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車体広告

2011-09-24 23:30:06 | その他もろもろ
小田急電鉄が「川崎市藤子・F・不二雄ミュージアム」の開館を記念して、藤子キャラクターを車体にラッピングして8月から運行していた「小田急F-Train」が、東京都屋外広告物条例に違反していることが分かり、9月いっぱいでラッピングを取りやめることになったというニュースが先日流れた。(当初は1年間程度運行するつもりだったようだ。なお、10月以降も車内の装飾は残すとのこと)

「屋外広告物としての申請を行わなかったこと」と「広告が車体面積の10分の1を越えてはいけないという基準に違反していたこと」の2点がいけなかったそうだ。

乗り物に限らず街頭の建物などで公衆の目に触れる文字や絵の大部分は、各自治体の屋外広告物としての規制対象であり、手続きを行わなければならない。
例えば、単に自社の社名の表示であっても、一定の条件を満たすものは広告と見なされ、申請が必要(自分の広告は他の広告より条件が緩いことが多いようだが)。
鉄道では、車体の自社ロゴマークもそれに該当するだろう。小田急側では「広告費をもらっていない自社独自の企画なので、広告物に該当するとは認識していなかった」という趣旨のコメントをしているが、認識が甘いと言わざるを得ない。
【25日追記】小田急には、小田急エージェンシーという広告を専門に扱う関連会社が存在するらしい。このF-Trainには同社は関与しなかったのかもしれないが、こんなことでは小田急の広告は大丈夫なの? と思われてしまいかねない。



これを踏まえて、いろいろ。(条例などを根拠にしていますが、深くは調べていないので、見落としや勘違いがあるかもしれません)
●ラッピングバスは?
(東京都では)広告は車体面積の10分の1以下でないといけないというのは初めて知ったが、じゃあラッピング広告バスはどうなるんだ? あれはもっと広い面積が広告じゃない? と疑問に感じた。
 (再掲)小田急系列の立川バスのリラックマバスも屋外広告物
調べてみると、
表示面積については、東京都屋外広告物条例施行規則第十九条の別表第三の六(三)において、路線バス(高速道路を走行しない)は「車体底部を除く全表面積の十分の三以下」、電車は「外面面積の十分の一以下であること」と路線バスと電車(路面電車は除く)で別々に定められていたのだった。

ラッピングバスの場合、窓や屋根には広告がないから、あれで10分の3以下を満たしているのだろう。まずは納得。
【25日追記】広告の面積というのは、おそらく地色は含まないのだろう。上の写真のリラックマバスの場合、キャラクターの絵や文字部分だけの合計で、黄色い部分は含まないのではないだろうか。たぶん。

●鉄道の方が小さくなってしまうけど
電車が10分の1以下、バスが10分の3以下なので、つまりは相対的に鉄道の方が広告面積が狭く=広告が小さくなってしまうことになると思う。
バスは、道路上で多くの目に触れる機会があり、“うるさい”広告は景観や他車の安全運転上、困るだろうし、乗客が間違う(路線バスでないと認識してしまう)危険がある。一方、鉄道は決まった線路しか走らないし、誤乗の危険も少ないと思う。だったら、鉄道の方が広告を広くしてもいいように思えるが、なんで逆転しているかのような決まりになっているのだろう。

ここでちょっと話が逸れますが、現在、日本各地でラッピング広告バスが普及したのは、東京都営バスが採用したのが大きなきっかけとされている。
イシハラシンタロー知事が就任後、導入を決定し、確か条例を改正して実施したと記憶している。改正はおそらく広告面積を広くしたのではないだろうか。
これは憶測だが、ラッピングバスを走らせることだけを考えて、バスの広告面積だけを改正し、電車については変更しなかった結果、こうなったのではないだろうか。

●東京都だけ?
東京都の場合、バス(自動車)は「他道府県ナンバーの車で、そこの条例に従っている広告なら、都条例は関係ないよ」という感じに定められている。
つまり、例えば秋田ナンバーのバスで、秋田県または秋田市の屋外広告物条例(後述)にのっとっていれば東京都条例の規制は関係なく、そのまま都内を走ってもいいようだ。(実際には排ガス規制とか、他の規制もあるけど)

一方、電車の場合は、他県がどうこうという規定は都条例にはなさそう。
しかし、小田急線の線路は東京都と神奈川県にまたがっている。
今回は東京都の条例に抵触してニュースになったが、沿線である神奈川県や川崎市にも屋外広告物条例があるはずで、そっちは大丈夫なのだろうか。

●あの広告がああだったわけ
2010年の夏、山手線を走っていた、東北の観光広告の電車がイマイチなことを記事にしていた
 (再掲)
もっと写真をでっかくすればいいのにと思っていたが、それは上記の通り、条例でできなかったわけだ。
(それにしても竿燈の写真は写真自体が悪いし、配置などでもうちょっと目を引くように工夫はできると思うが)

やっぱり10分の1以下というのは厳しいと思う。
同じく屋外広告物の規制を受けているであろう、新宿や秋葉原なんかの看板と比べると、地味すぎる。

●秋田では?
では、我が秋田。
中核市である秋田市では独自に秋田市屋外広告物条例があり、他の市町村では県の秋田県屋外広告物条例が適用される。

秋田市(第七条)、秋田県(第六条)とも「適用除外」を定めており、許可を受ける必要がない屋外広告物がある。その1つに「人、動物、車両、船舶等に表示される広告物」とある。
つまり、秋田においては、車両であるバスや電車の車体広告は、屋外広告物条例の守備範囲外ということになる。
じゃあ、どうにでもできるということか。
上記の通り、そのまま東京都に行ってもいいのだから、秋田ナンバーのバスに目一杯ドラえもんを描いて(←もちろん著作権はクリアした上で)東京都内を走っても、大丈夫ということになるのだろう。

青森県の条例も同様だから、地方部はこんなもんなんだろうか。(宮城県や仙台市では条例が適用され、規制がある)
「人」っていうのはサンドイッチマンやチンドン屋のことだろうし「動物」もあるし、時代にあっていないようにも思う。

●秋田らしいラッピング
何度かお伝えしていた、秋田市が市民から募集した秋田らしいデザインのラッピングバスを走らせる事業。
先にラッピングを終えた3台は22日にお披露目が行われ、同日から運行している。最終的には6種類、15台が走るらしい。
報道で見たところ、3台はいずれも、中型バスのいすゞエルガミオ(車体の長さは標準サイズか)。
中央交通のラッピングバスは、大型バスでなく中型バスで行われることが圧倒的に多いが、いすゞ製車両の場合は1つ前の型の車両ばかりだったはず。エルガミオにラッピングが施されるのは初めてではないだろうか。

3台のうち1台は、魁の写真では、牛島・ニュータウン御野場経由御所野行きとして走っていたので、秋田営業所所属だと思われる。別の1台を、今日、実際に初めて見たが、そちらは臨海営業所所属だった。
秋田市が広告主だから、まさか五城目や男鹿に配置されることはないだろうから、秋田と臨海に配置されるは当然だけど。

実際に見た感想は、ドア側から見れば他のラッピングバスと同じ印象だし、なかなか目を引くと思う。しかし、告知どおりラッピングはその面だけで、運転席側や後部は普通の緑色の塗装のままなのが、ちょっと寂しい。
写真が撮影できたら、いずれ紹介するつもりです。

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