壺中日月

空っぽな頭で、感じたこと、気づいたことを、気ままに……

七月三十日

2009年07月30日 20時41分14秒 | Weblog
        幻談に燭して修す露伴の忌     鶏 二

 きょう七月三十日は「露伴忌」、つまり、明治・大正・昭和三代の文豪、幸田露伴の忌日である。
 露伴は本名「成行」、別に蝸牛庵とも号した。小説『五重塔』『運命』『連環記』その他名作が多く、史伝・随筆・考証などの著述も多い。俳句関係では『俳諧七部集評釈』が有名。昭和二十二年この日没、八十歳。

 おもしろい?ことに、明治天皇が明治45年(1912)、歌人で小説家の伊藤左千夫が大正2年(1913)、小説家の谷崎潤一郎が昭和40年(1965)の、それぞれ7月30日に亡くなっている。
 7月30日と、忌日を同じくするこれらの人物を、『広辞苑』ではどう書いているか、覗いてみた。

 【明治天皇】近代の天皇。名は睦仁(むつひと)。幼名、祐宮(さちのみや)。孝明天皇の第2皇子。生母は中山慶子(よしこ)。慶応3年(1867)1月9日践阼。同年12月天皇の名により王政復古の大号令を出す。翌年「五箇条のご誓文」を宣布、明治と改元。江戸を東京と改めて遷都。その治世下に、廃藩置県・憲法発布・議会招集・教育勅語発布など万般の新制が定められ、近代化が進められた。また、台湾出兵・日清戦争・日露戦争・韓国併合などの対外膨張も行われた。和歌をよくした。陵墓は伏見桃山陵。

 【伊藤左千夫】歌人。名は幸次郎。上総(千葉県)生れ1900年正岡子規の門に入る。子規没後、「馬酔木(あしび)」「アララギ」などを発刊し、その写生主義を強調。歌風は万葉風。門下に赤彦・茂吉などを出し、写生文の小説にも長じた。歌集・歌論集のほか、小説「野菊の墓」など。

 【谷崎潤一郎】小説家・劇作家。東京生れ。東大中退。第2次「新思潮」同人。「刺青(しせい)」「少年」など、耽美と背徳の空想的な世界を華麗に描いたが、大正後期から日本的な伝統美に傾倒し、王朝文学の息吹きを現代に生かした新しい境地を拓いた。作「蓼喰ふ虫」「春琴抄」「細雪」「少将滋幹の母」など。文化勲章。

 と、ここまできたところで、電池が切れてしまった。実は、『広辞苑』といっても電子辞書の『広辞苑』を使っていたのだ。こういう事態になると、やはり書籍版がいいと思うのだが、日常、鞄に入れておくには……。


      四人(よったり)の忌日がそろふ極暑かな     季 己