壺中日月

空っぽな頭で、感じたこと、気づいたことを、気ままに……

松葉牡丹

2008年07月24日 23時41分51秒 | Weblog
 きょう7月24日は、土用の丑の日であり、小説家芥川龍之介の忌日でもある。
 俳句は高浜虚子に師事して、俳号は餓鬼、『澄江堂句集』がある。好んで河童の絵を揮毫し、死の年に『河童』の作があるので、河童忌と呼んで親しまれている。
 龍之介は、明治二十五年(1892)三月一日、東京市京橋区入船町に生まれる。辰年辰月辰日の生れであることにより、龍之介と命名された。
 生後間もなく母の発狂により、実家芥川家の養子となる。養父は南画、俳句に趣味を持つ文人であった。
 東大在学中より小説を書き、菊池寛、久米正雄らと第三次「新思潮」を創刊。
 「帝国文学」で『羅生門』を発表。理知的で技巧的、芸術至上の態度を崩さず、多くの名短編を残した。昭和二年(1927)のこの日、東京・田端の自宅で服毒自殺した。三十六歳。
        河童忌や河童のかづく秋の草     久保田万太郎

 今夜は足立の花火大会。その前に、日本語ボランティア養成講座を二時間受講しなければならない。
 会場は、生涯学習センターの3階だ。生涯学習センターといっても、廃校となった中学校の校舎をそのまま利用したものである。校舎脇の花壇には、他の花に負けることなく、松葉牡丹が懸命に咲いている。
 赤・紫・黄・白など、色とりどりに、日盛りの花壇を、目もあやな色彩に埋め尽くし、コンクリートブロックの周りを縁取っている松葉牡丹。風のない真昼の静けさの中に、松葉牡丹ばかりは、夏の暑さを楽しんで咲き誇っている。
 暑い暑いと言い暮らしているが、この暑さにこだわらぬ松葉牡丹を、じっと眺めているうちに、いつしか暑さを忘れる。

 松葉牡丹は、スベリヒユ科に属する一年草で、南米ブラジルが原産。日本へは十九世紀半ばに渡来したとされ、古くから親しまれている草花である。もともとが熱帯の植物であるから、暑さには強いわけだ。
 草丈は十センチくらいの小さなものだが、特徴はなんといっても、肉質の茎と葉にあり、葉が松葉に似ており、花は小さいが牡丹に似ているところからこの名がある。
 松葉牡丹は、太陽が直射すれば花を開き、曇り空や夕方にはしぼむので、またの名を、日照り草ともいう。また、いたるところの葉の脇から白い鬚根を出しているので、茎をちぎって、そのまま地面に挿しておくと、すぐに根付いて繁殖するから、別の名を、爪切り草ともいう。

 しかも、どんどん枝分かれして花をつけ、毎日花を開いては萎みして、一週間もすれば、種子が採れるので、手まめに花粉を交配してやると、いくらでも変種ができるという。ただ、ものぐさな変人は、一度として試みたことはない。


      フィナーレは枝垂れ金彩 大花火     季 己