上半身、裸でいても汗が噴出してくる。パソコンも猛烈な熱さ。
デジタル温度計を見たら、37.5度を表示している。
今年最高の、この部屋の室温である。
クーラーも扇風機もなく、使えば団扇であるが、団扇を使っていたら何にも出来ない。
外出にはバッグに、ジャワ更紗の末広袋に入れた扇子を忍ばせている。
自宅にいるときは、団扇の方が気軽に涼をとれる。団扇を手にすると、なんとなく心がくつろぐものである。
本来は、竹の骨に紙を貼ったもので、楕円形がふつうであるが、方形や円形のものもある。
絵団扇、絹団扇、白団扇、渋団扇、水団扇、古団扇など、みな夏の季語である。
千葉県の房州団扇が有名であるが、岐阜・京都・丸亀など各地で団扇生産が盛んである。
街頭で宣伝用に配られる団扇は、もっぱらプラ製品で味気なく、愛用するなら民芸品としてつくられた団扇がおすすめである。
月に柄をさしたらばよき団扇かな 宗 鑑
まん丸な月に柄(え)をつけたら、美しく大きなよい団扇になるだろうなあ、という気持ちであろう。
暑くて寝つけないような夏の夜、空に照る満月を見上げながら、涼を呼ぶ団扇を想像してしまったのである。
月を扇や団扇に見立てることは古くから行なわれ、たとえば、
夏の夜の 光すヾしく すむ月を
我が物顔に うちはとぞ見る (『夫木抄』)
などは、この句と非常によく似ている。
また、見立ての無邪気さからいえば、
笠を着ば雨にも出でよ夜半の月 (『犬筑波集』)
からかさやたヾ柄鏡のけさの雪 (『守武千句』)
などの発句も同類だといえよう。
現在ならば、子どもでもこれくらいの見立てはできそうに思われる単純な句であるが、俳諧独立期の素朴で、おおらかな詠みぶりを見るべきであろう。
句中に、月の語があるが、団扇が季語で、夏ということになる。
投げ首のパソコン将棋 渋団扇 季 己
デジタル温度計を見たら、37.5度を表示している。
今年最高の、この部屋の室温である。
クーラーも扇風機もなく、使えば団扇であるが、団扇を使っていたら何にも出来ない。
外出にはバッグに、ジャワ更紗の末広袋に入れた扇子を忍ばせている。
自宅にいるときは、団扇の方が気軽に涼をとれる。団扇を手にすると、なんとなく心がくつろぐものである。
本来は、竹の骨に紙を貼ったもので、楕円形がふつうであるが、方形や円形のものもある。
絵団扇、絹団扇、白団扇、渋団扇、水団扇、古団扇など、みな夏の季語である。
千葉県の房州団扇が有名であるが、岐阜・京都・丸亀など各地で団扇生産が盛んである。
街頭で宣伝用に配られる団扇は、もっぱらプラ製品で味気なく、愛用するなら民芸品としてつくられた団扇がおすすめである。
月に柄をさしたらばよき団扇かな 宗 鑑
まん丸な月に柄(え)をつけたら、美しく大きなよい団扇になるだろうなあ、という気持ちであろう。
暑くて寝つけないような夏の夜、空に照る満月を見上げながら、涼を呼ぶ団扇を想像してしまったのである。
月を扇や団扇に見立てることは古くから行なわれ、たとえば、
夏の夜の 光すヾしく すむ月を
我が物顔に うちはとぞ見る (『夫木抄』)
などは、この句と非常によく似ている。
また、見立ての無邪気さからいえば、
笠を着ば雨にも出でよ夜半の月 (『犬筑波集』)
からかさやたヾ柄鏡のけさの雪 (『守武千句』)
などの発句も同類だといえよう。
現在ならば、子どもでもこれくらいの見立てはできそうに思われる単純な句であるが、俳諧独立期の素朴で、おおらかな詠みぶりを見るべきであろう。
句中に、月の語があるが、団扇が季語で、夏ということになる。
投げ首のパソコン将棋 渋団扇 季 己