壺中日月

空っぽな頭で、感じたこと、気づいたことを、気ままに……

遣らずの雨

2009年07月09日 20時28分32秒 | Weblog
 失業してしまった。というのは冗談で、外国人のための「日本語サロン」で、2週つづけてあぶれてしまった。
 「日本語サロン」(昼間)は、毎週水曜日、午後2時から4時まで行なわれている。
 先週は、出席者が二人に対しボランティア七人、今週は、出席者が四人でボランティア七人。というわけで、2週つづけてあぶれてしまったのだ。
 そこで、貧乏性の変人は昨夜から、夜間の「日本語サロン」でもボランティアをすることにした。
 こちらは毎週水曜日、午後7時から9時まで開かれている。勤め帰り、学校帰りの外国人たちで、夜間の「日本語サロン」は大盛況。
 最近、転居のためボランティアさんが二人やめたため、変人の参加をみな喜んでくれた。昼間のサロンで担当した方が4名、見受けられたのもうれしい。

 昨夜担当した方は、みな日本語検定1級・2級を目指す方で、かなり日本語を理解されている。ただ、日本語検定は筆記試験とヒアリングのみなので、会話力をつけたくて参加される方が多いようだ。
 中国人女性のMさんはつくづく言う「日本語むずかしいです」と。Mさんは、中国で日本語を学び、中国で日本語検定2級に合格している。
 日本人と再婚し、昨年、日本語検定1級を受けたが不合格だったので、今年の12月の検定では、なんとしても1級に合格したいらしい。
 Mさんは、日本語の読み方はよく分からないが、意味は分かるという。だから、新聞もよく読んでいるとのこと。
 そのMさんでも困るのが、文字は同じでも意味が違うことばがかなりあるということ。
 たとえば「手紙」。日本語では「他人に送る文書・書簡」ということだが、中国語では「トイレットペーパー」になってしまう。
 「愛人」は、中国語では「自分の妻」、つまり「奥さん」だが、日本語では、「恋人・情婦」、つまり「奥さん以外の女性」ということだ。

 ところで、日本人にとっても日本語は難しい。
 昨日、昼の日本語サロンであぶれたおかげで、銀座の画廊へ行くことが出来た。『美齊津 匠一 展』(画廊・宮坂)である。努力の跡、いや、修業の成果が非常によくあらわれている。一例を挙げれば、白の使い方が実にうまくなった、といったら失礼だろうか。
 このまま心を磨き、より単純化を目指したなら、平成の「クマガイ・モリカズ」になるだろう。
 こんな事を思いながら拝見した後、雑談を始めたのだ、いつものように。
 そのとき話題になったのが「遣らずの雨」とは、どんな雨なのか、また「遣らずぼったくり」と何か関係があるのか、ということ。
 聞かれた変人は、真顔で答えた。「《遣らずぼったくり》は、エッチなことをさせるそぶりを見せて、大金を巻き上げること。それと同じように、降りそうで降らない雨を《遣らずの雨》という」と。

 「遣らずぼったくり」はさておき、「遣らずの雨」は、もちろん大ウソ。「遣る」は、人を遣る、人を行かせるということなので、「遣らずの雨」は、客人を帰さないためであるかのように降ってくる雨をいう。つまり、客が帰ろうとすると、とつぜん降り出したり、強く降ったりする雨のことである。
 アルコール&女性過敏症の変人には分からないが、「愛人」のところへ行った場合を考えればよいのではないか。
 「まだ帰っちゃいや。もう少し雨が小降りになってから…、ううん、雨がやんでから、いいでしょ……」
 一度でいいから、「遣らずの雨」に出逢ってみたい!!


      風鈴の五百 池上本門寺     季 己