秋田市の路線バスには、マイクロバスより少し大きい「小型バス(ミニバス)」がある。※ここでは中心市街地循環バス用の日野ポンチョには取り上げないことにします。
1975年に秋田市交通局(秋田市営バス)が、道路整備が遅れて狭い道しかない新興住宅地の足の確保として導入したのがきっかけ。その後車両が更新され、市営バスの段階的民間移管の中、2003年春に小型バス限定路線と小型車両が中央交通へ譲渡された。この前後、中央交通自身でも、同型の小型バスを何台か購入した。※市営バスの小型車について、小型車路線の1つ泉山王環状線について
2010年代になると、小型車が走っていた路線は減便→廃止、あるいは大きなバスで運行できる経路への振替が進んだ。車両は老朽化が進む上、価格が手頃で現場で扱いやすかったという日野リエッセは製造中止になった。秋田市営バスからの譲渡車も含めて、秋田市外の営業所へ転属した小型車もある。【2021年時点では、元市営バスの車が、子会社・秋田中央トランスポート五城目営業所に転属して潟上市などを走っている。】
2018年秋には、築地経由桜ガ丘線が廃止され、秋田市内の小型限定路線が消滅。小型車がどうなるかと思っていたら、秋田営業所に2台が残った。
結局は、中型バスで運行できても、利用が少ない路線や便を小型車が担当することになったようで、愛宕下橋経由雄和線で目撃。しかし、雄和線も2019年春に路線廃止。
あと、秋田駅東口発着の横森経由桜台線に使われることもあったはず。
そんな経緯を経た、今春以降の秋田市内の小型バスの現状。
愛宕下橋経由雄和線の代替の愛宕下橋経由二ツ屋福島線にも使われている可能性があるが、未確認。以前は小型車が使われていなかったはずの、ほかの中型路線にも使われている。
中央交通自社発注の246号車。塗装の緑色が淡いのが特徴。屋根にサビが出ている。
行き先表示(方向幕)は「横森 桜ガ丘」、紙で「大平台三丁目」を出して、秋田駅東口で待機。
つまり、東口発桜ガ丘線、横森・桜ガ丘経由大平台三丁目行きに充当。見かけたのは平日の午後の便。
この路線は狭い道も通るが、市営バス時代も移管後も、ずっと中型車が使われていたはず。
方向幕
※「ガ」が小さいが、桜ガ丘の地名としては大きく表記するのが本来。市営バスの幕でもガが小さい幕も存在したが、下寄りでなく中央に位置していた。
秋田市内用小型車の方向幕は、市営バスからの移管の段階で、自前で新しく作り直したもので、フォントはスーラ。市営バスからの譲受車も、同じものに交換された。
その行き先は、市営バス時代のものを踏襲し(=同内容で書体をスーラにして新たに作成)、中央交通として必要になるコマ(各車庫行きなど)を追加したのかと思っていた。
でも、市営バスでは小型でも中型でも「横森 桜ガ丘」という表示なんてあっただろうか。見た記憶はない。
だからこそ、東口発桜ガ丘線は、単なる「桜ガ丘」を表示していたのだろう。
(再掲)市営バス時代の中型車による東口発横森経由桜ガ丘線
中央交通が気を利かせて「横森」を入れたのが、今になって役に立ったのか知らないけど、ふさわしい表示だ。個人的には「大平台三丁目」より「桜ガ丘」のほうが重要だと思うし。
ただ、それだと廃止された西口発築地経由桜ガ丘線は「築地 桜ガ丘」だったはず。築地経由も横森は通るのだから、そっちにも「横森」を入れないとならなかったのでは?
紙のほうは、終点を表示する必要は分かるけど、どうせなら「大平台三丁目『行き』」とするとか、系統番号は入れるべきでしょう。
もう1つは西口にて。
小田急中古の12-69
幕は「桜ガ丘・梨平」、紙は「城東消防署」。
城東消防署前・桜ガ丘経由梨平行き。中型の明田地下道・横森経由桜ガ丘線・大平台三丁目行きと、小型限定だった築地経由桜ガ丘線・梨平行きの廃止代替である城東消防署経由桜ガ丘線に充当。昨秋の運行開始当初は中型車で運行されていたが、いつの間にか小型化。午後の1往復や駅発17時台に使われていたのを目撃。
やはり系統番号と「城東消防署『経由』」を示してもらったほうが親切でしょうね。
最近来た車だけど、方向幕は他の小型車と共通のようで、市外へ転属した車から外した幕の再利用だろうか。
表示機の枠の造作は、246とは違う
「(空白)桜ガ丘・梨平」。LEDでなくフイルムに印字した方向幕ならではの処理が行われている。
印字済みの一部分を消して、再利用するもので、市営バスを含め各地でたまに行われていた。
廃止路線で使っていた「築地 桜ガ丘・梨平」の「築地」を、新路線への転用に当たって消したということだろうか。にしては余白が広く4文字くらい収まりそうにも見えるけど…
空いたところに「城東消防(署)」を入れると、費用もかかるし、狭くて見づらいから、紙にしたのは分かる。
後部も同じ表示
側面ドア横の表示器も同じサイズで、同じ表示。最初の「横森 桜ガ丘」も、横・後ろとも同じだったと思う。
最後に、市営バス時代の写真。
(再掲)中型車271号車の後部
この時は、西口発明田地下道・横森経由桜ガ丘線、大平台三丁目行き。当時の幕では「秋田駅 明田 桜ガ丘」のはずなのに、設定間違いか故障か、違うコマが表示されてしまっていた。
「秋田駅 明田 桜ガ丘・梨平」。「ガ」が大きい
実際には、梨平まで行くのは、小型車限定の西口発築地経由だけ。明田地下道経由の梨平行きも、中型バスの梨平行きも、実際に運行されたことはなかったはず。(移管後・廃止後には、上記の通り城東消防署経由ながら明田地下道経由梨平行きが中型で運行された)
将来的に路線・系統が設定されることを踏まえていたのか、市営バスにはこういう「無駄なコマ」がいくつか用意されていたようだ。
もし、今の中央交通の小型車にも、このコマが入っていたら、それをそのまま使っても問題なかったかもね。
秋田市内に2台だけ残る小型バス。
まだ使える小型車があるから、とりあえず中型の代走をさせているのかとも思うが、1台とはいえわざわざ中古車を入れたからには違うかも。
あえて小型車を残し、中型路線にあえて小型車を入れることによるメリットがあるのだろうか。中型バスを1~2台少なくできるとか、燃料がいくらか節約できるとか、その程度かな。
今年の秋、五城目方面で一般路線とコミュニティバスを合わせた路線再編が行わるので、その時に変化が生じるかもしれない。
【24日追記】弘南バスの弘前市内の路線では、1990年代後半に日野リエッセを大量導入し、それまで大型・中型バスだけが走っていた路線にも使用。ダウンサイジングが進み(さらに後にマイクロバスも導入)、現在は小型車と中型車が半々くらいの割合になった。当初は小さいバスが来て驚いたものだが、今は当たり前になった。下校時間帯の主要路線に小型車が充てられると、混雑が激しくなってしまうという問題はある。
秋田市では、今さら小型車を大量に確保するのは難しいし、いちおう県庁所在地であり小型では不足する場面も多いはずだから、一般路線バスにおいて、これ以上小型車が増えるということはないと思う。中長期的に人口が激減したり、市街地を小回りするバス路線が新設されたりしない限りは。
【2020年7月24日追記】その後、2019年内に246号車は五城目へ転属。同方面のコミュニティーバスに使われているらしい。
12-69号車は引き続き秋田営業所に残っているらしいが、2020年初夏時点では見る機会がない。また、本文アップ時点で小型車が運用されていた、午後1往復の城東消防署経由桜ガ丘線では、2020年初夏時点で中型車が入っているのを何度か目撃している。
【2021年5月17日追記】2021年春時点では、1269は引き続き秋田営業所在籍。秋田市中心市街地循環バスの代走(この記事前半参照)をしたり、定期的かどうかは不明だが国際教養大学方面の路線に入ったりしている。
【2021年12月30日追記】1269は、2021年に行われた新型コロナウイルスワクチンの、秋田市による集団接種会場へのシャトルバス(秋田駅東口~秋田大学医学部体育館。秋田中央トランスポートとともに受託)にも時折使われた。また、2021年末時点でも国際教養大学方面に入っており、行き先表示に「AEON イオンモール秋田(AEONはロゴでない文字)」のコマが入っているとのこと。中心市街地循環バスは、専用車両の新車が入った(5月17日付追記内のリンク先参照)ため、代走することはほぼなくなった。
1975年に秋田市交通局(秋田市営バス)が、道路整備が遅れて狭い道しかない新興住宅地の足の確保として導入したのがきっかけ。その後車両が更新され、市営バスの段階的民間移管の中、2003年春に小型バス限定路線と小型車両が中央交通へ譲渡された。この前後、中央交通自身でも、同型の小型バスを何台か購入した。※市営バスの小型車について、小型車路線の1つ泉山王環状線について
2010年代になると、小型車が走っていた路線は減便→廃止、あるいは大きなバスで運行できる経路への振替が進んだ。車両は老朽化が進む上、価格が手頃で現場で扱いやすかったという日野リエッセは製造中止になった。秋田市営バスからの譲渡車も含めて、秋田市外の営業所へ転属した小型車もある。【2021年時点では、元市営バスの車が、子会社・秋田中央トランスポート五城目営業所に転属して潟上市などを走っている。】
2018年秋には、築地経由桜ガ丘線が廃止され、秋田市内の小型限定路線が消滅。小型車がどうなるかと思っていたら、秋田営業所に2台が残った。
結局は、中型バスで運行できても、利用が少ない路線や便を小型車が担当することになったようで、愛宕下橋経由雄和線で目撃。しかし、雄和線も2019年春に路線廃止。
あと、秋田駅東口発着の横森経由桜台線に使われることもあったはず。
そんな経緯を経た、今春以降の秋田市内の小型バスの現状。
愛宕下橋経由雄和線の代替の愛宕下橋経由二ツ屋福島線にも使われている可能性があるが、未確認。以前は小型車が使われていなかったはずの、ほかの中型路線にも使われている。
中央交通自社発注の246号車。塗装の緑色が淡いのが特徴。屋根にサビが出ている。
行き先表示(方向幕)は「横森 桜ガ丘」、紙で「大平台三丁目」を出して、秋田駅東口で待機。
つまり、東口発桜ガ丘線、横森・桜ガ丘経由大平台三丁目行きに充当。見かけたのは平日の午後の便。
この路線は狭い道も通るが、市営バス時代も移管後も、ずっと中型車が使われていたはず。
方向幕
※「ガ」が小さいが、桜ガ丘の地名としては大きく表記するのが本来。市営バスの幕でもガが小さい幕も存在したが、下寄りでなく中央に位置していた。
秋田市内用小型車の方向幕は、市営バスからの移管の段階で、自前で新しく作り直したもので、フォントはスーラ。市営バスからの譲受車も、同じものに交換された。
その行き先は、市営バス時代のものを踏襲し(=同内容で書体をスーラにして新たに作成)、中央交通として必要になるコマ(各車庫行きなど)を追加したのかと思っていた。
でも、市営バスでは小型でも中型でも「横森 桜ガ丘」という表示なんてあっただろうか。見た記憶はない。
だからこそ、東口発桜ガ丘線は、単なる「桜ガ丘」を表示していたのだろう。
(再掲)市営バス時代の中型車による東口発横森経由桜ガ丘線
中央交通が気を利かせて「横森」を入れたのが、今になって役に立ったのか知らないけど、ふさわしい表示だ。個人的には「大平台三丁目」より「桜ガ丘」のほうが重要だと思うし。
ただ、それだと廃止された西口発築地経由桜ガ丘線は「築地 桜ガ丘」だったはず。築地経由も横森は通るのだから、そっちにも「横森」を入れないとならなかったのでは?
紙のほうは、終点を表示する必要は分かるけど、どうせなら「大平台三丁目『行き』」とするとか、系統番号は入れるべきでしょう。
もう1つは西口にて。
小田急中古の12-69
幕は「桜ガ丘・梨平」、紙は「城東消防署」。
城東消防署前・桜ガ丘経由梨平行き。中型の明田地下道・横森経由桜ガ丘線・大平台三丁目行きと、小型限定だった築地経由桜ガ丘線・梨平行きの廃止代替である城東消防署経由桜ガ丘線に充当。昨秋の運行開始当初は中型車で運行されていたが、いつの間にか小型化。午後の1往復や駅発17時台に使われていたのを目撃。
やはり系統番号と「城東消防署『経由』」を示してもらったほうが親切でしょうね。
最近来た車だけど、方向幕は他の小型車と共通のようで、市外へ転属した車から外した幕の再利用だろうか。
表示機の枠の造作は、246とは違う
「(空白)桜ガ丘・梨平」。LEDでなくフイルムに印字した方向幕ならではの処理が行われている。
印字済みの一部分を消して、再利用するもので、市営バスを含め各地でたまに行われていた。
廃止路線で使っていた「築地 桜ガ丘・梨平」の「築地」を、新路線への転用に当たって消したということだろうか。にしては余白が広く4文字くらい収まりそうにも見えるけど…
空いたところに「城東消防(署)」を入れると、費用もかかるし、狭くて見づらいから、紙にしたのは分かる。
後部も同じ表示
側面ドア横の表示器も同じサイズで、同じ表示。最初の「横森 桜ガ丘」も、横・後ろとも同じだったと思う。
最後に、市営バス時代の写真。
(再掲)中型車271号車の後部
この時は、西口発明田地下道・横森経由桜ガ丘線、大平台三丁目行き。当時の幕では「秋田駅 明田 桜ガ丘」のはずなのに、設定間違いか故障か、違うコマが表示されてしまっていた。
「秋田駅 明田 桜ガ丘・梨平」。「ガ」が大きい
実際には、梨平まで行くのは、小型車限定の西口発築地経由だけ。明田地下道経由の梨平行きも、中型バスの梨平行きも、実際に運行されたことはなかったはず。(移管後・廃止後には、上記の通り城東消防署経由ながら明田地下道経由梨平行きが中型で運行された)
将来的に路線・系統が設定されることを踏まえていたのか、市営バスにはこういう「無駄なコマ」がいくつか用意されていたようだ。
もし、今の中央交通の小型車にも、このコマが入っていたら、それをそのまま使っても問題なかったかもね。
秋田市内に2台だけ残る小型バス。
まだ使える小型車があるから、とりあえず中型の代走をさせているのかとも思うが、1台とはいえわざわざ中古車を入れたからには違うかも。
あえて小型車を残し、中型路線にあえて小型車を入れることによるメリットがあるのだろうか。中型バスを1~2台少なくできるとか、燃料がいくらか節約できるとか、その程度かな。
今年の秋、五城目方面で一般路線とコミュニティバスを合わせた路線再編が行わるので、その時に変化が生じるかもしれない。
【24日追記】弘南バスの弘前市内の路線では、1990年代後半に日野リエッセを大量導入し、それまで大型・中型バスだけが走っていた路線にも使用。ダウンサイジングが進み(さらに後にマイクロバスも導入)、現在は小型車と中型車が半々くらいの割合になった。当初は小さいバスが来て驚いたものだが、今は当たり前になった。下校時間帯の主要路線に小型車が充てられると、混雑が激しくなってしまうという問題はある。
秋田市では、今さら小型車を大量に確保するのは難しいし、いちおう県庁所在地であり小型では不足する場面も多いはずだから、一般路線バスにおいて、これ以上小型車が増えるということはないと思う。中長期的に人口が激減したり、市街地を小回りするバス路線が新設されたりしない限りは。
【2020年7月24日追記】その後、2019年内に246号車は五城目へ転属。同方面のコミュニティーバスに使われているらしい。
12-69号車は引き続き秋田営業所に残っているらしいが、2020年初夏時点では見る機会がない。また、本文アップ時点で小型車が運用されていた、午後1往復の城東消防署経由桜ガ丘線では、2020年初夏時点で中型車が入っているのを何度か目撃している。
【2021年5月17日追記】2021年春時点では、1269は引き続き秋田営業所在籍。秋田市中心市街地循環バスの代走(この記事前半参照)をしたり、定期的かどうかは不明だが国際教養大学方面の路線に入ったりしている。
【2021年12月30日追記】1269は、2021年に行われた新型コロナウイルスワクチンの、秋田市による集団接種会場へのシャトルバス(秋田駅東口~秋田大学医学部体育館。秋田中央トランスポートとともに受託)にも時折使われた。また、2021年末時点でも国際教養大学方面に入っており、行き先表示に「AEON イオンモール秋田(AEONはロゴでない文字)」のコマが入っているとのこと。中心市街地循環バスは、専用車両の新車が入った(5月17日付追記内のリンク先参照)ため、代走することはほぼなくなった。
バスプールもそんなにとれないらしいし。
豊岩方面など西部地区マイタウンバスの運行開始時には、この車も使われていたのですが、後に中型車(短尺を含む)ばかりになったという経歴はあります。
最近、秋田営業所配置の小型車がよく平日ダイヤの一部路線で出向き運用する機会が増えつつありますが、一方の土日祝ダイヤならびこれからあるであろう特別ダイヤ(お盆、年末年始期間)の時には、一台も使われる事もなく、全て本来と同じく中型車で使われていますが、土日祝ダイヤでも一部の中型車が担当する路線で、小型車が使われたら、いいではないでしょうか?
後、小型車で思い出しましたが、同じ東方面の路線である赤沼線の「大学病院・南団地・駅東口」ならび「○○・大川反車庫」行きでは、以前から小型車が使われていなかったが、小型車が手形経由の路線には使われないでしょうか?
あと、愛宕下橋経由の福島行きですが、恐らくベース路線(有楽町経由)と同じく中型車が使われていると思います。
長文・乱文、失礼しました。
休日も運行される東口発着桜ガ丘線辺りなら、土日に使われてもおかしくはないですよね。ということは、基本的には中型車を使いたいけれど、平日は中型が不足するため、やむなく小型を使っているということなのでしょうか。中型の代走という感じで。
赤沼線はそこそこ利用客がいて、小型では立ち客が出そうなこと、広面御所野線用の車両の東口~車庫間の回送を兼ねているので、小型ではやはり小さいのでしょう。ただ、現状では車庫・西口~東口での回送がけっこうあるようで、ちょっともったいない感じもします。
改正後の愛宕下橋経由を見る機会がないですが、以前の雄和線より時間帯が早くなっていましたね。行路としてつなげづらいかもしれません。