壺中日月

空っぽな頭で、感じたこと、気づいたことを、気ままに……

麦こがし

2008年07月22日 23時37分56秒 | Weblog
 きょうは二十四節気の一つ「大暑」である。暦の上では、このころが夏の暑さの絶頂とされるが、その名にたがわず猛烈な暑さの一日であった。
 これからのおよそ二十日間が、最も暑さが厳しいのではなかろうか。

 暑いからといって、クーラーのつけっ放しは身体によくない。氷り小豆やアイスクリームの類も、糖分の摂りすぎで健康によくない。
 そこへくると、昔の人は、諦めがよかったようである。
 炒った大麦を袋に包んで大きな薬缶で煎じ出し、それをブリキの缶につめて、井戸に吊り下げて冷しておく。
 日盛りの外出から帰ってきては、ゴクゴクとそれを飲み干すコップ一杯の喉越し。何より香ばしく、野趣に富み、あっさりとしていて、飲んだ後味のさらりとしたところが、夏の飲み物の代表としてふさわしい。
 いまでは麦茶と称するのが一般的である。熱いままでなく氷や冷蔵庫で冷やして、そのまま飲むことが多いが、子どもには砂糖などを加えることもある。
 麦茶は、家庭で作るのがふつうであったが、最近は自動販売機で手軽に購入できるようになった。

 ところで、麦茶といえば、また懐かしいものに、麦こがしがある。
 炒った大麦を粉に挽いたものを、関東では麦こがし、関西ではハッタイ粉という。ハタクとは、叩き砕くこと。炒った大麦を叩いて粉にしたものが、ハタキ粉すなわちハッタイ粉なのである。
 砂糖を加えて食べるが、ふつう、湯で練って食べる。水の粉ともいって水でといて食べたり、固めて干菓子にもする。
 麦こがしは、やはり、冷たい水で掻いて食べるのが一番、妙に口中清涼を感じて、結構な暑さよけの食品であった。冷たい水の代わりに牛乳で溶くのも結構。
 麦こがしの落雁も、手作りで召し上がってみては如何でしょう。焦げた麦の香ばしさが郷愁をかき立てること間違いなし。


      けふの日の初め 麦茶を冷やしけり     季 己