きらきらと浜昼顔が先んじぬ 汀 女
夏の海の、灼けつくような砂浜。淡紅色の浜昼顔が、萎れもせずに咲いている。
いかにも鄙びた慎ましやかな花ではあるが、また言い知れぬ生命の力強さを感じさせる花である。
月見草の花が、日盛りには意気地なく萎れて、醜い姿をさらしている。葉までもが、だらんと垂れて、まるで叱られているセントバーナード犬。
それにひきかえ、浜昼顔ばかりは、どんな暑い日差しにも、浜辺へ来る人々を、さり気なく持てなす術を忘れてはいない。
はまひるがほ空が帽子におりて来て 展 宏
浜昼顔は、きっと生え抜きの浜っ子なのであろう。つんつるてんの単衣絣に縄の帯を締め、尻切れ草履をつっかけて、一日中、棒っ切れを持ってトンボを追いかけて暮らす悪戯小僧。浜昼顔の良さは、これである。
大汐や昼顔砂にしがみつき 一 茶
海岸の砂地に自生するヒルガオ科の蔓性多年草が、浜昼顔である。地下茎が砂の中に、地上茎が砂の上を這い、葉は丸みを帯びて厚く光沢がある。
五~六月ごろ、葉腋に長い柄を出し、その先に昼顔に似た、淡紅色の小さい花をつける。一茶の句のように、ただ“昼顔”とも言っている。
昼顔や舟ながれ来て網打てる 稚 魚
とか
昼顔や捨章魚壺のたまり水 野風呂
の句にあるとおり、磯の香がムンムンするありのままの漁村の眺めこそ、浜昼顔が所を得たものといえよう。
妻恋ふや浜ひるがほを褥とし 欣 一
ときに浜昼顔は、広い範囲に群生する。その群生する浜昼顔を褥(しとね)として、妻を恋いながら、ひとり寝そべっているわびしさを、すさまじいまでに感じさせてくれる。
浜昼顔かなしみはみな砂が吸ふ 季 己
夏の海の、灼けつくような砂浜。淡紅色の浜昼顔が、萎れもせずに咲いている。
いかにも鄙びた慎ましやかな花ではあるが、また言い知れぬ生命の力強さを感じさせる花である。
月見草の花が、日盛りには意気地なく萎れて、醜い姿をさらしている。葉までもが、だらんと垂れて、まるで叱られているセントバーナード犬。
それにひきかえ、浜昼顔ばかりは、どんな暑い日差しにも、浜辺へ来る人々を、さり気なく持てなす術を忘れてはいない。
はまひるがほ空が帽子におりて来て 展 宏
浜昼顔は、きっと生え抜きの浜っ子なのであろう。つんつるてんの単衣絣に縄の帯を締め、尻切れ草履をつっかけて、一日中、棒っ切れを持ってトンボを追いかけて暮らす悪戯小僧。浜昼顔の良さは、これである。
大汐や昼顔砂にしがみつき 一 茶
海岸の砂地に自生するヒルガオ科の蔓性多年草が、浜昼顔である。地下茎が砂の中に、地上茎が砂の上を這い、葉は丸みを帯びて厚く光沢がある。
五~六月ごろ、葉腋に長い柄を出し、その先に昼顔に似た、淡紅色の小さい花をつける。一茶の句のように、ただ“昼顔”とも言っている。
昼顔や舟ながれ来て網打てる 稚 魚
とか
昼顔や捨章魚壺のたまり水 野風呂
の句にあるとおり、磯の香がムンムンするありのままの漁村の眺めこそ、浜昼顔が所を得たものといえよう。
妻恋ふや浜ひるがほを褥とし 欣 一
ときに浜昼顔は、広い範囲に群生する。その群生する浜昼顔を褥(しとね)として、妻を恋いながら、ひとり寝そべっているわびしさを、すさまじいまでに感じさせてくれる。
浜昼顔かなしみはみな砂が吸ふ 季 己