たびびと

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小学生の思い出

2012年04月02日 | こころの旅
小学校から帰ると、よく、2階の自分の部屋から遠くの景色を眺めていた。

芝生と桑の木が広がっている。先には、小さな通りとたくさんの家。自分が通っていた小学校が見えた。

この光景を見ながら不安になる。
人の動きがないと、まるで、自分がこの世界で一人ぼっちになってしまったかのような不思議な感覚に包まれるからだ。

「もしかして、この世界にいるのは自分だけではないのか」

じっと景色を眺めていると、通りに車が通る。

「ああ、他にも生きている人がいるんだ」

安心した。

学校にいても、どこか、他の人とは違った感性を持っていた。

ある日のこと。
成績の低い、何をやってもうまくできない、一人のクラスメートを見ていた。

「彼は、あんなに勉強ができないで、この先、どうやって生きていくのだろう」

そのクラスメートのことを考えると、とてもせつなくなり、心配になるのだ。

こんなぼくは、物静かな小学生だったのだろうか。

逆である。

人一倍活発だった。
バスは必ず一番前の席、リレーの選手になりたい、50m走は一番のタイムを出したい、ソフトボールはレギュラーになりたい…
普通の子どもより、何倍も勝ち気だった。

そして、勉強ができた。
成績はクラスで1位か2位。

でも、授業はまじめに聞かなかった。落ち着きがなかった。
授業中、先生の話には集中せず、隣の女の子をシャーペンでつついたりして、毎日いたずらをしていた。

圧巻だったのは、小学校連合音楽発表会のときのこと。
ぼくの学校は最前列に位置していた。その中でも、ぼくの座席は一番前。特等席だ。
各学校が次々と合唱を発表していく。

舞台の上に自動で出入りするマイクがあった。
このマイクの動きに大興奮した。
席を立ちあがり、そのマイクに近づく。
何回も何回も。
これまた落ち着きのない態度。

しばらくすると、後方にいた校長先生が前方までやってきて、大激怒した。
「きちんと座っていなさい。君は何年何組だ」
普段にこにことおだやかな校長先生の顔は、こわばり、真っ赤になっていた。

翌日のこと。
朝の会でいきなり先生が言った。
「昨日発表会に行った○○、前に出てきなさい」

全員の前で、先生にこっぴどく怒られた。
何度もビンタをされた。
50代の女性の先生は泣いていた。泣きながら怒っていた。

そして、職員室前に立たされた。
その後、校長室前にも立たされた。
長時間の残り掃除をやらされた。
職員室、校長室前の廊下を何往復となく雑巾がけをした。