広く浅く

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歴代秋田市民歌を聴こう

2010-04-30 20:25:10 | 秋田のいろいろ
昨年末、秋田市には市民歌などの「市の歌」がたくさんあることを記事にした。
その後、秋田市役所に「結局のところ、今はどれが秋田市の歌なの?」と問い合わせたところ、「『秋田市記念市民歌』が公式な市民歌であると位置づけられている」との回答だった。やはり「♪花かおる千秋の園」が今の秋田市の歌であるようだ。
ただし、過去の歌も、「廃止されたものではなく、現在も周年行事等で歌い継ぐなどして継承している」ということだった。

秋田市からの回答はとても丁寧で、教えてと要求したわけではなかったのだが、行間を読み取ってくれたのか、過去の市民歌すべてを教えてくれた。
前回の記事における、僕の過去の広報紙での調査では分からなかった点(戦前から終戦直後など)もあったので、以下にご紹介する。
 1.「秋田市民歌」詞 土井晩翠・曲 山田耕筰(1928年・市制40周年記念)
 2.「秋田市民歌」詞 岡としみ・曲 露木次男(1949年・市制60周年記念)
 3.「秋田市民歌」詞 大木惇夫・曲 深井史郎(1953年・建都350年記念)
 4.「秋田市民のうた」詞 秋田市民のうた作詞委員会・曲 秋田市民のうた作曲委員会(1960年)
ほかにも、前回触れた市制100周年記念の「秋田・ロマンス」のような存在として「秋田市民小唄」(市制60周年)や「秋田市賛歌」(市制80周年)などがつくられたとのことだった。

前回の記事で紹介したのは、上記3・4番目だったが、それ以前に2つの市民歌があったそうだ。最初の歌は、作詞者・作曲者が豪華。どんな歌だったのだろう。
2番目の歌の作詞者については分からなかったが、作曲者は校歌や民謡に関連した人らしい。本荘辺りの人かも?【2015年8月25日追記】同日付秋田魁新報によれば露木次男氏は「元秋田大学助教授」。
※3番目と4番目の歌については、前回の記事参照。

そして「小唄」や「賛歌」まで存在したのには驚いた。
小唄は分からなかったが、賛歌の方は広報あきたバックナンバーに情報があった。
1969年に市制80周年記念として、「秋田市賛歌」さらには「市民音頭」の2つの歌詞を公募したようだ。
「賛歌」は「秋田市民として生きることの喜びと郷土の誇りをたたえ、市政八十年の歴史を顧みて将来への限りない希望を歌った歌唱形式のもの。」という趣旨で、田沢湖町(現仙北市田沢湖)の人の詞が選ばれ、秋田出身の作曲家・小野崎孝輔氏が作曲している。歌詞は「♪果てしなき空の青さに/秋田市の希望ははずむ 」で始まり、「たたえようわが市のすがた」「たたえようわが市のゆくて」というところが「賛歌」か。

「音頭」の方は「健康で明るく住みよい秋田市建設の誓いを、市民ひとりひとりが自覚し決意を示すもので、音頭形式による軽快で踊りに適したもの。」という趣旨で大町の人の歌詞を採用。「サァサ輪になれ輪になっておどれ/音頭太鼓の音頭太鼓の果てるまで 」といったサビが「音頭」らしく、「しなう竿灯」「海へ続いた黄金の波」「おばこきりりと蕗そだち」といった秋田らしいフレーズが散りばめられている。
どの歌も興味深い。きっと、当時の世相や秋田市の姿を映しているのだろう。聞いてみたい。


また、市へ問い合わせた際、市民歌類の譜面や音声を秋田市公式サイトへ掲載(過去のものも含めて)してはどうかと提案したところ、市側もとても前向きな印象を回答文から感じた。
で、それっきり忘れていたが…

最近、秋田市のホームページを見ていると、
秋田市トップ>市政・まちづくり>市の沿革(http://www.city.akita.akita.jp/benri/01annai/03_4.htm)というページがあり、前は沿革や市章・花・木について記載があったが、2月22日付けで更新されていて、一番下に
  市民歌のコーナーができていた!
PDFファイルの譜面・歌詞のほか、音声データも掲載され、なんと過去の市民歌や合併前の旧河辺・雄和両町民歌についても譜面が掲載され、大部分は音声も載っている!
これは素晴らしい!

音声データは現行の「秋田市記念市民歌(1979年)」と過去の秋田市の3曲(上記1、2、4番)の計4曲がアップされている。
昨年7月の秋田市制120周年記念式典における、市内の小中高校生の合唱(ピアノ伴奏)による、歴代市民歌メドレーの録音から切り出した、WMA形式のファイル。
僕のMacでは、FirefoxとGoogle Chromeではブラウザ上で再生できたが、OS標準のブラウザ、Safariでは再生できなかった。Windowsも含めて、環境によってはプラグインのインストールや設定変更等が必要な場合がありそう。

秋田市役所のサイト内に音声ファイルが掲載されることは、とても珍しいと思う。そしてたまたま前年に録音したデータがあったとはいえ、僕が提案してから2か月弱で編集・アップしてくれて迅速。市民の提案を早期に実現してくれてうれしい。

さっそく音声を聞いてみた。
一部で(記念式典の)観客の声や物音が入るのは仕方ないし、左側スピーカーが無音(右にしか音が入ってない)なのはご愛嬌としても、とにかく貴重な音源だ。

まずは現行の「秋田市記念市民歌」。メドレーのためか3番がカットされている(他の歌は1番のみ)。聞くのは20年ぶりくらいじゃないだろうか。というか、ちゃんとした合唱を聴くのは初めてかも。
思っていたより、テンポがやや遅めで、流れるような歌い方(もっと歯切れ良く歌った方がいいと感じた)だが、たしかにこのメロディ。ほんとうに懐かしい。
僕と同世代で秋田市立の小学校に通っていた人には、きっと懐かしく、当時の記憶がよみがえるはず。

過去の歌も聴いてみた。
1番の1928(昭和3)年の歌。4番まであり、1番は「♪戊辰のむかし勤王の」で始まり、「勤めよ栄えよ、ああわが市民」で結ぶ(2番以降も)。
土井晩翠・山田耕筰作だけに(?)格調高い。歌い出しのメロディになんとなく聞き覚えがあるような…

2番の1949(昭和24)年の歌。3番まであり「♪太平の緑の起伏/千秋の桜は薫る」で始まり、一昔前のどこかの学校の校歌みたいな内容。結びは「伸びよ栄えよ」と、戦後の復興を祈っているのだろうか。
メロディがユニーク(に感じた。音楽の知識はありませんが)で、「あ・き・た・し・はー/へ・い・わ・の・みーやーこ」と小気味よくて、好き。8分音符と8分休符が交互に並んでいるようだ。伴奏も軽快。

そして4番目。僕が秋田市民歌を調べるきっかけになった「羽越奥羽の交わるところ」の歌詞がある1960(昭和35)年の「秋田市民のうた」だ。歌い出しは「♪朝太平の峰に明け」。
最初は音符がびっしりで、中盤以降は比較的まばらな楽譜だったが、うまくまとまりすぎてあまり特徴のある曲ではないような気がしなくもない(あくまで個人的見解です)。歌詞は力強く、秋田市の風物を散りばめて印象的だけど。


ところで、最近配られた5月1日付「あきた市議会だよりNo.138」に、2月定例市議会の主な質問とその答弁が載っていた。
その1つに、
 秋田市記念市民歌の普及啓発を
秋田市記念市民歌を市民歌としてどのように認識していますか。また、市の行事等で歌う機会を増やすとともに、小中学校においても周知を図るべきではありませんか。」という質問が。対する答弁は、
市民歌は、郷土愛や連帯感を醸成し、絆を再確認する動機付けの一つと考えており、秋田記念市民歌は、公式の市民歌と位置付けています。現在、市の記念日式典等で斉唱しているほか、ホームページでも紹介していますが、小中学校では斉唱する機会が少なかったことから、今後は市民歌の意義や制作背景などを子どもたちに伝え、広く親しまれるようさまざまな機会にPRしていきます。

これって、僕の問い合わせや提案に似てませんか? それを下敷きに上手くまとめた質問と回答のような気がするのは僕だけ?
市議会の仕組みなんかまったく知らないが、このギインさんが、たまたま僕と同時期に僕と似た疑問や意見を持ったのかもしれない。だったらいいのだが、
もしかしたら、そのギインが当ブログをご覧になったのか、あるいは市当局から「市民からこんな要望があったので質問にしてはどうでしょう」と提案というか打診があったのかもしれない。どうでもいいけど…言っていることはごもっとだし。


ともかく、秋田市に縁のある方には、懐かしく思えるページだと思う。連休中にでもご覧・お聞きになってはいかがでしょうか。

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