Sketch of the Day

This is Takeshi Kinoshita's weblog.

「けやきひろば」再考

2006-06-22 | Japan
Monday, Jun 19, 2006
■ 「公園計画論」講義第8回目
「都市公園という制度:“公園ゴミ箱論”試論」の続きと「パストラリズムにみる機能と形態の関係」の途中まで。 なぜ、公園には芝生と樹木があるのか? 日本庭園においてはシバは決してメジャーな材料ではなかった。
■ 研究室卒論ゼミ
けやきひろばをめぐっては、伝統的造園技術的な観点からありゃダメだ(特にケヤキの植栽)とする意見が根強くある。御大(P.ウォーカー)は当初現行のグリッドよりももっと小さなグリッドパターン(さらに狭い植栽間隔)を考えていたらしい。それに対して日本側のパートナーがそんな間隔じゃ狭すぎると。。。結果はその中間をとって現行サイズとなった。それはともかく、「人工地盤上にあんな大量のしかもあんな狭い間隔でケヤキを植栽するのは間違いである」とする立場は、言ってみれば樹木という素材の記号的形態を重視してデザインする考え方に異を唱える立場と言える。(詳しくは小池孝幸「時間のエンジニアリング 樹木のマテリアリティと植栽のモダニティ」,『ランドスケープ批評宣言』所収 参照)これは、植物は自然素材であるがゆえに、そういう植物の用い方はやめるべきだ、とする、非常に「オーソドックス」な考え方である。

僕自身はと言えば、正直に申し上げて「けやきひろば」はあまり好きなデザインではない(これは好き嫌いの問題である)。しかし、そういう問題以前に、この物件にはデザインの考え方、エンジニアリング等の面で注目すべき点が多々あることは間違いない(『ランドスケープ批評宣言』を読め!)。若いんだからさ、はなから「ありゃダメ」と決めつける前にいろんな複眼的な見方があることを勉強しといたほうがイイゾ。そのうえで自らの判断を下せ>>学生! ボクだってあそこあんまり好きじゃないのに、「ありゃオカシイ」と決めつけるヤツを見ると妙に腹が立つのはなぜなんだろうか? 不思議だ。たぶん「デザインの可能性」を信じたいんだろうな。あるいは、固定的な見方に縛られて、自己を絶対化しようとするその態度に腹が立つんだろうな。造園って多いんだよ意外とそういうヤツが(別名「サトヤマくん(ちゃん)」ともいう)。

Wednesday, Jun 21, 2006
■ 早稲田大学芸術学校都市デザイン科「公園緑地計画」講義
公園における芝生と樹木という組み合わせが,西洋(牧畜文化圏=パストラリズム)起源の風景モデルであることを解説。モンスーン/稲作文化圏の風景モデルの可能性、日本庭園の近代化について。
■ 巣鴨まちづくり,多摩川植生調査等諸々の打合せ
久しぶりにツジノさん(修景社)におじゃまし、諸々の打合せ。

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2 コメント

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Unknown (スコどの)
2006-07-18 23:36:11
ごぶさたです。先日は突然だったんでビックリしました。

トシカンはオープンですから、これからもいつでも

好きな時に覗いてみてくださいな。



林学は造園学の「父」(母か?)ですから、

そういう意味ではとても興味深い分野だと思います。

がんばってください。



さて、けやきひろば。

僕はなんというか、「A」と決めつけてかかるヤツには

「B」だろ、と反論するし、「B」と決めつけてかかるヤツには

「A」だぜ、と反論してみるんです。

一見、節操なく見えるかもしれませんが、

これはそういうことではなくて、

A or B?という自問自答をまずは自らやってほしいからです。

そのうえで、「A」と判断するも「B」を選ぶも

個々人の考え方を尊重します。

でもA or B?をやらずに、わかったような顔をしてAだ、Bだと

決めつけてかかると、往々にして足をすくわれる(ことが多い)。

逆にA or B?のところで悩んで止まってしまうと、

これまただめで、もちろんだれも完全な答えなんて

わからないんだけど、自分なりに最大限確信できる答えを

用意できる(努力できる)のがプロなんじゃないでしょうか。

デザインの議論(デザインに限りませんが)というのは

詰まるところ正解はないので、

こういう思考(自問自答)のプロセスは大事だと思います。

ということでひとまず



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その節は・・ (山田)
2006-07-14 17:59:28
その節は突然お邪魔し、失礼しました。

先生とお話できず残念でした。忙しくされているようで、体調にはお気をつけください。



さて、私の近況を。

夏学期は森林の勉強をしていました。砂防や林政を主に勉強していましたが、ついていくのに必死でした・・。

夏休みを目前にし、今一度自分の分野を見つめ直しました。私には造園が向いているんだと思います。中にいて見えなかったこと、見えてきました。そこでトシカンの先生の話が聞きたくなったのでした。

とても勉強になりました。ありがとうございました。



そろそろ本題・ケヤキ広場の植栽間隔について。

私はケヤキの生理について詳しく(適切な植栽間隔が8mなのか12mなのか等)知らず、身の回りで見るケヤキはもっと大きいような、という感覚です。

あの設計は、建築の柱のピッチと同じピッチでケヤキが植栽されていて、ガラス越しに透ける建築内部と広場の、リズムというか空間のベースというか・・(うまく表現できませんが)が共通しているのは面白いと思います。安易な言葉で言うなら「建築内部と広場とのつながり」が感じられて、とでも言うのでしょうか。

ディテールについては好きじゃないものもありますが、考え方としてはとても面白いと思います。

でも分からないことがたくさんあって、私は自分の意見が決められないのでしょう。いいと思うこともあるし、好きじゃないこともあるし、違うと思うこともあるし、そして分からないことがあって、気付かないことがたくさんあるんだろうな、と思います。

先生から見て、私がどう見えるのか分かりませんが、私は、自分では悩みながら迷いながら考えているつもりです。



私のこういう姿勢がいいのかどうか分かりませんが、きっとこれからも変わらず悩み続けていくんだと思います。

「物事を推進する」という意味では力の足らない人材かもしれません。でも「物事に真摯に向き合う」という意味では、まじめな人材なんだと思います。



「こういう学生もいて、同様に若いのに決めつけてかかる人は信用できないなぁと思っている」伝えてどうなることか分かりませんが・・。先生の熱さに応えてみたくなったもので。

くれぐれもご自愛ください。ますますのご活躍、お祈りしております。東京がもう少し暮らしやすくなりますように・・。

山田



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