の方がおられたら教えてもらえると喜びます。


5月20日の観察会
気持ちの良い天気の中で終えました。全体の報告と下生え調査の結果


2018.5.3 モンゴルの放牧圧の論文
 2002年からモンゴルに通っています。最初はモウコガゼルの調査から始まったのですが、その後家畜と草原の関係を調べるようになって今日に至っています。モンゴル中央の北部はモンゴルとしては比較的降水量があり、山の北斜面には森林があるので「森林ステップ」と呼ばれています。もっと北のロシアに行けばタイガになる、草原と森林の移行帯です。その一つとしてブルガンという場所があり、そこで放牧影響を調べた調査結果が論文になりました。こちら


モンゴル北部の森林ステップの草地群落への放牧の影響:放牧と非放牧の比較
高槻成紀・佐藤雅人・森永由紀


モンゴルでは牧畜のあり方が移牧から定着に変化したため、草原が過放牧になり、群落に変化をもたらしている。この調査はモンゴル北部の深林ステップで長い時間家畜を排除した好例を見つけたので、放牧が草原にどのような影響をもたらすかを示そうとした。ブルガン飛行場は1950年代から柵をしてきたので、放牧された場所とされていない場所を比較できる。そこで群落構造、種組成、生育形に着目して柵の内外を比較した。植物量は柵外で40 g/m2であり、柵外(305 g/m2)の7分の1にすぎず、出現種数も半分ほどだった。柵内では草丈は30-40cmあったが、柵外では10cm未満だった。柵内では直立型、分枝型、大型叢生型が多いが、柵外では小型叢生型と匍匐型が優占的だった。柵内では微地形に応じて優占種に違いが見られたが、柵外ではCarex duriusculaというスゲとPotentilla acaulis(キジムシロ属)という匍匐型が優占していた。すなわち放牧影響はもともとある微地形の影響を「マスク」すると言える。この調査は、放牧による群落への影響を生育型を用いることで有効に示せることを示した。



A: 柵内外の比較、B:柵内の様子、C:柵外の様子、D: Potentilla acaulis


Effects of grazing on grassland communities of the forest-steppe of northern Mongolia: a comparison of grazed versus ungrazed places


Seiki Takatsuki, Masatoshi Sato, and Yuki Morinaga


Abstract
Overgrazing of grasslands in the Mongolian steppes resulting from a transition from pastoral to sedentary livestock production has led to significant changes in the plant communities. This study aimed to show how livestock grazing affects steppe vegetation in northern Mongolia by a good example of a long-termed exclusion of grazing. The Bulgan Airport in northern Mongolia has been fenced since the 1950s and thus is suitable to compare grazed and ungrazed plant communities. We studied plots both inside and outside the fence with reference to community structure, species composition, and growth form. Plant biomass for the outside plots averaged (40 g/m2) less than one-seventh of that inside the fence (305 g/m2), and average species number per plot was about half of that inside the fence. Height of plants inside the fence ranged from the ground surface to 30 - 40 cm, whereas most of the plants outside were less than 10 cm tall. Erect, branched, and tall tussock form plants were reduced outside the fence, and short tussock and prostrate form plants became dominant. Microtopography resulted in different dominant plants inside the fence whereas only Carex duriuscula, a sedge, and Potentilla acaulis, a short growing prostrate forb, prevailed outside. That is, grazing as a factor effecting plant communities prevailed and "masked" microtopography outside the fence. It was shown that the use of growth form is effective to evaluate vegetation changes by grazing.


2018.4.22 骨格標本
2018年4月10日、麻布大学のキャンパスでモズの死体を見つけました。状態がよかったので、骨格標本を作ることにしました。


モズの死体


骨格標本



2018.5.17 新刊出版
「人間の偏見 動物の言い分」という本がイーストプレスから出版されます。







私は長いあいだ動物の研究をしてきて、動物の立場から見たらこの世はずいぶん理不尽だと思うだろうなと想像することがよくありました。それが本書で言いたいことなのですが、その主張のために2つの工夫をしました。
 一つは「動物」というときに、ペットも家畜も野生動物も区別がされないために「動物のいのちを大切に」というとき、多くはイヌ・ネコのイメージをしますが、食肉用のウシやブタのことは考えないし、野生動物の絶滅のことも考えません。そこで動物を類型しながら説明しました。
 もう一つは現代の都市生活と動物の関係を考えるために、大胆とは思いながら、狩猟採集時代、農業時代、都市生活時代という時代区分をし、それぞれの時代に人が動物にどう接してきたかを考えたということです。
 その作業をすることで、都市生活が下手をするとかなり深刻な問題を生む危険性があることにも言及しました。出版は2018年5月17日で、定価は1700円(+税)です。


株式会社イースト・プレス




2018.4.12 講演
4月12日に武蔵野美大の「三鷹ルーム」で講演をしました。これは関野義晴先生が地球永住計画というプロジェクトの活動の一つとして行なっておられる連続講座で、さまざまな分野の研究者や専門家が関野先生と対談をするというものです。私は「リンク(生き物のつながり)を求めて」という話をしました。
 関野先生からは、最近行っている玉川上水の話ではなく、これまでの研究を振り返るような話をして欲しいということだったので、シカとササ、タヌキとテンの食性比較、シカの多面的生物に及ぼす影響、アファンの森の訪花昆虫などの話をしました。
 それら研究の話の前に、子供の頃の写真を紹介し、中2の時にアゲハ蝶類と食草の対応関係に気づいて、愛読していた図鑑の監修者であった九州大学の白水先生に手紙を書いたこと、そして返事をもらったことを紹介しました。そのことが、動物の食べ物を調べることに関心を持ったことと繋がっているかもしれないと思うからです。
 話の最後にはアイヌ民話の「ミソサザイとサマイクル」の話を紹介し、小さく、顧みられることのない生き物への配慮をする文化の素晴らしさを話しました。








豊口信行さん撮影


2018.4.4 子どもイベント「シカ、サル、タヌキの骨比べ」こちら








2018.3.17


動物園講演会「タヌキのウンチ 生き物のつながりを探る」@武蔵野公会堂
動物園に関心のある人が主催する講演会でお話をしました。動物好きの人が多く、タヌキに限らず、動物のいのちについて様々な意見が買わされました。[Believe」を一緒に歌いました。


質問に答える


一緒に「Believe」を歌う

2018.2.25
講演 「日本の山とシカ問題」
山と渓谷社による「日本山岳遺産サミット」で話しました。
 

2018.2.19
NHKテレビの「視点・論点」で「身近な自然をじっくり眺める」を話しました。内容はこちら

月~金 午前4時20分~午前4時30分 [Eテレ] 月~金 午後1時50分~午後2時

2018.1.13
講演 「タヌキのポン?!」予告
多摩動物公園でタヌキの話をしました。こちら
感想など こちら





2018.1.8
「玉川上水花マップ」と称して花の分布を調べていますが、1月8日にシンポジウムを開催しました。こちら
動画は こちら



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

裏高尾の植物に見られたシカの食痕

2019-12-07 11:24:54 | 研究

2019年12月5日に小下(こげ)沢でシカによる植物への影響を観察したので報告しておく。

<台風19号の影響>
中央高速の入り口から小下沢を歩いたが、台風19号の水害のため大きく様相を変えていた。林道は大きくえぐられ、沢の中の土砂が流されて底の岩盤が見えていた。沢沿いの樹木は土砂が流されて太い根がむき出しになっており、倒木もあった。直径50cmほどのイタヤカエデが林道側に倒れて、通行のために幹が切られていた。沢沿の林道を進むと、枝沢を横切るが、その枝沢も土砂が流れ落ちて大きな礫が林道を塞いでいた。あとで行ったベース南側の沢も大きな被害を受けており、入り口の右側にあった水場とそこにあった石碑も流されたようで、石碑は改めて立てられており、水場は復旧のために「高尾の森 づくりの会」の人が土砂を除く作業をしておられた。その沢は50mほど登ると林道がなくなっていた。

<シカの食痕>
「高尾の森を守る会」のベースの北の斜面を登り、狐塚をへて林道を進んで折り返した。ベース北側の斜面は杉植林で下生えにはアオキが多かった(図1)。


図1. スギ林の景観


案内いただいた山崎勇さんによれば3週間前にも来たが、その時はアオキに食痕はあったものの、探せばある程度だったということだが、今回はむしろ食痕がないものを探すのが難しいほどで、山崎さんも驚いておられた(図2)。


図2. スギ林のアオキ


アオキは葉だけでなく枝や茎も緑色でシカにとってはおいしいのであろう、枝もよく食べられていた(図3)。


図3. アオキの食痕


中には直径20mmほどもあるかなり太い幹が途中でおられているものもあった(図4)。


図4. 幹を折られたアオキ


 道の脇を観察しながら歩いたが、食痕は以下に見られた(図5)。
 イタヤカエデ、イノコズチ、ウリノキ、カラスザンショウ、コアカソ、fゴンズイ、タマアジサイ、ヌルデ、フユザンショウ、ミズキ、ミヤマフユイチゴ、ムラサキシキブ


図5. 食痕が認められた植物

 現段階でははっきりしないが、以下の植物は明らかにシカが食べ残しており、今後他の植物が減少する中で相対的に目立つようになることが予測された。
 シロヨメナ、マツカゼソウ、テンナンショウ類、シダ類(オオバイノモトソウ、ベニシダなど)

<まとめ>
 山崎さんたちが継続撮影しておられるセンサーカメラの記録からもシカの撮影枚数は毎年倍増しており、今年もすでに昨年の2倍を上回っている。そしてこの1ヶ月で急激にアオキへの食圧が強くなっており、この冬にさらに強い影響が及ぶことは確実と懸念される。シカの影響は高尾山にも波及することになるが、その程度がどの程度であるかを注視する必要がある。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする