たびびと

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ナイトクラブでの稼ぎ方

2012年04月26日 | ホンジュラスの風
話をしていて女性と意気投合することがある。フィーリングがあうことがある。
男性もそうだが、女性はその客から離れたくない。

どうなるのだろうか。

飲み物を注文しなくても、ずっと一緒に時間を過ごす。
あるいは、男性のふところぐあいを探り、最初の一杯だけ。それ以上を要求しない。

「私、のどが渇いたの。男性料金の10レンピーラでいいから、飲み物を頼んでいいかしら?」
かわいいお願いをされることもある。




強者(つわもの)の友人がいた。新庄くんだ。
彼は思ったことをハッキリ言う。ホンジュラスで生活していても自分の主張を曲げない。文化、慣習の違いをものともせず、時間にルーズなホンジュラス人を厳しく批判する。容赦しない。

そんな彼とナイトクラブで話をしているとき、彼は少し酔っぱらい顔を赤らめながら言った。
「どうせ女性にドリンクおごったところで、彼女の取り分はほんの少しや。だったら女性に直接チップ払った方が喜ぶんとちゃうか」
流暢な大阪弁だった。

確かに、お店の取り分の方が、女性の手にわたるお金よりはるかに大きい。

彼は思いたったら即実行するタイプ
その日は2人でずっと話をしていたが、彼は、すぐに手まねきをして、女性を呼ぶ。

2人の女性がやってきて向かいに座る。
「こんばんは」

会話が進むこと5分、女性が飲み物を頼んでいいか聞いてきた。

新庄が言った。
「今日、あんまりお金持ってきてないんや。飲み物を注文することはできんけど、これとっといてや」
今度は、大阪弁ではなく流れるような(とはいいがたい)スペイン語だった。

彼は30レンピーラほどを一人の女性に差し出す。

女性はどうしただろうか。

「ありがとう。でも、受け取れない」
何と、彼は断れられた。

お店で現金を受け取ることが禁止されているのだろうか。
あるいは、何もサービスをしていないので抵抗があるのだろうか。
ただ単にお金をもらうことが恥ずかしいからか。

女性の真理はわからない。

機嫌を損ねた彼がぼやいた。
「なんでやねん。人の好意を無駄にしよって」
「……」

これは日本語だった。

彼は、その女性に対して、お金を受け取らない理由を追及することはしなかった。
そして、半分ほど残っていたビールをグビグヒと一気に飲みほした。



もう一つ、女性がお金を稼ぐ方法がある。それは店外デート。
ナイトクラブのオーナーが、細かなことまで全て教えてくれた。

デートに関しては、あくまで女性に最終決定権がある。
お店は女性に男性客とのデートを強要できない。また、どんなに男性が頼んでも、女性が気に入らない男性だと、いくら誘っても、「Si (Yes) 」 の回答は帰ってこない。

お金をたくさん積むとどうなるのか。
生理的に、ダメなものはダメな場合が多いようだ。

意気投合し、女性がデート了承。
さて、どうなるのだろう。

お金を払わなければならない。
お店に支払う金額は150レンピーラ。
女性が、500レンピーラを要求してきたら、350レンピーラが女性のふところに入る。

男性とのフィーリングによって、この価格が上下する。要するに、気に入った男性だと、価格が下がる。
ときにはディスカウントも頼めるようだ。

早い時間帯だと、2時間でお店にもどらねばならない。
閉店間際だと、もうお店には帰らなくてもいい。
店外で何をするかは、女性しだいだ。食事、ドライブ…




ナイトクラブのお客さんはふつうの人が多い。お酒好きな人が気軽に入る。
店内で巡回先の学校の先生ともよく会った。

「何やってんだこんなところで」
お互い指差しながら、大笑いをする。

奥さんに、ナイトクラブに出入りしていることがばれると、さすがに先生たちは出入りを控える。

「今晩一緒にお酒どもどう?」
研修会の後に質問する。

「いやー、実はこの前、家の女房が…」
断られるのだ。

生徒の父親とはちあわせすることがあるようだが、それはあまり気にしていないようだ。




カンペシーノと呼ばれる客もいる。
彼らは何者か。
街の中心街から遠く離れた、本当の田舎に住んでいる人たちだ。
彼らは、女性の踊りが始まると、くいいるような目つきで女性を見入る。だからすぐわかる。
服のセンスも一般市民とは雰囲気が異なる。言葉はよくないが、かっこよくない。
でっかいマチェタ呼ばれるサーベルをベルトにひっかけている。雑草刈りなど、あらゆる野良仕事に使われる彼らの必需品だ。




簡単に概要を説明したが、ここはラテンアメリカ。決まりはあってないようなもの。

入場するときに男性がいない。
飲み物を頼んだが料金の請求がない。
閉店後、女性と自由に散歩に…

一番苦労するのはオーナー。
管理が大変なのは、飲み物の売り上げ代金だ。従業員が、間違いなく客から集金できていれば問題ない。しかし、客とトラブルはよくおこる。

よく聞こえてくる客のセリフ。
「おれはビール3本も飲んでねえぞ…」

売り上げを自分のポケットに入れてしまうボーイさんもいて、しっかりと見張らなければ、すぐに赤字になってしまうとのこと。

「もうかっているように見えるかもしれないけど、そんなことはないんだよ」
ナイトクラブオーナーのビクトルは何回もこの言葉を繰り返した。


多くの方に楽しい旅をしていただければと思います。
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