高槻成紀のホームページ

「晴行雨筆」の日々から生まれるもの

研究7 教育など

2016-01-01 02:04:34 | 研究概要


高槻成紀. 2011.
生物が消えていく.
学校図書、中学校国語, 2: 130-132.
自分の文章が国語の教科書に載ることがわかったとき、とても感激しました。そして、すぐに父のことを想い出しました。父や九州の寒村に生まれ、家庭が貧しかったために、教育が受けられなかったことを一生の無念と感じていました。そして子供が好きで、子供の教育をこの上なく大切だと考えていました。だから、このことを知ったら心から喜んでくれたろうと思ったのです。

高槻成紀. 2011.
モンゴル草原の生物多様性
理科教室, 54: 74-77.
モンゴルの研究はあまり論文にしていないのですが、何に興味をもち、どんなことを調べているかを紹介しました。

高槻成紀. 2011.
私にとってのクマ
Bears Japan, 12: 23-24.
自分はクマの研究をしませんでしたが、指導する院生がヒグマとツキノワグマを研究してくれたので、いっしょに研究できました。そのとき思ったのは大学にいるより調査地にいることの大切さです。若い頃アメリカにいってマッカラーさんという研究者が学生を山の中に「放り投げて」いるのをみて、自分もそういう立場になったらそうしたいと思っていたのです。それには学生に対する絶対の信頼感が不可欠で、それに挑戦したということを書きました。

高槻成紀. 2012.
生態学者が都市に住む
都市問題, 2012.9:1.

高槻成紀. 2012.
オオカミを見る目
「新しい国語1」, 東京書籍
自分の文章が国語の教科書にのった2つめの経験でした。

高槻成紀. 2012
おもしろいと思うことをやればいい:菊池さんから教えてもらったこと
「ねこさんに教えてもらったこと菊池多賀夫博士追悼文集」
東北大学時代にお世話になった菊池先生は、私が植物生態学研究室の助手でありながら、動物のことに深入りしつつあり、それでよいのかと迷っているときに「おもしろいことをやればいいんだよ」と勇気付けてくださいました。

高槻成紀. 2012
小さな会誌に書かれた菊池さんの文章
「ねこさんに教えてもらったこと菊池多田夫博士追悼文集」
高槻成紀. 2012.
幸せな男たち
Ouroboros

高槻成紀. 2012.
食物連鎖を教える
理科教室, 2012(6): 36-41.

高槻成紀. 2012.
フクロウが運んできたものー高校生の大学体験記
UP, 475(2012.5): 38-43.

高槻成紀, 2013
おとぎ話
教科研究国語, 196 (2013前期): 2-4

高槻成紀, 2012.
食物連鎖を教える
理科教室, 2012(6): 36-41.
いま初等教育の現場はたいへんです。先生に貸される課題がたいへん多く、また社会からのきびしい批判からしてはいけないことだらけです。そうした中で理科で生き物のことを教えることがいかにたいへんかは想像できます。とくに生態系について教科書で概念を説明するだけでは生徒に興味を持たせるのはむずかしいと思います。そのためにどうすればよいかを考えて書きました。

高槻成紀. 2014.
せめて嫌いにさせないで—生き物を教えるということ—
日文教育資料[生活・総合]「生活&総合navi], 2014,Vol. 69: 8-11.
タイトルそのものです。理科の先生が、自分は昆虫がさわれないで、あるいは嫌いでいながら、「昆虫は足が6本です」などと説明しても、それを聞いても子供が昆虫に興味をもつことはありえません。ただ、好きになりなさいとまでは言わないまでも、せめて気持ちが悪いのだというようなことはいわないでほしい、そういうことを書きました。

高槻成紀. 2014.
骨の解説
このは, 8, 文一総合出版
 麻布大学にある標本を紹介してもらうチャンスがあったので、解説をしました。これは翌年、博物館開館のひとつの要因になったかもしれません。

高槻成紀, 2015.
ウサギは逃げるのがとっても得意
ふしぎのお話365: 120.
この本に3つの内容を紹介しました。

高槻成紀, 2015.
シカのツノは何にためにあるの?
ふしぎのお話365: 191.

高槻成紀, 2015.
動物と果実がおりなす深い関係
ふしぎのお話365: 277.

石井誠治・高槻成紀, 2015.
教科・生活科の中の動植物について
生活&総合navi, 71: 8-11.

高槻成紀, 2016.
子供たちに動物の息吹を伝えたい.
週間読書人. 2016.8.5

高槻成紀, 2015.
博物館
畜産の研究
麻布大学いのちの博物館の開館までのことを書きました。

高槻成紀, 2016.
麻布大学いのちの博物館を語る
日本農学図書館協議会誌, 181: 7-14.
これも同様です。

高槻成紀・金子倫子,2017
須田修氏遺品寄贈の記録
麻布大学雑誌, 印刷中
明治時代音大先輩のお孫さんである金子さんとのやりとりを記録として残すことにしました。たいへん楽しい文通になりました。
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研究概要

2015-03-21 10:17:31 | 研究概要

東北大学時代
 学生時代からニホンジカを研究してきた。出発点はシカが植物群落のおよぼす影響である。これ事態を現在も継続させているが、大学院時代に群落への影響を調べるためにはシカの食性を知らないといけないと考え食性分析をした。このことがひとつの流れになっている。そして北海道から屋久島までのシカの食性を調べ、地理的な傾向があることを見いだした。反芻銃の消化器官も調べた。食性分析ですぐに落葉樹林にすむシカにはササが重要であることに気づき、その理由を解明した。またシカ密度がもっとも高い場所にはシバ群落が成立することから、その生産特性、採食耐性、種子散布などを調べた。こうしたシカ研究は、1980年代から農林業被害、さらには自然植生への影響という応用的な問題とつながるようになり、その分野でも発言や活動をしてきた。

東京大学時代
 東大大学院時代に学生のテーマとして新しい動物の研究に挑戦した。ツキノワグマの食性を長期にわたって調べ、ナッツ類の結実との関係を見いだした。エゾヒグマの食性、被害問題、生息地選択などを調べた。金華山のニホンザルの食性、群落利用、社会的地位と資源利用の関係などを調べた。ニホンジカの下顎の形態が日本の南北で違うこと、これが食性と対応していること、集団の状態と歯の摩滅とに関係があることなどを示した。
 留学生とは以下のような研究をした。中国の姜さんとは、モウコガゼルの消化器官と食性の関係をニホンジカのそれと比較し、反芻獣のサイズと環境との関係を論じた。スリランカのウダヤニさんとはスリランカのアジアゾウが同所的なスイギュウ、アクシスジカ、家畜ウシといかなる資源利用をしているかを解明し、乾季には競合的である可能性を示した。カンポスアルセイスさんとはスリランカとミャンマーのアジアゾウについて飼育実験とGPS発信器による行動圏利用とを組み合わせて種子散布者としての重要性を指摘した。スリランカのジャヤセカラさんと熱帯雨林の樹上と地面に果実を置いて自動撮影カメラで訪問動物を調べたところ、昼間と夜、樹上と地上で異なる動物が果実を分割しながら利用していることが分かった。ベネズエラのガリンデスシルバさんは金華山のシカのオスについて、順位と糞中テストステロン濃度とに関係があることを示した。
 姜さんとのモウコガゼルの研究から、その生息地の本場であるモンゴルに行きたいと思っていたが、2002年に実現した。そしてガゼルを受け取りにしてGPS首輪で衛星から位置情報を得るという方法で世界ではじめてガゼルの季節移動のルート解明をした。ガゼルについては食べ物がヤギ、ヒツジとよく似ているので、家畜の管理が保全の鍵を握っていることを示した。モンゴル草原にはシベリアマーモットがいる。大型の齧歯類で、地下にトンネルを作るが、その出口にマウンドができ、そこだけ別の植物が生育している。そしてそこには訪花昆虫がよく訪れる。このようなマーモッとが生き物のつながりにおよぼす影響を調べた。

麻布大学
 麻布大学に来てからは、金華山のシカは一貫して継続調査しながら、調査地も対象動物も拡大した。ひとつは大都市圏郊外にあるという大学のロケーションを活かして、1)ロードキル、2)里山、3)都市緑地の動物、を調べている。また長野県の八ヶ岳、アファンの森でいくつかの動物についてやや応用的な調査を始めた。モンゴルでの研究も継続発展させている。国立公園にはタヒ(野生馬)がいて個体数を増やしているので、アカシカとの競合が懸念される。またオオカミ、キツネ類、ネコ類もいて「肉食ギルド」を形成している。このような、動物の種間関係を調べている。一方、モンゴルは牧畜の国だから、家畜の管理は草原生態系に重大な意味をもっている。放牧圧の違いが群落にいかに影響するか、またそれがネズミ群集や訪花昆虫にいかに影響するかも調べている。

 以下にはこれらの研究を5つの項目に分けて紹介する。
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